全国のドクター9,294人の想いを取材
クリニック・病院 158,511件の情報を掲載(2024年6月10日現在)

  1. TOP
  2. 三重県
  3. 伊賀市
  4. 佐那具駅
  5. 医療法人敬人会 金丸脳脊椎外科クリニック
  6. 金丸 憲司 院長

金丸 憲司 院長の独自取材記事

金丸脳脊椎外科クリニック

(伊賀市/佐那具駅)

最終更新日:2021/10/12

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック main

三重県伊賀市佐那具町の主要道、名阪国道25号線沿い。モダンな外観が目を引く「金丸脳脊椎外科クリニック」は2017年に開業した。院長で脳神経外科医師の金丸憲司先生は三重大学医学部卒業後、三重大学医学部附属病院を経て鈴鹿回生病院に17年間勤務。同病院の脳卒中センター長を務め、脳疾患、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの手術を数多く手がけたベテラン医師。同クリニックでは急性期の脳卒中患者を受け入れ、治療後のリハビリテーションもサポートする。後遺症を重症化させないために一刻を争う脳卒中治療のことや、注目の腰痛治療、高周波凝固法について聞いた。

(取材日2020年9月24日)

早期治療のために、見逃さないでほしい脳卒中のサイン

伊賀市で開業された経緯をお聞かせください。

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック1

開業するまでは鈴鹿回生病院に17年間勤務し、脳卒中センターを立ち上げ、多くの患者さんを診てきました。鈴鹿回生病院は鈴鹿市外からの急患も多かったのですが、伊賀市からですと搬送に時間がかかり手遅れになるケースがあったんです。その背景には伊賀地域に急性期の受け入れ機関が少なく、脳神経外科の医師も少ないことがありました。脳卒中の治療は早ければ早いほど良く、後遺症を軽く抑えていくこともめざせるようになります。鈴鹿回生病院の若い医師たちが育ってくれたこともあり、伊賀地域の救急医療体制に貢献したいと思い、一念発起して開業を決意しました。

脳卒中の患者が搬送されてきたら、どのように対処されるのでしょうか。

脳卒中には3つのタイプがあります。脳血管に血栓が詰まる脳梗塞、脳の深いところに出血が起こる脳出血、脳の表面で出血が起こるくも膜下出血です。脳梗塞は発症から4時間半以内に血栓溶解剤を点滴できれば脳のダメージを最小限にとどめることが望めます。脳出血、くも膜下出血で手術が必要な患者さんは早急に入院施設のある病院へ二次搬送しなければなりません。一刻も早い診断と治療開始が重要なのです。当院では一般外来の玄関とは別に、検査室に直通の救急用の搬送口を設けています。救急搬送された患者さんはただちにCTスキャンやMRIで検査・診断し、当院で治療をするのか、二次搬送が必要なのかを見極めています。

注意してほしい脳卒中のサインはありますか?

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック2

頭痛や意識を失うといった激しい症状ばかりではないんです。手が上がらない、顔がゆがむ、言葉がもつれるといった症状が一つでもある場合は脳梗塞の確率が高いです。これらの症状が一時的に起きても回復することがありますが、一過性脳虚血発作といって脳梗塞の前兆ですので、すぐに救急病院や脳神経外科を受診してください。ほかにも「ものが飲み込みにくい」というので来院されて脳梗塞が見つかった方もいました。こうした軽度の症状を見落とさないでほしいと思い、地元の老人会の集まりに出向いて「脳卒中出前講座」をしているんです。開業からの3年間で10回近く開催しました。堅い話ばかりでは聞いてもらえないので、人気のある芸人さんの話術を勉強して、笑いを交えてお話ししています(笑)。

患者の負担軽減をめざす腰痛治療と高周波凝固法

さまざまな痛みの治療にも力を入れていらっしゃいますね。

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック3

脳の病気だけでなく首や腰の痛みも脳神経外科の領域です。鈴鹿回生病院時代には腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、頸椎症などの手術を数多く手がけました。脳の手術よりも首や腰の手術のほうが多く、最も多いのは腰痛ですが、当院では高周波凝固法を行っています。痛みの原因になっている関節に針を刺し、針の先端を約70度に温めて痛みの神経を凝固させて痛みの神経伝達を遮断していく方法です。エックス線のライブ映像を確かめながら痛みの神経だけをブロックするもので、体を動かす神経や触覚を伝える神経には影響はありません。局所麻酔で済むため治療後3時間ほど安静にしていただいたら帰宅が可能です。切らないため感染症のリスクも抑えられ、患者さんの負担が軽い方法です。2017年の開業以来、16歳から97歳まで、多くの患者さんに行ってきましたので、腰痛に悩んでいる方はご相談ください。

