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石田 康行 院長の独自取材記事

いしだ整形外科

(宮崎市/宮崎神宮駅)

最終更新日:2021/10/12

石田康行院長 いしだ整形外科 main

宮崎神宮駅から車で6分、大島通線沿いにある「いしだ整形外科」では、院内に入る前から患者への心配りが見て取れる。診療開始時間を医院の外で待つ間もつらくないようにと、長いひさしや椅子が設置されている。外壁に描かれたロゴは、院長とスタッフが患者に寄り添う姿勢を表しているという。大きな体の石田康行院長は、自身のスポーツ経験・手術経験から、安易に手術を勧めるのではなく、リハビリや投薬での付き合い方も選択肢に入れる。判断基準の中心に置くのは、常に患者の喜び。その思いを、どう形にしているのか聞いた。

(取材日2021年6月26日)

診察前の時間も快適にする、院内の設計とピアノ演奏

この場所を選んだ理由を教えてください。

石田康行院長 いしだ整形外科1

郊外だと患者さんが通いにくいですし、反対に中心地だと駐車場のスペースが取れなくなってしまう。その中間を選びました。この辺りは幹線道路沿いで飲食店が多く「開業する所はご飯がいつでも食べられる大島通線沿いで、僕らしい場所だ」とよく話していました。名前は「いしだ整形外科スポーツクリニック」にしようとしていたら、ある高齢の方から「スポーツクリニックって行きにくい」と言われたんです。それでスポーツを除いた経緯があります。ご年配の方がかわいがってくれるのがありがたくて、そういう方をしっかり診たいと思っています。実際には僕の専門の肩関節疾患で当院を選ばれる患者さんが多いです。特に筋肉が切れる腱板断裂で来られる中高年者層の方が多いです。

院内が明るい雰囲気で、患者さんに対する配慮も多く見受けられます。

クリニックの設計段階からいろいろ話し合ったので、思い入れがあります。待合室は、膝・腰に負担がかからないように高い椅子を置いたり、待ち時間に携帯電話の充電ができるようにもしました。入り口前の椅子は、診察開始前に並ぶ患者さんのために設置しました。「待たせて当たり前」でなく、常に快適に過ごせるようにリハビリテーション室の天井には青空の壁紙、エックス線撮影室には蓄光シールを貼って明るい雰囲気にしています。また、クリニックのロゴは治療者と患者さんが手をつないでいるような図案に、太陽を入れてハワイっぽくしたものです。ハワイには手術のトレーニングで何度も行って、好きになりました。よくハワイの人に間違われます。

奥さまが待合室のピアノを弾かれるそうですね。

石田康行院長 いしだ整形外科2

そうです。妻はピアニストで、ピアノ教室で子どもに教えていた経験があります。開業した時に「ここでピアノの発表会もできたらいいね」と待合室にピアノを置きました。少しでも痛みを忘れてもらいたくて、定期的に演奏を行っています。ジャンルは演歌、ポップス、映画音楽、クラシック……何でも。患者さんのリクエストで曲を演奏することもあります。気持ち良く過ごしていただくために、僕が大事にしたいのは、院内の雰囲気です。スタッフの声かけ、優しさです。当院のスタッフは明るく、優しく、忙しくてもテキパキと仕事をしてくれ、ありがたいと感じています。患者さんがまた来たくなるクリニックにしたいと思っています。

超音波などの技術で、少しでも多くの人に喜びを

こちらならではの治療はありますか?

石田康行院長 いしだ整形外科3

超音波を使うことです。超音波だと、骨が重なっている部分の小さな骨折や、筋肉の断裂・炎症など、エックス線だけでは見えない部分が見えます。また僕は2000年頃から肩の内視鏡手術を専門にしています。現在も連携病院にて手術を行っています。専門的な手術が可能です。また、当院では、理学療法士によるリハビリテーションに力を入れています。

少年野球選手への診療もされているそうですが、整形外科をめざしたのはご自身のスポーツ経験から?

それもありますし、子どもの頃から、けがを治療してくれる先生への憧れがありました。スポーツ障害に関しては、宮崎大学医学部附属病院と協力し、少年野球選手への診療を行っています。例えば野球肘だと症状がない場合があるので、それを見つけていきます。東京や都市部に負けない医療レベルを確保して、ここに来て良かったと思ってもらいたい。開業して多くの患者さんを診させてもらい、肩・肘に加えて、手、足や股関節、脊椎の勉強ができることを楽しく思ってます。

喜んでもらえるように、というスタンスなのですね。

石田康行院長 いしだ整形外科4

はい。僕ができる範囲のことはしたいですし、できないことは大学病院などに紹介することで患者さんに喜んでもらいたい。ただ、難しいケースもあります。一般的には、痛いから診察を受けて、薬を飲んで痛みが引いていくという患者さんが多いと思います。でも、そうでない方もいるんです。すごく痛みを訴えるから強い薬を出したら「副作用が怖くて飲めない」と飲まない。考えてみれば、薬を飲まなくても耐えられる痛みだという可能性もあるわけです。人にもよりますが、話を聞くことで喜んでもらえる場合があります。見極めが難しいですね。いまだに、患者さんに喜んでもらうにはどうしたらいいか考え、日々悩みながら診療しています。

手術の判断も声のかけ方も、患者の身になって考える

今まででうれしかったエピソードはありますか?

石田康行院長 いしだ整形外科5

以前、小学校6年生で野球肘の手術をした患者さんがいました。そのくらいの年齢だと、どんどん変形が進んで動きが悪くなってしまう。自分で勉強したり全国の先生に質問したりして、適切と思われる手術をしたのですが、思ったほどの結果を得ることはできませんでした。それでも彼は、投げる腕を変えて野球を続け、高校3年生の時は野球部のキャプテンをしていました。僕も試合を見に行ったのですが、サードコーチャーを任されていて、チームのためにできることを頑張っていました。その姿を見た時には涙が出ました。治せなかった患者さんとは距離をとってしまう医師もいます。自分にとってもつらい経験なので。でも僕は、そういう患者さんにこそ一生責任を持たないといけないと思っています。開業してから彼が、理学療法士になると言って報告に来てくれた時は、本当にうれしかったですね。

ご自身もずっと野球をしていたそうですが、現在の趣味は?

散歩が好きです。宮崎はハワイと似てると思います。気候もそうだし、景色もすごくきれいだし。大淀川沿いの夕日、サンビーチ一ツ葉、堀切峠。ゆっくり歩くとすごいですよ。野球は今はしていません。子どもの頃は、竹の子というソフトボールチームで「竹の子ブッチャー」と呼ばれていました。僕はその後、中学から大学まで野球を続けました。これまでに右膝の半月板を5回、手術しています。内視鏡手術も体験していますよ。

経験があるから患者さんの気持ちがわかるのですね。

石田康行院長 いしだ整形外科6

そうですね。整形外科では手術をしなくても命に関わらない疾患が多い。手術して一時的に回復しても後でもっと悪くなることがあります。ですから手術をするかどうかの判断は、患者さんと相談しながら下します。困っている度合いと、自分の技術、あとはどこまで責任がとれるか。とにかく、常に患者さんを一番に考えています。患者さんで「年のせい」と言う方には、僕は「頑張ってきた証」と言う。野球で肘が曲がらなくなった方には「これ勲章よ」とか。言い方一つで、受け取り方も信頼関係も違ってくると思います。今はクチコミで来られる方が多くて、ありがたいですね。でも、それで一喜一憂するのではなく、後悔しないように一生懸命やることが大切だと思っています。

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