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藤原 正三 院長の独自取材記事

湘南台スマイルクリニック

(藤沢市/湘南台駅)

最終更新日:2023/06/30

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック main

精神科と内科が連携しながら24時間体制で在宅医療を行う「湘南台スマイルクリニック」。一人ひとりの患者と誠実に向き合い、家族の不安な気持ちに寄り添う藤原正三院長は、「精神科医師の診療を受けることでご本人も落ち着き、ご家族の負担を減らすことができれば、在宅療養の質を大きく向上させることができると思うのです」と、朗らかな笑顔で語る。飾り気のない気さくな言葉の節々から伝わってくるのは、「大丈夫」という心強いメッセージだ。在宅医療に伴う不安を取り除き、満足のいく選択ができるよう、患者や家族と誠実に向き合ってきたという藤原院長に、在宅医療への真摯な思いや、同院ならではの医療についてじっくり聞いた。

(取材日2023年5月17日)

24時間体制で精神科と内科が連携して行う在宅医療

まず、こちらのクリニックの特徴について教えてください。

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック1

当院は、精神科と内科が連携して訪問診療や24時間体制の往診など在宅医療を通して患者さんをサポートしている「機能強化型在宅療養支援診療所」です。また、在宅看取り実績が豊富な「在宅緩和ケア充実診療所」でもあります。院内では内科と精神科の外来診療にも対応しています。在宅療養している方の多くはご高齢で、認知症を含めた精神疾患もみられますので、内科に加えて精神科の医師も含めた訪問診療を積極的に行い、在宅療養の質を大きく向上させたいと考えて2016年に開業しました。スタッフも増えて手狭になったことから2019年に移転しましたが、2023年5月に2度目の移転をし、こちらでリニューアルオープンしました。自宅で最期を迎えることを希望された患者さんのほとんどを責任もってお看取りさせていただきました。

具体的にどのような面で精神科の診療が強みになるのでしょう?

ご高齢の患者さんの場合、内科的な疾患のほかに認知症を併発されているケースも多く、「認知症がコントロールできれば在宅療養も可能」という方が病院に入院したままになってしまっていることも多いのが現状です。中には暴れてしまうため在宅でも病気の治療がうまく進められず、入院先もあてがないといった難しいケースもあります。そうした課題の解決の糸口として、当院では、精神科と内科の医師、看護師がチームで一人の患者さんをサポートします。精神科の医師の適切な診断とフォローでご本人の気持ちも落ち着き、ご家族の負担を減らしながら、在宅医療に切り替えることができるよう力を尽くしています。

どのような経緯で在宅医療に取り組むことになったのでしょう?

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック2

大学病院の救命救急を扱う部門に勤めていた時に、運ばれてくる高齢の患者さんを診て「ご自宅にいたままでも提供できる医療があったのでは?」と感じることが多々ありました。ほかにも、患者さんの病状や状態を普段からご家族に説明できていれば、容態が急変したとしても、すぐに救急車を呼ぶのではなく、他の判断ができたかもしれないと感じたこともあります。逆に病院から、「これ以上できることはない、あとは在宅で」と言われ、途方に暮れるご家族もいました。そんな中、次第に「自分が在宅医療の現場に入ってなんとかしていきたい」と思うようになり、開業に至りました。もともと私は警察官を経て医学部に入ったため、人の役に立ちたいという気持ちが強かったことも影響しているかもしれませんね。

患者や家族の気持ちに寄り添うオーダーメイド医療

患者や家族と向き合うとき、どのようなことを大切にしていますか?

