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我妻 敬一 院長の独自取材記事

あづま脳神経外科リハビリクリニック

(大阪市天王寺区/谷町九丁目駅)

最終更新日:2024/03/27

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック main

大阪メトロ谷町線・谷町九丁目駅から徒歩4分に位置する「あづま脳神経外科リハビリクリニック」。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医資格を持つ我妻敬一院長をはじめ複数の脳の専門家が、片頭痛や脳疾患、神経難病に対して適切な治療の提供に努めている。さらに脳血管障害の要因となる高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の治療にも注力する我妻院長に、クリニックの診療内容について話を聞いた。

(取材日2024年2月22日)

脳卒中のリスクを早期発見し、予防につなげたい

開業のきっかけを教えてください。

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック1

当院は2014年に開業し、2024年7月に10周年を迎えます。開業前は、大阪にある富永病院で勤務していました。私は多くの患者さまの外来診療や手術に携わりましたが、脳疾患は発症すれば何らかの後遺症を抱えてしまいます。特に脳卒中を患った方は後遺症が大きいため、脳卒中発症前段階での予防医療に注力したいという強い願望が芽生えました。三大疾病であるがん、心疾患、脳血管疾患の中でも、がんは予防が難しい面があります。一方で、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は、高血圧症、糖尿病、喫煙といった生活習慣に関連する主因で発生することが多く、脳卒中を未然に防ぐ段階での治療を提供したいと考え、開業に至りました。

先生のこれまでのご経歴を教えてください。

関西医科大学を卒業後、同大学脳神経外科学教室に入局しました。その後、脳神経外科専門医の資格を取得したタイミングで、脳神経領域に特化し、顕著な手術実績を有している富永病院に入職しました。そうした環境のもとで、脳神経外科医として社会に貢献したいという強い意志を持ち、8年間の在籍期間では、主に脳卒中センターで、くも膜下出血や未破裂脳動脈瘤の手術や血管内治療を担当し、脳腫瘍の手術や脳梗塞の治療など、幅広い手術に携わりました。在籍中には、一般的な脳神経外科医が一生で経験するであろう手術の件数を上回るほど多くの症例に取り組めたと実感しています。

患者さんはどのような主訴で来院されますか?

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック2

最も多い症状は片頭痛です。また、手足や顔の麻痺、しびれ、認知症、物忘れ、ふらつき、めまい、腰痛、坐骨神経痛など、さまざまな症状で来院されます。多くの方が症状の不安を抱えているので、私たちは患者さまに安心していただけるよう常に笑顔で温かい対応を心がけています。しかしMRI検査の結果、脳卒中や脳腫瘍といった緊急を要する、重篤な症例が発見されることもあり得ます。このような毎日を過ごす中で、常に高い緊張感を持ちながら患者さまへの配慮を忘れないようにしています。「脳の病気の非常口」というコンセプトのもと、富永病院をはじめとする近隣病院との連携を密にし、迅速に対応できる体制を整えています。

脳と神経の専門家集団としてチーム医療を提供

複数の専門家で構成されたチーム医療を提供しておられます。

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック3

当院は水曜日の午前診療に関西医科大学神経内科学主任教授、薬師寺祐介教授による包括的な脳神経内科診療を行っています。金曜日の午前診療では同大学の神経難病学講座教授、高橋牧郎教授がパーキンソン病や多系統萎縮症などの神経難病に関する専門的な治療を提供しています。薬師寺教授と高橋教授は、脳卒中、片頭痛、認知症の領域においても、経験と実績を持つ医師です。加えて、火曜日の午前中の診療には、富永病院の脳神経外科部長である松田康先生と副部長の長尾紀昭先生に脳神経外科診察を任しています。お二人は富永病院で中核的な役割を果たす脳神経外科の専門家で、日本脳神経血管内治療学会の認定脳血管内治療専門医の資格も有しています。このような確かな専門性を持つ医師たちとの強固なチームワークを基盤に患者さまへの高品質な医療サービスを提供しています。

