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野村 雅寛 院長の独自取材記事

こっここどもクリニック

(海老名市/厚木駅)

最終更新日:2024/06/07

野村雅寛院長 こっここどもクリニック main

海老名市や隣接する地域に住む家族の頼れる存在である「こっここどもクリニック」は、未熟児や新生児の診療経験が豊富で、子どもに直接語りかけ、その表情や反応も重視しながら診療する野村雅寛院長が2011年に開院。心と体に余計な負担をかけないよう不要な検査は避けるなど、子ども中心の診療スタイルを貫いている。「みんなに笑顔でいてほしいから不安なことがあれば迷わず受診を」と話す野村院長に、同院の方針や診療の特徴を聞いた。

(取材日2024年3月21日)

子どもに直接語りかけ、表情や反応なども参考に診断

こちらでクリニックを始められた経緯などをお聞かせください。

野村雅寛院長 こっここどもクリニック1

卒業した大学から比較的近く、また当時は海老名市に小児科のクリニックが少なかったこともあって、幹線道路沿いのこの地に開院しました。当院は海老名市のやや西寄りにあり、小田急線の厚木駅からも徒歩圏内。土・日曜日も午前中は診療しているためか、近隣のお子さんはもちろん、隣接する厚木市、座間市、寒川町、綾瀬市、大和市などから来院されることも多いです。もともと私は大学病院の小児科の中でも未熟児や新生児が専門で、NICU(新生児集中治療室)も担当し、一生懸命に生きようとする子どもたちを必死で診ていました。小さなお子さんは痛いとか気持ち悪いとかうまく言えず、手や足をバタつかせたり苦しそうな表情をしたりして、不調を訴えてきます。そうした経験を通して、当院でも子どもたちに少しでも寄り添えたらと考え、一人ひとりの気持ちを大切にした診療に努めています。

お子さんを診るときの心がけを教えてください。

基本的にお子さんから直接話を聞いて、保護者からは補助的な話を伺うスタンスです。お子さん一人ひとりに人権がありますし、直接語りかけて答えをもらうようにすると「自分を認めてくれた」という感覚を持ってくれるでしょう。病気の療養で学校を休むときも、カレンダーを見せて「ここからここまではお休みしてね」と話した上で、付き添いの保護者に説明をします。もちろん、小さなお子さんは自分の痛みや不調をうまく説明できないこともよくあります。例えば「おなかが痛い」と言う子でも、おなかを触って痛みを訴えなければ、本人に痛みの様子を聞きながら気持ちが悪いのか頭が痛いのかと考え、耳の中の腫れも確認するなど全身を診ていきます。そして「この病気だったらこうした症状が特徴的」といった専門知識と重ね、並行して保護者にご自宅での様子や便の状態などを伺い、診断につなげていくのです。

診療の際にはどんな点に注意されていますか?

野村雅寛院長 こっここどもクリニック2

新生児などを多く診てきた経験から、お子さんの顔色や表情、体の動き、話しかけに対する反応などから得られる情報を大切にしています。一方で、季節性のインフルエンザのように目的が明確な検査を除いて、血液検査などの検査は必要なとき以外は行わない方針です。お子さんにとっては血を採るだけでも痛みや怖さを感じますし、大人よりも血管が細くて注射針を刺したときの負担も大きいからです。私が検査が必要と考えるのは、全身を診ても特に異常はないのに数日間熱が続いているとか、明らかにぐったりとして元気がないようなとき。それに検査の結果次第では専門的な対応が必要と見込まれるケースなら、その場で病院に紹介して検査をしてもらうほうがスムーズだと思うのです。保護者の方がアレルギー検査を希望される場合も、得られる結果が症状に結びつくとは限らないなど検査の性質を説明し、改めて判断していただくようにしています。

子どもの様子がいつもと違って不安なら迷わず受診を

どういったときに受診すると良いのでしょうか?

