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重篤な合併症に至る可能性も
高血圧は正しく理解し、適切な治療を

おくやまクリニック

(和泉市/和泉府中駅)

最終更新日:2023/12/28

おくやまクリニック 重篤な合併症に至る可能性も 高血圧は正しく理解し、適切な治療を おくやまクリニック 重篤な合併症に至る可能性も 高血圧は正しく理解し、適切な治療を
  • 保険診療

今や20歳以上の国民のおよそ2人に1人は高血圧といわれるなど、日本人にとって身近な高血圧。健診で指摘されても自覚症状がないため放置しておく人も多く、突然命に関わる病気になってしまうことから「サイレントキラー」とも呼ばれている。そもそも高血圧とはどのような状態なのか、血圧が高いとなぜいけないのか、これらを知らずに、漠然と血圧を気にしている人も多いのではないだろうか。そこで今回取材に訪れたのは、和泉市にある「おくやまクリニック」。日本循環器学会循環器専門医である奥山裕司院長に高血圧のリスクや治療法などについて話を聞いた。

(取材日2023年8月31日)

患者と医師との二人三脚で適切な治療を継続し、重篤な病気を未然に防ぐことをめざす

Q高血圧とはどのような状態を指すのでしょうか?
A
おくやまクリニック 高血圧症など循環器内科を専門とする奥山院長

▲高血圧症など循環器内科を専門とする奥山院長

日本高血圧学会の基準では、75歳未満の人の場合は診察室血圧130/80mmHg以上、家庭血圧125/75mmHg以上、75歳以上の人の場合は診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。年齢プラス100ぐらいの値が基準といわれていた時代もありましたが、今は研究が進み、これぐらいの値に下げたほうが脳卒中や心筋梗塞のリスクが少なくなることが望め、腎臓を守ることにつながるというのがわかってきたため、基準が以前に比べると厳しくなっています。一時的に数値が高くても高血圧症とは診断せず、ご家庭で繰り返し測った平均的な数値から診断します。

Qどのような人が高血圧になりやすいのでしょうか?
A
おくやまクリニック 塩分摂取量の高い食事に気をつける

▲塩分摂取量の高い食事に気をつける

約95%が血圧が上がりやすい体質を両親から受け継いだ遺伝素因ですね。加えて生活習慣などが影響する環境要因もあります。例えば食生活。高血圧を発症している両親の場合、塩分摂取量の高い食事を取っていることが多いです。その家族と一緒に暮らしていることで、自分自身も自然と似たような嗜好になってしまい、高血圧を発症するリスクも自然と高まってしまうのです。残りの5%は二次性高血圧といわれるもの。割と若い世代でも突然数値が高くなったという人の場合は、原発性アルドステロン症などが疑われます。腎臓の上に位置する副腎に腫瘍ができて、アルドステロンというホルモンの分泌が過剰になることで高血圧を引き起こす疾患です。

Q高血圧が疑われる場合には何科にかかると良いのでしょうか?
A
おくやまクリニック 適切な検査で専門的な治療につなげる

▲適切な検査で専門的な治療につなげる

一般的な病気なので内科であれば診療が可能です。ただ心臓や血管との関わりが強い疾患のため、血液の流れに関連する臓器を診察する循環器内科を受診するのがいいでしょう。先ほどお伝えした二次性高血圧の場合、降圧剤により治療を始めてしまうと、検査結果に影響が出るため診断が難しくなる場合があります。そのため高血圧の初診の方は、治療していない状態で来ていただいて、二次性高血圧鑑別診断の検査を受けていただきます。強く疑われる場合は内分泌内科に紹介します。高血圧により循環器関連の疾患を発症している場合は循環器内科できちんと診ていきます。間口は広く、適切な検査で交通整理をしながら専門の治療につないでいきます。

Q高血圧を放置するリスクについて教えてください。
A
おくやまクリニック 同院では血管年齢のわかる検査機器を備えている

▲同院では血管年齢のわかる検査機器を備えている

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれているように、基本的には自覚症状がほとんどありません。ですから健診で指摘されてもそのまま放置してしまう人が結構いらっしゃいます。そして時間がたつうちにどんどん血管に負担がかかり動脈硬化が進行していくと、脳梗塞や心筋梗塞、心不全や腎臓の機能障害など重篤な病気を引き起こしてしまいます。ですから適切な数値に下げることが必要なんです。ちなみに先ほど自覚症状はほとんどないとは言いましたが、必ずしも無症状というわけではありません。頭がずっと痛い・重いという症状は結構多く、血圧と頭痛の頻度の関連性も注目されています。

Qこちらでは高血圧に対し、どのような治療を行っていますか?
A
おくやまクリニック 心臓の血液の流れを絵に描いて、わかりやすく指導を行う

▲心臓の血液の流れを絵に描いて、わかりやすく指導を行う

服薬治療を中心に食生活や運動習慣の指導を行っています。長期にわたる治療になるためモチベーションを維持するために、適切な間隔で外来に来ていただいて、その際に患者さんごとの注意点を「見える化」してお渡ししているのも当院の特徴です。心臓の血液の流れなどを絵に描いて説明したり、「塩分の取りすぎ注意」「有酸素運動をしっかり」など必要な項目を示したりしています。口だけで説明されても、家に帰るまで覚えているのも大変ですし、ついつい忘れてしまうもの。でも紙を持ち帰っていただければ、何を頑張らないといけないのか本人も家族もひと目でわかります。「見える化」することが患者さんの頑張りに関係あるのかなと思います。

ドクターからのメッセージ

奥山 裕司院長

高血圧を予防するためには、「塩分を控える」「痩せる」「有酸素運動」「タバコをやめる」「お酒を飲みすぎない」ことが大切です。そして血圧測定を習慣にしてご自身の血圧を把握しましょう。そして高血圧による動脈硬化をいち早く捉えるためには、血管年齢検査を受けることも大切です。高血圧は自覚症状が少なく悪いことが自分の体に起こりつつあることがわかりにくく疾患です。さらに将来のための薬は、なぜ飲む必要があるのか、なぜ食生活を管理しないといけないのかイメージしにくいものです。長期にわたる治療なのでついさぼりがちになってしまうものですが、そこを刺激するのもわれわれの仕事。医師との二人三脚で頑張っていきましょう。

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