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック3

一人ひとりと誠実に向き合うことですね。患者さんやご家族の中には、病院から見捨てられたと感じていらっしゃる方もいるかもしれませんが、在宅医療は看取り専門というわけではありません。ただ苦痛や不安を取り除くだけでなく、在宅でより長く良い状態を維持できるのではないか、患者さんやご家族にとってより良い時間を過ごせるのではないかと思える治療があれば、最後まで諦めずに治療を続けますし、病院で行うような医療を提供することもあります。医師の一言は患者さんの気持ちを前向きにすることもできれば、落ち込ませてしまう要因にもなりかねません。実際に勤務医時代には何げない医師の一言で気持ちが落ち込んでしまい、そのまま亡くなってしまった方を見たこともありました。そんな経験から、患者さんへの声かけには配慮するようスタッフにも徹底しています。「最後に診てもらえて良かった」と言っていただけるような診療を全員でめざしています。

内科診療にはどのような特徴がありますか。

高齢の患者さんは、さまざまな病気を併発されることが多く、体の抵抗力が弱まっていると重症化の可能性も高いです。熱が出た、嘔吐したといった体調の変化から、肺炎や膀胱炎の兆候はないか、重い病気が隠れていないかなどを診断するのも内科医師の役割です。当院では、携帯型の超音波検査装置を導入し、診断に役立てています。適切な診断に基づき、最善の治療を提供すること、必要に応じて適切なタイミングで病院へ紹介することも大切です。現場でしっかり診断してから患者さんをお送りしますので、病院での受け入れもスムーズに進むと思います。時には、病院には戻りたくないとおっしゃる患者さんもいるでしょう。そんな場合には「元気になるために必要だから」と説得して、病院に連れていきます。

診療方針についてお聞かせください。

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック4

在宅医療を必要とするご本人やご家族の治療や命に対する考え方は多種多様です。さまざまな価値観を受け止め、話し合いながら一緒に治療していく「オーダーメイド医療」が重要です。時には医学的な正しさとは違う道を選ぶこともあります。例えば、胃ろうなどで栄養を保つのが医学的には正解でも、ご本人やご家族が「口から食べたい」「食べさせたい」と希望されるのなら、肺炎や窒息のリスクを説明した上で、食べていただくことも考えます。逆に希望されない治療は行わない場合もありますし、現場で声をお聞きすることが何よりも大切なことだと考えています。私は最初に患者さんやご家族とお会いしたとき、「ご自分の家なのですから、ご希望はなんでも話してくださいね」とお伝えするようにしています。

患者が安心し、家族も満足できる在宅医療をめざして

在宅医療に対する想いを教えてください。

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック5

患者さんを最期の時まで診ていくことを信条としていますので、私に診てほしい、看取ってほしいという患者さんの場合、気になる兆候があれば休日でも駆けつけます。患者さんだけでなく、ご家族の不安を取り除くことも大切なので、今後の見通しを前もって説明するよう心がけています。万一、患者さんの容体が急変しても、想定内のことであればご家族も落ち着いて対応することができるでしょう。医学的な面だけでなく、家族背景や経済的な環境まで鑑みて診療を継続していくことが在宅医療の難しいところです。私は法医学教室で学んだ経験もあり、今でも警察からの依頼で検案を行うこともあります。患者さんのため、地域のために貢献するというのが私の基本的な想いです。

今後の展望をお聞かせください。

当院の取り組みが認められてきたのか、近隣の病院からの患者さんをご紹介いただくことが増えてきました。精神科と内科が連携した在宅医療を普及させるためには、同じマインドを持った医師、看護師、スタッフの力がもっと必要になります。在宅医療への想いが強く、愛のある人が参加してくれると、在宅での療養を求める患者さんやご家族の希望をもっとかなえられると思います。そのためには、スタッフが安心して働ける環境や十分な休憩スペースが必要と考え、2度目の移転を決意しました。家族に迷惑をかけたくないと思う患者さんや、何かあったらどうしようというご家族の不安な気持ちに寄り添いながら、「われわれがついているから大丈夫ですよ」と、地域の皆さんにお伝えしていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

藤原正三院長 湘南台スマイルクリニック6

当院の医療は「諦めの悪い医療」です。患者さんのため、ご家族のためにできることはないか、常に最善を考え、悔いの残らない選択ができるよう全面的にサポートします。開院当初から在宅医療に対応していますが、ご家族から「自分のときもお願いします」と言っていただけたらうれしいですね。さまざまな選択肢の中から、ご本人にもご家族にも満足していただける方法を選択していただけるよう、スタッフ一同誠意をもって対応させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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