悪性腫瘍が疑われることも
目のできものに気付いたら早めに受診を
小島眼科医院
(さいたま市浦和区/北浦和駅)
最終更新日:2023/08/31
- 保険診療
まぶたや白目など、目やその周りにできものができたことはないだろうか。細菌の感染が原因の麦粒腫(ばくりゅうしゅ)、いわゆる「ものもらい」は広く知られているが、目に腫瘍ができることは意外と知られていない。「小島眼科医院」の小島孚允(こじま・たかよし)院長は、眼腫瘍と呼ばれる目の腫瘍を専門とするドクターだ。小島院長によると、目の周りや目の中にできる腫瘍には悪性のものもあるという。ほかの眼疾患と見分けのつかない自覚症状もあり、その症状が腫瘍によるものかどうかを判断するためには専門的な検査が必要だ。今回は小島院長に、目の腫瘍にはどのようなものがあるのか、どのような症状があれば受診したほうがいいのか、専門的な話を聞いた。
(取材日2023年1月6日)
目次
目の腫瘍は早期発見・早期治療が何より重要。今までなかったほくろやイボ、見え方の違和感には要注意
- Q目の腫瘍にはいくつかの種類があると聞きました。
-
A
目の腫瘍は発症部位により大きく4つに分類されます。眼瞼腫瘍、結膜の腫瘍、眼内腫瘍、眼窩(がんか)腫瘍です。それぞれ良性腫瘍と悪性腫瘍があり、症状や治療法が異なります。腫瘍が悪性であることはまれなのですが、だからこそ患者さんご本人も気づきにくく、早期には見逃されやすいというリスクがありますね。目にも悪性腫瘍ができるということをぜひ知ってほしいと思います。ちなみに目の病気でよくみられる麦粒腫、いわゆる「ものもらい」は、細菌の感染が原因ですので腫瘍とは異なります。
- Q眼瞼腫瘍、結膜の腫瘍について教えてください。
-
A
眼瞼腫瘍はまぶたにできる腫瘍を指します。見た目が腫瘍でも炎症性の場合と腫瘍性の場合があり、炎症性で代表的なものは霰粒腫(さんりゅうしゅ)という慢性の炎症です。霰粒腫の手術をしても繰り返し再発する場合には、悪性腫瘍を疑います。腫瘍性では、まぶたにほくろ状のものができる色素性母斑、加齢により生じる老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)というイボなどが挙げられます。結膜の腫瘍とは、白目が膨らんで隆起状となった状態です。結膜にできる悪性リンパ腫は、見た目には慢性結膜炎のような症状を示すので注意が必要です。
- Q眼内腫瘍、眼窩腫瘍についても教えてください。
-
A
眼内腫瘍は目の中にできますので外からは発見されにくく、診断には眼底検査が必要です。患者さんの主訴で多いのは「視力が低下した」「物がゆがんで見える」「視野が欠けて見える」といったものですが、これらの症状は網膜剥離や緑内障など、ほかの病気でも見られます。その症状が腫瘍によるものかどうかを判断するためには専門的な検査を要します。眼窩腫瘍は、目の後ろの骨のくぼみにできる腫瘍です。涙腺腫瘍や海綿状血管腫、悪性リンパ腫などが挙げられます。眼窩腫瘍ではまぶたが腫れたり、眼球が前方に突出する眼球突出という症状が現れたりします。
- Q診断や治療はどのように行われるのでしょうか?
-
A
いずれの場合も患者さん自身で判断することは難しく、どの疾患かを見分けるには医師の診断を要します。先に挙げた分類によっても異なりますが、視診で診断できるものもあれば、眼窩腫瘍のようにCTやMRIといった画像検査を必要とするものもあります。また悪性が疑われる場合には、組織の生体検査を行います。当院では良性・悪性ともに日帰り手術に対応しています。手術時間は長くても1時間程度です。なお全身麻酔が必要な手術は県内の大学病院で私が執刀して行います。
- Qどのような症状があれば受診すべきでしょうか。
-
A
今までなかったほくろやイボができたり、見え方に違和感があったりした場合は早めにいらしてください。これまでに挙げたとおり、目の腫瘍にはさまざまなものがあります。進行が早いものや、拡大傾向が強いものは特に注意が必要です。腫瘍の表面に潰瘍が生じていたり、出血を伴ったり、再発を繰り返す場合も悪性腫瘍を疑います。高齢者になるほど悪性腫瘍の比率が高くなりますが、網膜芽細胞腫のように乳幼児に見られる病気もあるんですよ。体のほかの箇所にがんができて目の中に転移するケースや、逆に目の中のがんが全身に転移するケースもまれではありますが見られます。