広いリハビリテーション室を備えておいでですね。

脳卒中のリハビリテーションは、処置が終わった直後から始める急性期リハビリ、機能回復をめざす回復期リハビリ、回復した機能を維持するための慢性期リハビリの3ステップがあり、当院の理学療法士とリハビリ助手が患者さんの筋力アップや歩行訓練をサポートしています。今後は作業療法士にも加わってもらい、ADL(日常生活動作)の訓練を充実させたいと考えています。食事や着替え、排泄、入浴、移動など、毎日の暮らしに必要な動作をご自身で行えるようになっていただきたいですね。脳卒中を乗り越えた地域の患者さんが急性期、回復期、慢性期リハビリへとスムーズにステップアップして社会や家庭生活への復帰をめざせるようにお手伝いしたいと思います。

スタッフに心がけてほしいと伝えていることはありますか?

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック4

看護師、検査技師、理学療法士、リハビリ助手、受付スタッフ、事務職員の全員に「患者さんの訴えをよく聞いてほしい」と言っています。治療は患者さんの不具合や不安に耳を傾けることから始まります。医師には遠慮して言いそびれてしまう方もスタッフには本音をおっしゃることがあります。私は勤務医時代から看護師やリハビリスタッフに「手術で痛みは改善したか、満足度はどれくらいかを聞けたらフィードバックしてほしい」と言っていました。患者さんの声は治療の正当な評価だからです。独り善がりにならず改善につなげていかなければいけません。スタッフと患者さんのおしゃべりは貴重な情報源なんです(笑)。金曜にはスタッフ全員で病気や手術についての勉強会をしています。このクリニックではどんな治療をしているのかを理解してもらい、一緒により良い医療を提供していきたいと思っています。

脳神経外科専門の有床診療所にリニューアル予定

力を入れている治療はありますか?

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック5

くも膜下出血の原因になる脳動脈瘤や血管奇形、脳腫瘍、無症状の脳梗塞や脳出血を早期発見する脳ドックを行っています。MRAという撮影機器による脳の健康診断です。脳動脈瘤は脳血管の一部が風船状に膨らんだもので破裂すると危険です。カテーテルを使って膨らんだ部分にコイルを詰めてふさぐ方法がありますが、すべての動脈瘤に治療の必要があるわけではありません。血圧を管理しながら経過観察を続けるケースもあります。リスクを早く見つけることができれば、早めに治療を行って脳疾患を予防したり、生活習慣を改善しながらリスクをコントロールすることも可能ですから、関心のある方はご相談いただきたいです。

医師を志したきっかけや脳神経外科を専門に決めたいきさつを伺いたいです。

中学時代に肺炎で入院しことがあり、若い研修医の先生がよく話しかけてくれました。当時の私は設計や建築に興味があったのですが、先生は「人間も面白いよ。医学は創造的な分野だよ」と言われたんです。それが印象に残っていたので三重大学医学部に入学しました。大学時代にボランティア活動を通して、交通事故で頸椎を損傷し手足が動かなくなった人たちと出会いました。こういう症例の治療法を研究したいと思い、脳神経外科に進んだんです。ある程度、経験を積んだら実家のある山梨県に戻ろうと思っていましたが、三重県は温暖で人も温厚ですし、食べ物もおいしい。暮らしやすくて、気がついたらこちらでの生活のほうが長くなりました。これからも三重県に住んで、地域医療に貢献していくつもりです。

今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

金丸憲司院長 金丸脳脊椎外科クリニック6

個人経営のクリニックとして開業しましたが、2020年8月、医療法人敬人会としました。まもなく増築工事が始まり、2021年春には脳脊椎疾患の手術、脳卒中の血管内治療を行う、入院病床のある診療所としてリニューアル開業する予定です。入院病床は15床とコンパクトなのは早期治療と短期入院で、患者さんにできるだけ早くリハビリテーションに移行してもらい、社会復帰や在宅療養をめざしていただこうという狙いです。365日24時間対応で救急医療に積極的にコミットしていきたいと思っています。仕事が好き、患者さんが好きでないと脳神経外科の医師は務まりませんからね(笑)。県内病院や介護サービス機関と連携して、救急医療から退院後のリハビリ、介護までを地域内で完結できるように役割を担っていきますので、身近な医療機関として、これからもよろしくお願いします。

自由診療費用の目安

自由診療とは

脳ドック/3万3000円 脊椎の総合検査/4万4000円(いずれも税込み)

Access