鎮静剤を使用し患者の負担や不安に配慮
大腸内視鏡検査
うえだクリニック
(大阪市淀川区/十三駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
日本人の死亡原因1位であるがんの中でも、その上位に位置する大腸がん。その早期発見・早期治療につなげる大切な検査が大腸内視鏡検査だ。腹痛や血便、便が細いなど症状があるが、「痛い」「つらい」といったイメージから、必要性は感じつつも検査に一歩踏み出せない人は多いのではないだろうか。「うえだクリニック」の上田渉院長は、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として豊富な経験を持つ大腸内視鏡のスペシャリスト。鎮静剤を使用し「眠っているような状態」で受ける、熟練医師による大腸内視鏡検査。「痛みやつらさという患者さんの感じるストレスに配慮しています」と話す上田院長。どのような症状の人が受けるべきか、検査でわかる疾患など大腸内視鏡検査の基本と、検査の流れを上田院長に聞いた。
(取材日2020年6月24日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査を受けるべき人は、どのような人でしょうか。
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A
大腸内視鏡検査は40歳を超えたら検討してください。40歳を超えてなくても、健康診断などで便潜血検査の陽性が出た人は、自覚症状がなくとも大腸内視鏡検査が必要です。当クリニックのある淀川区をはじめ大阪市エリアは便潜血検査の受検率が低いですが、大腸内視鏡検査を受ける指標にもなるため、健康診断を受ける際にはぜひ便潜血検査も同時に行いましょう。また突然便が細くなった、便秘もしくは急に下痢になったなど排便習慣に変化があった方、親族に大腸がんの方がいる場合、40歳を待たずに早めの検査を受けたほうがいいでしょう。検査をすることで、放置すればがん化する可能性のある腫瘍やポリープ、早期がんなども治療が可能です。
- Q大腸内視鏡検査で見つかる病気について教えてください。
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A
大腸がんの早期発見はもちろん、IBD(炎症性腸疾患)の診断にも有用です。例えば、潰瘍性大腸炎のほか、クローン病、虚血性腸炎、細菌性腸炎、大腸憩室炎、IBS(過敏性腸症候群)などがあり、いずれも問診や血液検査などを行い、必要に応じて大腸内視鏡検査を実施します。潰瘍性大腸炎やクローン病などはアミノサリチル酸製剤、免疫調節剤、生物学的製剤などを用いた治療を行い早期発見・治療に努め、極力入院をせずに日常生活を送れるように心がけます。当クリニックでは10代の方から、大腸がんなどが心配になる40代以上の方まで幅広くお越しいただいています。腹痛・便秘・下痢・血便などの症状がある方は早めに受診してください。
- Q検査への恐怖や不安を感じている患者さんも少なくありません。
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A
当院では鎮静剤を使用し眠ったような状態で検査を受けていただきますので、「痛い、つらい」ということはほとんどないと思います。私は、消化器内視鏡の専門家として多くの経験を積んできました。他院で内視鏡挿入を断念された症例で、慎重・丁寧に検査をすることで大腸全体の観察が可能になった症例もあります。常に、安全面を最大限に考慮して大腸内視鏡検査を行っていますので、患者さんには納得して安心感を持って検査に臨んでいただければと思います。また診察室や処置室はもちろん、検査中に鎮静剤でうとうとしている状態であっても、医師だけでなく看護師も常にお声かけをして、患者さんの不安を少しでも和らげられるよう努めています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と事前説明
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受診理由となった主な症状や既往歴、近親者の大腸疾患の有無のほか、手術歴、常用薬やアレルギーの有無などを問診で確認。検査への疑問や不安があれば、遠慮せずに質問を。大腸内視鏡検査を受けることが決まったら、スタッフより検査前日から当日までの食事制限内容のほか、当日の検査スケジュールなどの説明を受ける。飲み物などにも注意が必要なので、しっかり頭に入れて検査に備えよう。
- 2検査準備
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問診後、検査当日に服用する1.8リットルの腸管洗浄液が処方される。服用場所は自宅またはクリニックのどちらかを選べ、当日は数回に分けて洗浄液を服用を行い、2~3時間程度で検査開始可能になる。同クリニックでは腸管洗浄液の味にも配慮しており、クリニックには清潔なトイレが複数用意されている。なお、腹部触診などにより腸管洗浄液が使用不可と判断された場合や下痢で前処置薬が必要ない場合は、浣腸のみで検査を行う。
- 3内視鏡検査を受ける
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鎮静剤の点滴や注射など前処置を行い、検査がスタート。平均挿入3~5分、観察10分の合計15分ほどで終了するのが一般的で、「ほとんど眠った状態の患者さんであっても、常にお声がけしながら内視鏡検査を行います」と上田院長。鎮静剤でうとうとした状態のため痛みやつらさをあまり感じない人が多いそう。検査中には、モニターや手元のタブレットで内視鏡画像を確認できる。希望があれば鎮静剤なしでの検査にも対応。
- 4リカバリー室で体を休める
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検査終了後は、すぐに立ち上がりふらつくことがないよう、検査時のストレッチャーに横になったまま専用スペースに移動する。鎮静剤が切れるまで30分から1時間ほど休憩する。検査当日は車や自転車の運転が制限されるため注意が必要。検査後の食事制限はないが、ポリープを切除した場合などは、食事内容について丁寧に説明してくれる。
- 5検査結果の説明
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休憩後は診察室へ移動し、モニターに映る検査画像を見ながら、上田院長より詳しい説明を受ける。ポリープなどを切除した場合、約1年後に観察が必要。問題がなければ2~3年に一度の定期検査が推奨される。同院でフォローアップの検査が必要だと判断された場合、再検査を知らせるはがきが届くそう。なお、検査時にポリープなどを切除した場合、約1~2週間ほどで出る病理検査の結果を踏まえ、その後の診療方針を医師と考える。