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岩崎 敏行 院長の独自取材記事

しじみデンタルクリニック

(調布市/調布駅)

最終更新日:2023/04/20

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック main

京王線調布駅から徒歩4分。「しじみデンタルクリニック」は、シジミの貝殻に歯のロゴマークが印象的な歯科医院だ。岩崎敏行院長は、まだ一般的ではなかった頃から訪問歯科診療に力を入れ、障がいのある患者を受け入れて地域の大きな支えとなってきた。自身の父親の介護経験から、「介護が必要な人やその家族の力になりたかった」と話す岩崎院長。外来診療でも、障がい者や障がい児の患者が増えているという。院内はバリアフリーで、キッズスペースも充実。閉塞感を感じないような工夫もされている。立場の弱い人に寄り添い、丁寧にコミュニケーションを取りながら、それぞれの必要に合わせて診療を行ってきた同院。岩崎院長に、クリニックのこれまでと今後について話を聞いた。

(取材日2022年7月29日)

訪問歯科診療の必要性を感じ取り組んできたクリニック

こちらは、訪問歯科診療を中心にされているそうですね。

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック1

もともと私は、大学卒業以来ずっと訪問歯科に関わり、いずれは訪問歯科診療に特化した歯科医院をつくりたいと思っていました。ですから、この場所を引き継いで開業した時は外来診療はそれほど考えていませんでしたね。ただ、訪問を続けていると、ご家族をはじめ、外来に通いたいという方が増えてきたんです。患者さんやご家族は、外来に通うことで外出の機会が得られ気分転換にもなる。それなら外来もしっかりやろうと、両方を提供するようになりました。訪問歯科の診療範囲は半径16kmと広く、東は新宿、西は立川あたりまで行きます。開業して数年はすべてカバーしていたのですが、立川方面からのご依頼が多くなりましたので、そちらのエリアには分院をつくって対応しています。

外来診療と訪問診療は、どのように配分なさっていますか?

最初は私1人で診ていましたので、訪問のウエートが高かったんです。でも今は、訪問の患者さんをお任せできる歯科医師や、歯科衛生士などスタッフが増えたので、私自身は週に半日ずつ2回訪問に出かけ、後は外来の患者さんを診ています。訪問歯科自体は10人ほどの歯科医師がシフトを組んで毎日患者さんの所へ訪れていますし、車も3台備え、ご依頼があったその日のうちに伺えるように体制を整えています。スタッフは、訪問を専門にしている先生方の中から、最近増えてきた嚥下障害のある患者さんを診る嚥下専門の先生、あるいは口腔外科専門の先生など、患者さんの必要に合わせて集まっていただいています。

訪問歯科を利用されている患者さんはどのような方ですか?

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック2

当初は高齢の在宅の方が多かったのですが、最近では、障がい者の方や障がい児、うつ病や引きこもりの方など、歯科医院に通うのが難しい方からのご依頼も増えてきました。一人ひとりご事情が違いますから、なるべくその方の生活のペースに寄り添うかたちで、患者さんの負担にならないような提案をしていくことが必要になってきます。内容としては口腔ケアがメインで、歯科衛生士が通ってお口の中を整え、治療ができる状態にもっていくケアが多くなっていますね。

コミュケーションを密に取り、治療のゴールを見極める

訪問診療を希望する場合は、まずは相談からですね。

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック3

基本的には、訪問診療のご依頼があった場合、初回は今後の方針を決めていくことがメインになります。このとき大事なのはケアマネジャーさん、あるいはご家族や親族など、キーパーソンとなる第三者の方と認識のすり合わせをすることです。あとは、もちろんご本人の意向も踏まえて、われわれに何ができるかを考えた上で方針を決めて、診療を行っていくことになります。クリニックに来ていただく外来診療との一番の違いは、この第三者が関わってくる点です。例えば、デイサービスに月曜から金曜まで5日通っている方なら、どこに歯科診療を組み込めばいいか。そういった話し合いが必要になってきますね。

訪問診療ではどういった点に気をつけていらっしゃいますか?

