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奈良 康 院長の独自取材記事

奈良心療クリニック

(新潟市中央区/新潟駅)

最終更新日:2024/05/10

奈良康院長 奈良心療クリニック main

新潟駅直結のビル、PLAKA1の2階に位置する「奈良心療クリニック」は、新潟市の中心部にあり、アクセスは抜群。内装は落ち着いたダークレッドとブラウンを基調としており、患者がリラックスして過ごせるよう配慮されている。院長の奈良康(なら・やすし)先生は精神科医としての長いキャリアとスキルを持ち、鋭い観察眼で患者を見守る。院長のモットーは「病気を治す」のではなく「病気が治る手助けをする」こと。患者一人ひとりが自身の病気としっかり向き合っていけるよう、根気強くサポートしている。地域に深く根差し、この春、開業10年を迎える同クリニック。院長の思いや診療のコンセプトについてじっくり話を聞いた。

(取材日2024年1月30日)

心身のつながりを見極め、患者とともに原因を探る

患者さんの年齢層や症状について教えてください。

奈良康院長 奈良心療クリニック1

10代から90代に至るまで多様な年齢層の方が来院されます。気分の落ち込みや漠然とした不安感などの精神的な不調をはじめ、頭痛や倦怠感、動悸などの症状があるけれど身体的原因が特定できないといった悩みを抱えた方が来院されます。中には内科からの紹介で受診される方もいます。当院は心療内科と精神科の両方を診療科としており、一般的には身体的な症状を伴う場合は心療内科、精神的な不調を主とする場合は精神科と区分されます。しかし、これらは完全に分けられるものではありません。例えばうつ病の場合、精神的な不調だけでなく、頭痛や肩凝り、疲労感などの身体的な症状も多く伴います。治療では身体的アプローチによって精神の回復を図る他、逆に精神的アプローチによって身体の回復を試みることもあります。

初診の際はどのような診察が行われますか?

まずは看護師がヒアリングを行います。主訴はもちろんですが、不調の原因をつかむため、お答えいただける範囲でお仕事や家族構成などもお伺いします。診断の際のご説明は丁寧に行っているのですが、これは病気についての理解を深めることが治療への第一歩だからです。治療方針についても医師が一方的に決めるのではなく、患者さんとともに考えることを重要視しています。患者さん自身がどのように病気と向き合っていくかをしっかり考えることで、より適切な治療へとつながります。病気を治すのは患者さん自身です。私は医師として、必要な医学的判断を行いますし、注意すべき点や改善の余地がある場合は伝えることができます。しかし、最も大切なのは患者さんが自分自身で治療に積極的に取り組むという意識を持つことです。私たちは患者さんの手助けを精いっぱいしたいと考えています。

院内のこだわりを教えてください。

奈良康院長 奈良心療クリニック2

待合室の空間には特にこだわっています。ホテルのラウンジのような清潔感と落ち着きを意識し、快適な空間をめざしました。患者さんが隣の人を意識することなくリラックスできるように、シングルチェアを配置しました。また、外の景色を眺めたり、壁に飾られた絵を楽しんでいただいたり、待ち時間を心地良く過ごせるように配慮しています。待合室の過ごし方は「こうしなければいけない」というものはありませんので、リラックスして過ごしていただければありがたいですね。クリニックはアクセスが良い場所にありますが、看板は控えめにしているため、初めての方は少し見つけにくいかもしれません。これはデリケートな問題を抱える患者さんが多い、精神科のクリニックならではの配慮ですね。

患者自身が持つ治癒力を信じる

クリニックを開業した経緯をお知らせください。

奈良康院長 奈良心療クリニック3

勤務医として約14年間、精神医学と向き合う中で、積み重ねてきた経験とスキルで地域に貢献したいという思いが高まってきました。幸運なことにちょうどその時、新潟駅から直結する利便性の高いこの場所で開業する機会をいただきました。やるからには長く続けることが目標だったので、地道に努力を重ねてきました。結果として今年で10周年を迎えられ、心からうれしく思っています。私はもともと埼玉県の出身ですが、大学進学を機に新潟に移り住むこととなりました。利便性もありながら、穏やかな風土を感じられる魅力的な街です。とても暮らしやすくて、人生で一番長く住んでいる地域になりました。

