全国のドクター9,336人の想いを取材
クリニック・病院 158,521件の情報を掲載(2024年5月19日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 横浜市西区
  4. 横浜駅
  5. 内藤クリニック
  6. 内藤 政人 院長

内藤 政人 院長の独自取材記事

内藤クリニック

(横浜市西区/横浜駅)

最終更新日:2021/11/22

内藤政人院長 内藤クリニック  main

「病気を治すには医者の力だけに頼っても駄目。患者さん本人の力が大切」と語る「内藤クリニック」内藤政人院長。米国に留学し、日本ではまだ研究が進んでいなかった不整脈を学び、大学病院などで不整脈や虚血性心疾患の研究と臨床に携わってきた日本循環器学会の循環器専門医だ。また幅広く内科領域の研鑽を積み、生活習慣病全般の医療相談に応じたり、講演活動を積極的に行う。病気の原因となっている悩みやストレスを聞き出し、患者に寄り添い解決の道を探ることで、根本的な病気の治癒をめざす診療スタイルもユニークだ。自身も率先して健康的な食生活を送り、人生の達人とも言うべきライフスタイルも興味深い。循環器専門医としての確かな医療にこだわる、人間味あふれる人柄も魅力的なベテランドクターだ。

(取材日2013年12月5日/更新日2021年11月19日)

全国から循環器の病気に悩む患者が訪れる

医師を志したきっかけを教えてください。

内藤政人院長 内藤クリニック 1

子どもの頃からバイオリン、ピアノを習い音楽が好きだったので、当初は芸大に進み指揮者になりたいと思っていましたが、父の勧めもあり結局、医師になろうと慶應大学医学部に進みました。学生時代、無医村地域の医療研究会に属し、雪で閉ざされる地域には高血圧や脳卒中など循環器の病気が多かったので関心を持っていたところ、卒業後はたまたま循環器科教室に入れることになったのです。ちょうどカテーテルによる治療が始まり、循環器領域の医療が目覚ましく発展し始めた頃でした。大学院修了後、東京での病院勤務を経てアメリカへ留学。ここでも幸運に恵まれ、当時まだ日本ではあまり進んでいなかった不整脈の研究に携わることができました。決して計画的ではなかったですが(笑)、恩師や運にとても恵まれてきたと思います。

そして、ご開業されたわけですね。

はい、50歳に近づき、定年後のことなどを考えて開業しようと決心しました。またずっと東京の病院で勤務していましたが、最後は生まれ育った横浜に戻りたいと思い、この地での開業を決めました。開業前から自分の考えをまとめた本を出版しており、開業後全国から来院されるようになりました。また全国からの講演の依頼が増え、一時は毎週のように各地で講演をしていました。開業するときに、「消化器科を手がけないと内科クリニックの経営は難しい」と言われていたのですが、私の場合はさまざまな幸運に恵まれ、おかげさまでたくさんの心臓病の患者さんに来ていただいております。

クリニックの雰囲気はいかがですか?

内藤政人院長 内藤クリニック 2

ありがたいことに「ほっとする空間ですね」と言っていただくことも多いんです。その理由を考えてみると、やはり長年当院を支えてくれているスタッフに助けられているんだなと感じます。私たちは毎朝必ずミーティングを行っています。その中では、例えば新しい薬や治療法の話など医療に関するトピックスに加え、私の診療への思いやスタンスもしっかり伝えます。それによって自然と私の思いがスタッフにも浸透し、今では私が特に指示をしなくても、スタッフが診療前後に自ら患者さんの話を聞いてくれています。診療に追われる日々の中で、こういった頼もしいスタッフの支えは本当に助かっています。また患者さんも、私に話しにくいこともあるでしょうから、そのような時はぜひ気軽にスタッフに話してみてほしいと思いますね。「ここに来ると心が少し軽くなる」と患者さんに言っていただけるのは、そういったスタッフの細かな気遣いのおかげだと思っています。

病気の背景にある悩みやストレスを聞き出す

診療方針を教えてください。

内藤政人院長 内藤クリニック 3

日本の医学はドイツ医学の影響を受けた、いわば“研究室医学”で、患者さんの立場に立って考えるという姿勢が欠けていると感じます。患者さんを研究の対象としてデータを集めて論文を書いて学会発表……という医療にあまりなじめませんでした。私は医師らしくない医師なのかもしれませんが、上から目線の医師像に違和感を感じます。医師と患者さんは上下関係ではなく、対等であるべきです。そして医師にできることは限られており、本当に病気を治すのは患者さん自身の免疫力や治癒力だと思うのです。それを手助けし、引き出すことが医師の役割だと考えて日々の診療に携わっています。

