自立した生活と健康寿命の延伸を
骨粗しょう症の検査
しらにた整形外科クリニック
(北九州市小倉北区/香春口三萩野駅)
最終更新日:2023/06/19
- 保険診療
人間の骨量は20歳前後でピークを迎え、徐々に減少していく。メディアを含むさまざまな場面で「骨粗しょう症」という病名を耳にする人も多いのではないだろうか。女性ホルモンの減少や加齢、運動不足などによって骨の強度が低下。その結果、骨折しやすくなる、更年期以降の女性に多く見られる病気だ。骨粗しょう症の治療を専門とする白仁田厚先生が院長を務める「しらにた整形外科クリニック」では、看護師、理学療法士、薬剤師など、多職種連携による「骨粗しょう症リエゾンサービス」を実施。骨粗しょう症に関する相談に加え、サポートも受けやすい体制が構築されている。早期発見に向け、検査の重要性を呼びかける白仁田院長に、骨粗しょう症のメカニズムや検査を受けるタイミング、治療法、日常生活における予防法などについて解説してもらった。
(取材日2023年5月11日)
目次
女性ホルモンの減少や加齢、運動不足などが主な要因の骨粗しょう症は、早期発見と予防が健康寿命延伸の鍵
- Q骨粗しょう症はどんな人がなりやすい病気ですか?
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A
発症する割合で言うと、約9割が女性と言って良いほど女性がなりやすい病気です。というのが、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが関係しているからです。女性は閉経するとエストロゲンが急激に減少し、これまで保たれていた骨密度も減少し始めます。エストロゲンは骨代謝を整える働きがあり、減少すると破骨細胞の活動が活発になり、骨が壊されていきます。50代で生理がなくなると、60代以降はエストロゲンの分泌量がほとんどゼロに。このことから女性に多い理由がおわかりいただけるのではないでしょうか。エストロゲンの欠乏、そして加齢、運動不足といった生活習慣などの影響により、骨の強度が低下し、骨折しやすくなります。
- Q骨粗しょう症になると、どのような症状が現れるのでしょう。
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A
若い時と比べて背が縮んできたり、背中が丸くなってきたことで発見されることがありますが、多くは自覚症状がないため、骨折してから骨粗しょう症が判明するケースがほとんどです。この状況を改善するため、骨粗しょう症健診が叫ばれています。しかし、まだ認知度が低く、隠れ骨粗しょう症の方をすくい上げるに至っておりません。骨折を予防するためには骨密度検査をし、骨の強度を知ることが一番です。ご自身の骨密度を知ることで、食事や運動など、日常生活で骨折を予防できることはたくさんありますから。自分は大丈夫と過信せずに、更年期の女性は、体の状態を知る指標として骨密度検査をぜひ受けてください。
- Qこちらではどのような検査を実施されていますか?
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A
骨密度を測定する方法はいくつかありますが、当院では二重エックス線吸収法(DXA法)と呼ばれる機種を採用しています。これは腰椎と大腿骨の骨密度を測定する方法で、横になり数分程度で測定できますので、患者さんのご負担が少ない検査と言えるでしょう。そのほかに手首やかかとの骨で診る方法もありますが、二重エックス線吸収法は正確でスタンダードな方法といわれているため、当院ではこの検査法を取り入れています。骨粗しょう症には原発性と他の病気が原因で起こる続発性とがあることから、肝臓、腎臓、脂質代謝異常、甲状腺や副甲状腺の異常、多発性骨髄腫などを見落とさないよう血液および尿検査も実施いたします。
- Q検査を受けるべきタイミングについて教えてください。
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A
まず、閉経のタイミングで必ず1度測定してほしいです。閉経を迎えていなくても、運動不足の方、痩せ型の方、偏食の方、過度なダイエットや出産経験の多い方などには、すでに骨密度が下がっているケースが多数見受けられます。これらの方は近い将来、骨粗しょう症になる可能性が非常に高いため、1度骨密度を測って、自分の生活を見直すことが重要。治療中の方もダイエットをすると、骨密度も同時に落ちていくので注意が必要です。骨折してしまうと、次の骨折が待っています。これをドミノ骨折と言いますが、そうなる前の予防を。更年期から検査をするという考えではなく、女性の一生を考えた骨粗しょう症との向き合い方が大事だと思います。
- Q骨粗しょう症の予防は将来的にどのようなことが期待できますか?
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A
個人の幸せと社会福祉費の削減ですね。骨折すると、寝たきりになる方が少なくなく、筋力も低下し、やりたいこともできなくなり、医療費もかかってきます。早い段階で骨の状態がわかれば、日常生活の改善で予防できるわけですが、未だ「自分はまだ大丈夫」と過信されている方が多いのも事実。そして栄養バランスも気になります。カルシウム摂取に加え、適度な運動の習慣づけも大事ですね。なるべくエレベーターやエスカレーターは使わず、階段を利用するなど。軽いジョギングや縄跳びも良いでしょう。そしてビタミンD生成のための日光浴。このように、食事、運動、日光浴という予防三原則を生活に取り入れ、骨折予防に努めていただきたいですね。