先生はもともと、なぜ精神科医をめざされたのでしょうか。

人間の思考や考え、感情といった心の動きに深い魅力を感じたからです。心というものの範囲は広く複雑で、解明されている部分はまだまだ少ない領域です。そうした課題の多い分野に挑戦したいと感じました。また、患者さんに出会う中で、一人ひとりが抱える心身の状態や、その背景にあるさまざまな事情により、かけるべき言葉や薬の選択などの治療方針は一人一人異なり、患者さんの人生のあり方にも関われることに魅力を感じました。そして、「こんな状態になるまで一体何があったのか」、「なぜこうなってしまったのか」、「治療によって改善する人となかなか治らない人がいるのはなぜなのか」、その理由をひもときたいという思いが、一層強まっていきました。

診療において何を重視しておられますか?

奈良康院長 奈良心療クリニック4

患者さん自身の治癒力を信じることを重視しています。もちろん、薬も処方しますが、薬は自然な回復を促すための一時的な手段と考えており、最終的には薬なしで生活できることを目標にしています。そのためには環境の改善が必要です。例えば不調の原因が仕事にある場合は、休養することが大事です。会社を休むことをためらう方も多いですが、仕事のストレスやプレッシャー、疲れも症状を悪化させる要因であり、そういうものと距離を置くことも治療上プラスになることと考えます。例えば1ヵ月休んで症状が軽くなるとしたら、その選択も必要ではないかと思うのです。また、患者さんの様子をしっかりと観察することを大切にしています。普段と違う様子に気づけるよう、何げなく観察しています。たわいもないように思える会話からも、治療のきっかけが生まれることがあるので、さまざまな質問を投げかけるようにしています。

自分らしい物語を描けるようにサポートする

クリニックがめざすものは何でしょう。

奈良康院長 奈良心療クリニック5

精神科ではどの段階で治療完了と言えるのか、その基準は明確ではありません。私の考えでは、仕事も含めて、病前の状態を回復することが第一段階であり、患者さんが自分らしい生活を送れる状態になることをめざすべきだと考えています。患者さんが人生の主役として物語を描けるように、私たちは裏方としてそのサポートをしているような感覚です。もしどこかでつまずいてしまったら、私が俯瞰的に見てアドバイスします。患者さん一人ひとりの「人生の物語」を最良のものにするために、日々努力しています。

患者さんのニーズの変化にはどう対応していますか?

最近は精神医学に対する社会の関心の高まりもあって、心身に違和感を覚えたら、比較的早い段階で来院される患者さんが増えています。時代によってその関心やニーズは常に変化しているので、私たちもそれに応じて知識や対応を更新し続ける必要があります。患者さんが使用される用語も増加していますから、常に状況を追っていくことが大事です。また過去の事例を振り返ることも大事にしています。それが私にとっては一番の教科書です。良い例も悪い例も振り返りつつ、決して自分を過信しないこと。目の前の患者さんの状態を見て、柔軟に対応を変えていくことが大事だと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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人生には避けられないつらさや悲しみがあり、時にはひどく落ち込むもあるでしょう。通常は時間が解決してくれますが、なかなか改善しない、あるいは原因がつかめない場合、専門的な治療が必要です。もし心当たりがあれば、どうぞ遠慮なく当院へお越しください。心の健康は時間をかけてゆっくりと回復させるものです。私たちは患者さんが安心して日常生活に戻れるように、歩幅を合わせて伴走します。困ったときにはここがあると、当院を思い出してもらえたらうれしいです。

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