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長田 郁夫 院長の独自取材記事

子育て長田こどもクリニック

(米子市/三本松口駅)

最終更新日:2021/12/22

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック main

子どもの緊張も和らぐようなメルヘンな外観とパステルカラーの空間が温かな印象の「子育て長田こどもクリニック」。2012年に長田郁夫院長が地元の米子市上後藤に開業した小児科クリニックだ。長田先生は小児科・周産期・アレルギーなどを専門として、大学病院で新生児医療やアレルギー診療に携わり、現在は医師会などの活動にも力を入れる経験豊かなドクター。「子どもを総合的に診る医師として大切なお子さんの成長を見守り、サポートしたい。不安なことは気軽に相談してほしい」と優しいまなざしで丁寧に話す長田先生に、地域医療への思いやクリニックの取り組みを聞いた。

(取材日2021年4月28日)

総合的な診療に興味を持ち小児科の医師に

先生はなぜ小児科の医師を志したのですか?

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック1

私が小児科を専攻したのは、全身を診る分野であることと、人の成長や発達の過程を最初から見ていけることを知って、とても興味深く、やりがいのある仕事だと感じたからです。私は鳥取大学の出身で、卒業後は同大学医学部附属病院の小児科に入局したのですが、当時は小児救急にも力を入れている活発な医局でした。小児科全体では20~30人ほどが所属していて、さらに細かく専門が分かれて新生児や内分泌、循環器。肝臓・消化器などの各グループがあり、それぞれが全国の専門の医療機関で勉強をさせてもらっていました。

先生はどの専門分野で研鑽を積まれたのでしょうか?

一般小児科の他、妊婦さんや生まれる前の胎児、新生児を扱う周産期・新生児医療に長く携わっていました。また、大学院では肝臓の再生に関わる研究を行ったほか、アレルギーの外来を担当していたのでアレルギーも専門的に学びました。ただ専門だからといって、それ以外を診ないというわけではありません。小児科の医師は頭のてっぺんから足の先まで総合的に診ることが大前提としてありつつ、多くのドクターがそれぞれに専門や得意分野を持って診療しています。当院は地域の小児科のかかりつけクリニックとして、総合的な診療をベースに専門性を生かし、積極的に近隣病院とも連携をして患者さんやご家族のお悩みや不安、困っていることを解消できるようサポートしています。

開業の経緯や、導入している機器などを教えてください。

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック2

私は境港と米子で育ち、当院がある上後藤はまさに地元。これから先もずっと米子で暮らし続けるつもりでしたから、専門性を生かしながらきめ細かく診療し、地域の医療に貢献したいと考えて2012年に開業しました。幅広い疾患や症状などのご相談に気軽に来ていただく中で、自分の専門分野の病気を診てあげられるかもしれないと思い、アレルギー診断用の機器や超音波診断装置(エコー)なども導入しています。エコーは腹痛や下痢・嘔吐、鼠径部のヘルニア、赤ちゃんの股関節や頭の検査、心臓の簡単な検査など出番が多いですが、さまざまな可能性を考えて見逃すことがないようにちょっとした症状でも使っています。クリニックとして対応できる検査はできるだけ行えるように体制を整えており、さらに精密な検査が必要な場合は病院と連携して検査・治療を依頼しています。

アレルギーなどの専門知識を日々の診療に生かす

食物アレルギーの子どもが多いですが、どのような検査を行いますか?

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック3

20年ほど前までは血液検査をしてアレルギーがわかると、その食物は口に入れず、数年して検査の結果が良ければ食べていこう、という流れだったのですが、ここ10年ほどで世界的に考え方が大きく変わりました。現在のガイドラインではじんましんが出る、湿疹が強くなる、下痢が起きるといったアレルギー反応が出たら、その症状と血液検査でアレルギーを疑い、食物経口負荷試験で最終的に診断します。食物経口負荷試験とは、医療機関でアレルギーが疑われる食物を実際に少量ずつ食べて、症状を観察する試験です。アレルギー反応の起こりやすさには個人差があり、例えば卵アレルギーなどでは少量なら食べられるお子さんもいます。アレルギーがあっても食べられる範囲で食べていくことで、将来的に食べられるようになっていくケースも多いです。ガイドラインはどんどん更新されるので、勉強会などに積極的に参加して常に最新の情報を得るようにしています。

新生児内科を標榜していますが、どのような科ですか?