MRIの当日撮影・当日説明も可能だとか。

MRIは患者さまにとって被ばくリスクがなく、負担が少ない検査手法です。脳神経疾患の診断においては、その価値は計り知れず、MRIは脳神経疾患の診療と密接に結びついています。当院では、患者さまが何らかの症状を持って来院された際、その症例が緊急を要するものかどうかを迅速に判断するため、当日中のMRI撮影と診断を心がけています。顕著な症状が見られない場合でも、MRI検査を通じて脳の異常が発見されることがあります。このため、MRI検査を行わない限り、安易に「問題ありません」とは申し上げられないこともしばしばです。患者さまの症状を正確に把握し、その結果を適切に説明することの重要性を強く認識しており、当日撮影・当日説明の実践に努めています。

リハビリテーションにも注力しておられます。

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック4

理学療法士3人、作業療法士1人、言語聴覚士1人の計5人の専門スタッフによるチームが、急性期から回復期、さらに維持期のリハビリテーションを提供しています。当院では、回復期と維持期リハビリテーションを大切にしています。脳の疾患に起因する麻痺が発生した場合、二次的に運動器疾患が生じます。運動器疾患は痛みを伴い、患者さまの活動性が低下し、運動不足を引き起こし、糖尿病や高血圧などの疾病のリスクを高め、心血管疾患、フレイル、認知症のリスクを増加させます。このように、一連の負の連鎖は互いに密接に関連しており、初期段階でのリハビリテーションによる介入は、この負の連鎖を阻止し、患者さまの健康状態の維持、改善に不可欠と考えます。リハビリテーションは、患者さまがさらなる健康的な課題に直面することなく、現在の健康状態を維持するための重要な手段と考えています。

言語聴覚士が在籍していることもクリニックの特徴ですね。

神経難病は、現在の医療では根本的な治療が困難とされる疾患です。新たな治療薬が開発されたとしても、患者さまがすでに日常生活に支障を来すほどの状態になっていた場合、治療薬の使用さえ困難になることがあります。病状の悪化を防ぎ、現状を維持し、病状の進行を防ぐためには、神経難病に特化したリハビリテーションが極めて重要です。当院では開院以来、神経難病疾患を抱える患者さまに対し、専門的なリハビリテーションを提供しています。加えて、当院は言語聴覚士によるリハビリテーションが特色の一つです。脳卒中などの後遺症で言語障害や失語症、高次脳機能障害を発症した患者さまに対して、言語機能やコミュニケーション能力の回復をめざす機能訓練を行っています。

一人ひとりに、具体的でわかりやすい説明を

先生が患者さんと接する際に意識していることは?

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック5

医学的知識のない方でも理解できるように、MRI画像の結果を説明しています。具体的には、「こちらが鼻、こちらが目、こちらが耳です。この部分が脳で、画像にこのような特徴が見られた場合、それは特定の病気の可能性を示唆します」といった形で、画像の基本的な解釈から詳細な分析へと説明を深めていきます。多様な情報があふれる現代では、患者さま自身が受ける検査の内容やMRI画像から得られる情報を深く理解したいというニーズを、日々の診療から強く感じています。そのため、当院では「何が判明するのか」から「その症状の背後にある原因は何か」に至るまで、詳細に説明することに努めています。

今後の展望を教えてください。

生活習慣病に対するサポートを強化するため、新たに管理栄養士を迎えます。高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの疾患を抱える患者さまへの栄養指導を通じて、病状の管理および改善に貢献します。また、動画共有サイトでの情報発信を開始しました。片頭痛、脳卒中、認知症をはじめ、脳神経に関わるさまざまなテーマについての解説動画を配信し、多くの方々に情報を届けています。今後も、さまざまな脳神経関連のテーマに焦点を当てたコンテンツを提供していく予定です。

読者へのメッセージをお願いします。

我妻敬一院長 あづま脳神経外科リハビリクリニック6

脳卒中は、患者さまの生活に深刻な影響を及ぼす病気です。発症すると、多様な後遺症が残り、介護が必要な状態になり、これらの後遺症が原因で認知症を発症するケースも少なくありません。認知症になると、その人の尊厳が徐々に失われていく恐れがあり、本人だけでなく家族にとっても大きな負担となります。現在、日本は世界でも類を見ない超高齢社会です。このような状況の中でも、健康で活動的な生活を送り続けるためには、脳卒中の予防が極めて重要です。脳疾患を未然に防ぐことは、病気のリスクを減らすだけではなく、個人の尊厳を守り、質の高い生活を保つためにも必要不可欠です。私たちは脳卒中および脳疾患の予防の重要性を一層強調し、そのための知識と理解を広めていくことに尽力します。

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