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高木 純一 院長の独自取材記事

たかぎ小児科・心臓小児科

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2021/10/12

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科 main

宮崎市内の中心市街地にある「たかぎ小児科・心臓小児科」は、この地に3代続く小児科クリニックだ。3代目の高木純一院長は小児循環器を専門に長年大学病院で多くの子どもたちを診てきたスペシャリスト。一般的な小児科診療に対応するほか、心疾患の外来を設け、地元の宮崎市内はもちろん宮崎県下一円、さらに鹿児島県からも患者が訪れる。「みんなを守る木でありたい」というスローガンを掲げ、地域医療に貢献したいと語る高木院長に、専門とする小児循環器の話からプライベートの話題まで、ざっくばらんに語ってもらった。

(取材日2021年7月28日)

子どもの風邪や予防接種、心疾患まで幅広く診療

こちらは歴史あるクリニックだそうですね。

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科1

祖父、父、私と3代ずっと小児科の医師として、この地で診療をしています。しかし父が高齢になって4年ほど閉めていた時期があり、その後2014年11月1日、私が55歳の時に後を継いで開業しました。クリニックとしては4年の空白期間があったので、新規開業に近い形ですね。医師仲間のお子さんが子どもを連れて受診してくれたり、あるいは同期が孫を連れて来てくれたり、父が診ていた患者さんが成人してお子さんを連れて来てくださることもあります。患者さんは近隣の方だけでなく遠方からも来ていただいています。当院の場合、心臓小児科の診療を行っているので、産後の1ヵ月健診で心雑音の指摘があって、産婦人科から紹介で来る方も多いです。生後2ヵ月から予防接種が始まるので、予防接種も当院で受けて、そのままかかりつけ医として利用いただいている患者さんも少なくありません。

心臓小児科ではどのようなお子さんを診ているのですか?

開業医ですから、基本的に状態が安定しているお子さんですね。あるいは大学病院とタイアップして、メインの病院があって日常のケアを当院で引き受けている、というスタンスです。心臓に関しては診察に時間がかかるので予約制をとっていて、月曜~土曜の診療日のうち、水曜日以外の午後の一部を外来時間に充てています。土曜の午後は心臓の予約外来のみで、小学生で学童保育に通っているお子さんがメインですね。患者さんは宮崎市内だけでなく、都城市や延岡市など遠方からも来ていただいて、中には鹿児島県の曽於市から来る方も。開業前に宮崎大学医学部附属病院の小児科に勤務していたので、当時の患者さんも来てくださっています。

診療ではどのようなことを心がけていますか?

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科2

心臓に関して言えば、学校健診も引き受けているので、見逃しがないように慎重に診察や検査を行い、適正な診断を下さなければいけません。仮に心臓に問題があっても、私が「大丈夫」と言ってしまえば、そこで終わってしまいますから責任は重大。一人ひとり神経を尖(とが)らせて診ているので、その分ストレスはかかりますが、本当に「大丈夫」とはっきり言えるような診療を心がけています。また、小児の診療全般に言えることですが、赤ん坊や乳幼児は自分で話すことができませんから、お母さんの訴えをよく聞いた上で、全身状態をよく観察する必要があります。小児科は全身を診ますから、視診、問診をとても重視しています。

小児循環器を専門に高度医療の研鑽を積む

なぜ心臓を専門にされたのでしょうか?

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科3

小児科の開業医の家で育ち、後を継ぐことは使命だと思っていましたから、久留米大学医学部を卒業後、迷いなく同大学病院の小児科に入局しました。新米医師の頃、心疾患の子どもたちを多く担当していたのですが、三十数年前の当時は今ほど医療が発達しておらず、亡くなる子どもも多くて、「どうにか助けてあげたい」という思いが循環器を専門にするきっかけになりました。当時の久留米大学病院の小児循環器グループは、当時先進的な治療として知られていた肺動脈弁のバルーンカテーテル治療に注力しており、たいへん活気がありました。私の恩師がその治療を導入した人なのですが、そんな小児循環器グループに入って3年ほど研鑽を積み、術者としてバルーンカテーテル治療もできるようになった後は、関連病院の小児循環器科の医長も務めさせていただきました。

小児の心電図に関する書籍も出されていますね。

小児循環器の中にもいろいろな研究テーマがあって、私が恩師から提案されたのが運動負荷心電図でした。そのためにはまず不整脈から学ぶ必要があったので、勉強会に参加していたんです。年に1回、九州の若い先生たちと難しいケースの心電図を持ち寄って勉強会を行い、臨床に還元していこうというものだったのですが、その中で生まれた一冊になります。一番の趣旨は、若い先生たちに心電図に興味を持ってもらうこと。実は心臓分野を専門として志す、志さないに関わらず、心電図はとっつきにくい分野。ですから、内容は基本的なことをベースに書かれています。私が編者を務め、30~40代の九州の若い先生方が分担して執筆をしてくださいました。

開業されてから、診療スタンスに変化はありましたか?

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科4

心疾患の患者さんを診ると言っても開業医ですから、高度な治療が必要になるような難しい症例は通常、開業医ではなく大学病院に紹介されます。けれどもまれに、1次医療現場ではまず見かけることのない、緊急的な手術を必要とするような赤ちゃんに遭遇するケースも存在するんです。ですから、最終的な判断はエコー検査の結果を見て決めますが、ごくまれであってもそういうケースがある、ということを念頭に入れて病気を見逃さないようにしています。

受診の目安は「いつもと違う」。気軽に相談してほしい

地域医療の中で、小児科の開業医の役割をどのようにお考えですか?

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科5

開業医ではあまり高度な治療を行うことはできませんから、このクリニックの守備範囲で診ることができるか、できないかの判断が大切です。例えば、熱が続いている患者さんでも、採血の検査結果が心配するような悪いものでなければ、そのまま家で療養を続けてもらって見守っていきます。しかし本人が元気でも、採血の結果に炎症反応が認められれば話は違ってきます。内服薬を飲んで自宅で様子を見るか、抗生剤を静脈注射するか、2次医療機関に紹介するか……。こうした見極めをすることが私たちの仕事だと考えています。

お忙しい日々の中で、どのようにリフレッシュや健康維持をされていますか?

一つは体を動かすことです。今はだいたい週に3回、20分ほどスイミングをしています。もう一つの気分転換になっているのが、異業種の方々で構成されたクラブへの参加です。地元で1代で企業を押し上げた方のお話や、40代くらいの若い異業種の方たちとの交流は刺激になります。経営者のものの考え方や懐の深さを肌で感じさせてもらうと、とても勉強になりますね。また、最近はあまりできていないのですが、小児科医師仲間とは時々一緒にゴルフにも出かけます。ただ日曜日の午前中は心電図の判読に時間を充てていたり、宮崎県医師会の役員としての活動も多かったりするので、最近はあまりリフレッシュにあてる時間がありませんね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

高木純一院長 たかぎ小児科・心臓小児科6

小児科を受診するタイミングは、保護者の方が「いつもと違う」と感じた時です。子どものことは親が一番よく見て、わかっているので、いつもと違う時は遠慮なく受診してください。また赤ちゃんの予防接種はたくさんあって、スケジュールも大変ですが、いかにワクチンで病気を予防するかがとても大事。当院ではワクチンのスタート時期やスケジュールの組み立てを看護師がサポートしています。産科の先生もお話しされていることと思いますが、小児科としてもしっかりと予防接種の重要性を啓発していきたいです。この仕事は定年がありませんから、しっかりと自分自身の健康を維持しながら地域医療に貢献し、より地域に根差した医師であり続けたいと思っています。

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