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青木 秀夫 院長の独自取材記事

あおきクリニック

(奈良市/菖蒲池駅)

最終更新日:2022/12/27

青木秀夫院長 あおきクリニック main

「MRIを撮ることで救える命がたくさんあると考えています」。そう話すのは近鉄奈良線・菖蒲池(あやめいけ)駅から徒歩3分にある「あおきクリニック」の青木秀夫院長。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医の資格を持ち、長年の臨床経験から、命に関わるくも膜下出血などの早期発見のため、特に働き盛り世代の頭部の健康診断を啓発する。「脳神経外科専門医であっても医師たるもの全身を診られなくてはならない」という教えに従い、日々幅広い知識の習得に努め、内科や小児外科にも対応。インタビューでは明るく冗談を織り交ぜながら関西弁で話し、自身のメタボリックシンドローム対策などについて語るなど、親しみやすさを感じさせる。地域のかかりつけ医として尽力する青木院長に、脳の疾患や検査の重要性について話を聞いた。

(取材日2022年11月11日)

脳の疾患を判別し治療するスペシャリスト

患者さんの主訴はどのようなものが多いのでしょうか?

青木秀夫院長 あおきクリニック1

主訴は頭痛、しびれ、めまい、物忘れ、認知症などですね。一番多いのは頭痛で、いくつか種類がある中で、片頭痛が比較的若い方に多い疾患です。片頭痛で長年悩んでこられた患者さんは、小学校高学年くらいから片頭痛で保健室に通い、社会に出てからは「頭痛くらいで」という目で見られ、サボっていると誤解を受けて、つらい経験をされてきた方も多いです。片頭痛はある物質が脳から出されることで引き起こされるのではないかといわれています。昨年、それを止めるための注射薬が認可されました。これこそ医学の進歩ですね。

認知症について教えてください。

データでは、運動不足の方、頭を使うことが少ない方、高血圧・高血糖・脂質代謝異常などメタボリックシンドロームと同じ危険因子を過去に持っていた方、周りとコミュニケーションをとる機会の少ない一人暮らしの方などが、認知症になりやすい傾向にあります。一方で、認知症を心配して受診したものの、加齢により覚えが悪くなっただけの方もいます。また、実は慢性硬膜下血腫を発症していたというケースもあります。高齢者は足腰の筋力が衰え、転倒したり、バランスを崩したりして、頭を打つことがあります。頭を打ったことで、1ヵ月から2ヵ月かけて少しずつ血がたまっていき、血腫が脳を圧迫し、認知症と勘違いする場合があるのです。今後、超高齢社会を迎えることで、そういう患者さんが増えていくことが懸念されます。頭を打った場合は検査をされたほうが良いですね。

最も気をつけなければならない頭の疾患は何でしょうか?

青木秀夫院長 あおきクリニック2

一番怖いのはくも膜下出血です。くも膜下出血は、命に関わる意識のなくなり方をする代表的疾患です。くも膜下出血は動脈瘤というこぶが破れて発症します。破れる前にこぶを発見できていたら救えたケースもたくさんあったのに、というのが病院勤務での臨床経験からの実感です。くも膜下出血は通常、意識障害や激しい頭痛などの症状を伴います。しかし注意しなければならないのは、くも膜下出血を起こしているのにもかかわらず、症状が軽い方がいるということです。以前、「なんか頭が痛い。いつもの頭痛とは少し違う気がする」と言いながら普通に歩いて来られて、MRIで検査して驚いたことが何度かありました。専門の医師を紹介し、すぐに治療開始できたことで、救命につながったケースがいくつもあります。

MRIによる頭の健康診断でくも膜下出血の早期発見を

くも膜下出血にはさまざまな症状があるのですね。

青木秀夫院長 あおきクリニック3

はい。いきなり呼吸が止まったり、心臓が止まったりするほどの出血の仕方から、意識がなくなる方、倒れてしまう方、意識があるけれども頭痛のある方など、さまざまです。その頭痛も、痛みのレベルがあり、先ほど申し上げたケースのように軽い場合もあります。くも膜下出血で引き起こされている頭痛なのですが、軽かったので「風邪をひいたせいかな」と様子を見ていたら、2回目の破裂が大破裂で命を落としてしまった、ということもあります。この場合もやはり1回目の頭痛の時に調べておくべきでした。頭痛などの危険信号が出た時はもちろんのこと、こぶというのは知らないうちにできるものであり、かつ、いつ破れるかもわからないものですから。