まず、無理はしないことですね。私がよく考えるのは、ゴールをどこに置くかということです。患者さんによってゴールがまったく違いますし、われわれの考えに対して、ご本人やご家族はそこまで望んでいない場合もあります。ご本人とご家族で意見が違うこともあるんですね。例えば、ご家族は義歯を作ってほしいと望まれていても、ご本人は気が進まないこともあります。また、ご本人が認知症などの場合、治療で何をされているのか、まったくわからない状態であれば、義歯は難しいと判断せざるを得ません。抜歯や虫歯治療で苦痛を伴う場合も、ご本人が望んでいなければ難しいんですね。そういったところは、ご本人や第三者ときちんとすり合わせをして、われわれが提供できることをしっかりお伝えしています。また最近は、高齢者の健康保険の負担金が増えてきていますので、経済的な負担についても考慮しています。

先生が訪問診療を専門になさったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック4

大学を卒業する頃、父が脳出血で倒れて障がいが残り、それから15年ほど自宅で介護していました。障がいがあると、歯科医院に通うのは非常にハードルが高いんです。まず通院自体が、ご本人にも介護する方にとっても大変です。義歯が壊れても、そのままお使いになっている患者さんが多いのは、そういった理由もあると思います。父だけでなく、世の中には歯科医院を受診したくてもなかなか通えないという方が、たくさんいらっしゃいます。その受け皿になることで、少しでも皆さんの負担を減らして力になれればいいな、という思いがありました。今はコロナ禍でやむなく休んでいますが、車での無料送迎を行っていたのも、そういった体験があるからです。

患者の生きるモチベーションを上げるために

外来診療ではどのような患者を診ていらっしゃいますか?

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック5

若い方のホワイトニングやクリーニングも行いますし、元気なご高齢の方もたくさん通ってくださっていますので、義歯治療もたくさん行っています。そういう意味では幅広く対応していますね。ただ、診てもらえるクリニックが少ないのか、どうしても障がい者、障がい児の患者さんが多くなってきます。特に、発達障害や自閉症の方はじっとすることが苦手なので、すぐには治療にかかれません。時間をかけて歯科になじむトレーニングをした上で治療を進めていきます。ユニットに座れるようになるまで1~2ヵ月はかかることがほとんどですし、半年間トレーニングだけということもあります。そうすることで、だんだん恐怖心がなくなり、やがて治療を受けられるようになっていくことをめざします。院内はバリアフリーになっていますので、車いすでユニットまで行けますし、診察室は個室です。また閉塞感を与えないよう、診察室から直接外へ出られる扉も設けています。

ご苦労もあると思いますが、患者さんにとってはなくてはならない存在ですね。

訪問の患者さんの診療は生活に密着した部分が多く、距離感が近くなります。結局は人間と人間のお付き合いですから、人間力が大事だなと思っています。われわれの訪問を楽しみに待ってくれている患者さんも多く、それだけ責任はありますが、感謝されることは大きなやりがいにもなっていますね。例えば、お口に合った義歯を作って差し上げれば、きちんと食事ができるようになることで栄養も血行も良くなったり、そこから気力にもつながって表情まで変わってくるかもしれません。そういうふうに、生きるモチベーションが上がるきっかけづくりにもなり得るのが、この仕事の大事なところだと思っています。ですから、元気のない方には、ネガティブなことは言わない。「ここまで治療して、○○が食べられるようにしましょう」というように、希望の持てることを1、2つ入れながらお話しするよう心がけています。

今後の抱負をお聞かせください。

岩崎敏行院長 しじみデンタルクリニック6

訪問診療に関しては、さらに質を上げていきたいですね。特に他職種との連携はまだまだ不十分です。医師や看護師、管理栄養士といった方々と、もっとつながりを密にしていけたらと考えています。口腔の専門家として、食事にも気を配っていきたいですね。嚥下の問題はもちろん、栄養の問題は管理栄養士さんと、言語や発音は言語聴覚士さんと連携して仕事をしていけたらと思います。お口の中の環境が劣悪だと、話をする気力もなくなるかもしれません。食事ができるようになると気力が湧いて、明るくなるかもしれませんよね。ご自身の口からお食事を召し上がっていただくことは、とても大切なんです。スタッフや異職種の方と手を携えて、そのお手伝いをしていければうれしいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

入れ歯/金属床(総義歯)33万円~、ホワイトニング/1歯1500円~

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