どんな患者が多いのですか。

循環器疾患を中心とした医療相談が多いですね。他の病院や薬でなかなか治らないとか、教科書どおりの医療がいやだという患者さんが来院されます。医療において正確な診断と適切な対応というのは、実はとても難しいことなのだと思います。例えば不整脈や動悸の原因はストレスであることが多いので、診療技術と経験だけでなく、患者さんが何に悩んでいるのか、カウンセリングのように聞き出すことが必要になってきます。「何を悩んでいるんですか」と単刀直入に聞けるものではないので、少しずつ聞き出していくのが難しいんですね。私は、患者さんが診察室に入ってくる様子や、最初の一言でだいたいどのような状態であるかはわかるので、それに合わせて対応していきます。「ここに来るとホッとする」「話を聞いてもらって楽になった」と患者さんに感じていただけるように心がけています。

循環器の病気にはストレスが関わるのですね。

内藤政人院長 内藤クリニック 4

そうなんです。最近も動悸がして困ると来院された患者さんの話をよくよく聞いてみると、実はお孫さんの不登校を心配されていたというケースがありました。誰にも相談できず、お一人で悩まれていたんですね。こうした悩みを聞き出さないと、いくら薬を飲んでも症状は良くならないんです。さらに誤った食生活や運動不足などの生活習慣が循環器の病気には大きく関わります。若い医師は症状に対する治療に注目しがちで、病気のそもそもの原因である悩みやストレス、生活習慣などに思いをめぐらす余裕がないことも多いのです。病気になる人は、病気に至る背景を持っているので、その背景を理解することが医師には必要だと思います。

自らもバランスのとれた食生活や運動を実践

ご自身の健康法を教えてください。

内藤政人院長 内藤クリニック 5

食と運動と休息について、皆さんにお話ししていることを自分でも実践しています。きちんと栄養のあるものを食べて、体を動かして、睡眠をとること。日々の生活の中でこれを継続実行していくためには強い意志が必要です。朝起きたらまず30分体操をします。食事はタンパク質と野菜を中心とした和食で、ごはんやパンは一切食べません。以前は、朝食はコンチネンタルスタイルのパン食、昼は麺類が多かったのですが、タンパク質と野菜中心の食生活に切り替えてから体調がとても良くなりました。また免疫力を高めたり吸収を助けたりするのに腸が大きな役割を果たすことがわかってきました。加齢につれて腸内環境が悪くなりますので、腸内を整えるために食物繊維をとっています。

プライベートな時間の過ごし方を教えてください。

私は365日家でじっとしていることがないんですよ(笑)。中学生の時に歴史研究会に入り奈良や京都を訪ねたのがきっかけで、今も寺めぐりをするのが好きです。全国の主な寺院には行きましたので、最近は、出雲大社や伊勢神宮など神社に出かけたり、美術館巡りをしています。また、物事がスムーズに進まなかった時や忘れたいことがある時は、夜に一人で港の見える丘や山下公園のあたりを、何も考えず歩いてすっきりするようにしています。その日のうちにストレスを解消してしまうのが良いと思いますね。

読者へのメッセージをお願いします。

内藤政人院長 内藤クリニック 6

真面目な方ほど、一生懸命に努力しようとするのでそれがストレスになり、動悸や胸の痛みの原因となることがあります。特に最近は、子どもさんのことや親御さんの介護の問題で悩まれている女性が多いと感じます。そうした方には「人生、悩んでもなるようにしかならない」とお伝えしたいですね。人は他者によって生かされているのであって、自分の思うようにはならないこともある、ということを悟るべきだと思います。悩んでも自分の思うようにはならないとわかると気が楽になって、重荷が軽くなるのではないでしょうか。医師の仕事は患者さんの話を聞いて、病気の背景となっている重荷を下ろすお手伝いをすることだと思います。ストレスや悩みを解消する方法として一番良いのは、人に話すこと、誰かに聞いてもらうことです。ぜひそんな悩みやストレスを打ち明けることができる、信頼できる医師と巡り合ってください。

Access