いつ破れるかわからないのは怖いですね。

例えば、ちょっと上司のことを考えてカーッとなった瞬間に破れることもありますし、仕事で疲れて帰ってきたら、奥さんに怒られて、思わず頭に血が上った瞬間に破れることもあります。特に中年期以降の働き盛り、子育て盛りの方が発症しやすいですね。ストレスが多い世代なのでしょう。メタボリックシンドロームの予防や通常の健康診断をすることも大事ですが、頭の健康診断も取り入れていく必要があると考えます。頭の状態はMRIを撮らないとわかりません。反対に、MRIを撮ることで救える命もたくさんあると考えるため、当院ではMRIを備えています。くも膜下出血などの疾患の早期発見のために、特に働き盛りの方は、一度受けておくことをお勧めします。

内科も標榜されているのはどうしてですか?

青木秀夫院長 あおきクリニック4

「脳神経外科専門医であっても医師たるもの全身を診れなくてはならない」。研修医時代に指導医からそう教えを受けてきました。脳神経外科には意識のない患者さんや、意識はあっても言葉をしゃべれない患者さんがおられます。そのような方にも全身の病気は当然起こり得ます。実際、脳神経外科の医師になって、手術を習うよりも先に全身管理を習いました。その時得た知識と経験は、開業した今でも大いに役立っていますね。地域で開業していると、風邪をひいた、おなかが痛い、などで来院される患者さんもいらっしゃいますから。そのため当院では内科も標榜しています。中には水虫になった、ムカデに噛まれた、などで来院される方もいますね。決して専門ばかではいけないと考えています。

全身を診られる幅広い知識を持ち地域医療の入り口を

小児外科にも対応されているのですね。

青木秀夫院長 あおきクリニック5

お子さんがケガした時は、たとえケガの程度が軽くても、保護者の方はとても心配されます。少しでもその心配を取り除き、安心してもらうため、当院では小さな子どものケガにも対応しています。医療機関を受診すべきかどうか迷った時の相談窓口である、#7119番の救急安心センターからの紹介で、来院される方も多いですね。市内だけでなく、生駒市や大和郡山市など、市外からもいらっしゃいます。近隣の他院からの紹介でおいでになる患者さんもいます。当院は駅から徒歩3分と近く、子ども連れの方や体が不自由な方も通院しやすいように、駐車場を18台分用意しています。また、入り口にはスロープも設置し、ベビーカーや車いすでも来院しやすい環境を整えています。

実践されている健康法やストレス解消法はありますか?

最近テニスを始めました。中学、高校、大学と運動部に入っていましたが、近年は運動不足で、メタボリックシンドロームになっていました。これでは患者さんを説得できない、なんとかしなければと思い、始めました。最初はすぐ息が上がり、休み休みで、運動後も筋肉痛で大変でしたね。しかし今では筋力もつき、走っても息が上がることは少なくなりました。テニスはいいですね。小さな球を追いかけて打って、うまく打てたとか、打ち損ねたとか、変なところに行ったとかで、みんなが笑います。単純なスポーツですが、みんなが笑顔になります。ストレス解消にもなります。他には、旅行ですね。5月には和歌山県の忘帰洞に、夏休みには富山県の黒部ダム・黒部川第四発電所に、家内と行ってきました。今は実現が難しいですが、いつかはスイスに行って、湖やお城などきれいな景色を見たいですね。

今後の展望について教えてください。

青木秀夫院長 あおきクリニック6

私は人に接して役に立つ仕事に就きたいと思い、医師を志しました。医師になったのも天命だと思いますので、知力と体力の続く限り、社会貢献をしたいと考えています。日本医師会の趣旨でもありますが、ずっと生涯教育、生涯勉強です。医学の進歩についていけるうちは、勉強し続け、幅広い知識を身につけていきたいですね。患者さんは体の不調の原因がわからないとき、とりあえずどこかの医療機関を受診します。「外科の医師たるや全身も診られないといけない」という若い頃受けた教えに従い、まず自分で診て、何がどうおかしいのか考えて、その上で必要に応じ専門の医療機関に紹介する。そういう地域医療の入り口の役割を担っていけるクリニックでありたいと考えています。

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