新生児内科とは、さまざまな赤ちゃんの病気に対応する科なので、生後1ヵ月までの新生児に限らずご相談いただきたいです。ほかにも、ワクチンや健診の相談や、新生児や小児疾患にも専門的な知識や経験から対応します。また、出産前のお母さんの体調とも関係しているので、その時期から相談をお受けすることも。クリニックですから、NICUのような重症の赤ちゃんを診ることはありませんが、哺乳不良や体重が増えない、ミルクを飲んでも吐いてしまう、下痢・便秘、湿疹などさまざまな相談があります。産後1ヵ月は保健師さんや産婦人科に相談される方が多いでしょうが、当院へ来られる方もいらっしゃるので「赤ちゃんのことで不安や気になることがあれば気軽に相談してほしい」という思いで標榜しています。特に初めてのお子さんだとわからないことが多いでしょうから、新生児医療に長く携わった専門性を生かしてお力になれたらと思っています。

保育園などで風邪をもらうことも多いですが、受診の目安はありますか?

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック4

個々のご家族で心配事は異なりますから、ご家族の目線で不安を感じたら気軽に受診してください。保育園に入ると、最初はたくさん病気をもらいやすいので、しょっちゅう受診することになるケースも。よく「こんなに来てもいいんですか」と聞かれますが、それぞれにバックグラウンドが異なりますから、不安があれば受診していいと思ってください。また保育園や学校の方針で検査が必要になる場合があるので、状況に応じて確認をしてもらうことがあります。ご家族のお仕事もありますから、家庭と保育園や学校、それから職場をつないで、それぞれが安心して納得できるかたちになるようスタッフとともに努めています。

子どもの総合窓口として気軽に相談を

患者さんと接する際にどのようなことを心がけていますか?

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック5

スタッフも含めて意識しているのは「患者さんのお話をよく聞くこと」「時間をとってしっかり説明すること」「情報共有し合い、みんなで診療できる体制をつくること」です。スタッフたちとは月1回、全体のカンファレンスを行っているほか、看護師や事務などそれぞれの部門で密に連携をとり、情報が共有できるようにしています。また、ご説明の仕方によっては不安に思われることもあるので、同じ内容でも安心できるような話し方や表現をみんなで心がけています。もちろん気をつけるべき点はきちんと伝えますが、「こうしたら危ない」ではなくて「こうしたら安心」というふうに、言葉を1つ2つ多くしてでも、わかりやすく安心できる言い回しを意識しています。

地域の勉強会や啓発活動はされていますか?

鳥取県西部医師会や小児科医会の活動などにも参加するようにしています。また、病院や大学の先生、行政の方などに講師をお願いして、小児科の知識についての勉強会の開催も行っています。こうした取り組みを通じて地域の医療の底上げを図っていければと思っています。ほか、当院独自の取り組みとしては、2階にはコミュニティーホールがあり、以前は赤ちゃん体操などの一般向けの集まりや、母乳育児やスタッフの勉強会などを開いていました。現在は感染症対策として、定期的な通院をしているお子さんなど、感染症ではない子どもたちやご家族のためのスペースとして使っています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

長田郁夫院長 子育て長田こどもクリニック6

小児科は子どもの総合窓口。困ったことがあれば気軽にご相談ください。全身を診て、専門家に診てもらったほうがいいと判断した場合や、ご希望があれば紹介することもいといません。当院では病診連携を重視し、専門分野に関しては病院に近いレベルの診療を提供しつつ、高度な検査や治療が必要と感じたら積極的な連携を心がけています。病診連携では鳥取県の医療機関同士の情報共有システムを使い、他にも院内ではICT(情報通信技術)をフル活用しています。ホームページからの予約やウェブ問診、電子カルテではエックス線や超音波などの画像データを一元管理できるシステムを採用し、厳重な管理のもと情報を共有して大切なお子さんの成長を見守りたいと思っています。医療機器や知識に関して、積極的にアップデートして世の中のレベルから遅れないようにも心がけていますので、安心してお越しいただければと思います。

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