野村雅寛院長 こっここどもクリニック3

保護者の方がお子さんを見て「何か変だな」「これは大丈夫?」と疑問や不安を感じたときは受診を勧めています。普段の様子を知っている方が、いつもとは違うと感じる“気づき"は大切ですから。それに「あのとき受診していれば」と後悔してほしくありませんし、診察を受けて何もなければ「良かったね」と安心してお戻りいただけます。当院を受診するお子さんの8割くらいは発熱で、残りは咳や鼻水がとまらないといった症状。大抵は安静にしているか薬で治ることが見込まれるものです。ただ、薬を処方しても数日間はつらい思いが続くことが多く、それを伝えるのは心苦しく感じています。よく「薬を処方されたけど良くならない」との相談も受けますが、まずは処方された期間はお子さんに薬を飲ませてみることが大切です。

最近は発達についての相談も多いと聞きます。

まず保護者の方には「お子さんは今成長過程ですから長い目で見てください。思考や行動の一部を取り出して不安に思うのはあまり得策ではありません」と話しています。言葉が遅い、じっとしていられないといっても、お子さんごとに発達は異なりますし、周囲の環境によって行動が変わることもしばしば。初診後は1ヵ月ほど通院してもらい、お子さんを多角的に診ながら、保護者が何を気にして不安に思っているのかを聞き、どんな問題があるのかを探っていくのです。あわせてインターネットやSNSの情報をもとに自己判断しないようアドバイスしていますね。また、テレビ画面やスマートフォン・タブレット端末で、お子さんに動画を見せる保護者も多いのですが、視聴時間が長すぎるとコミュニケーションや言葉の発達に影響すると私は考え、絵本の読み聞かせなどお子さんと言葉のキャッチボールをする機会を増やすように伝えています。

クリニックでは乳児・小児以外も診ているそうですね。

野村雅寛院長 こっここどもクリニック4

ええ、一般的に小児科は中学3年生、15歳くらいまでが対象と考えられていますが、当院は成人しても通ってくれるお子さんも結構います。風邪やちょっとした体調不良で来院した後、しばらくすると「元気になりました」と顔を見せに来てくれたり(笑)。また、保護者の方が病気になったときも、お子さんを連れて小児科と成人向けの内科を回るのは大変でしょうから、ご希望があれば一緒に診させていただきます。近くにお住まいの高齢の患者さんが高血圧症や糖尿病予備群といった生活習慣病で定期的に通院されるケースもありますし、こうした広がりは地域密着のクリニックならではかもしれません。このほか地域医療連携の一つとして、市内の産婦人科の病院で新生児の診療も担当しています。

「偉ぶる医師になるな」という父の言葉を心に刻む

診療室の壁に貼られた「こっこ先生へ」などの子どもたちの絵がほほ笑ましいですね。

野村雅寛院長 こっここどもクリニック5

当院の「こっこ」という院名は私が飼っていた犬の名前からつけましたが、今では私のニックネームになってしまいました(笑)。子どもたちが描いてくれた絵をしまっておくのはもったいなくて、一つ一つパウチ加工して診療室の壁に貼っています。同じ子からの絵を入れ替えるほかはずっと貼ったままですから、今では壁一面に絵が広がりました。お子さんは自分の絵を見つけるのがうまく「私が描いた絵だ!」と喜んでくれますね。このほかに、自分が以前に読んだ絵本をほかの子にも読んでほしいと持ってくる子もいて、それらは待合室に置いてあります。誰にとっても病院やクリニックはあまり行きたくない場所。少しでも来るのが楽しくなればと、子どもたちの好きなイラストを飾ったり、妖精をモチーフにしたデザインを取り入れたりしています。診療室にも季節によって観覧車のおもちゃを置くなど楽しくなる工夫をしています。

先生が医師をめざしたきっかけなどを教えてください。

人の役に立つ仕事をしたいと思ってめざしましたが、会社員だった父から「医師になって周囲に偉そうな態度をとるようなら、すぐに仕事を辞めなさい」と諭されたことは深く心に刻んでいます。お子さんに直接語りかけ同じ目線で診療する姿勢は、父の言葉の影響が大きいですね。当初は消化器内科を専門に考えていたところ、学部時代の指導教員とのつながりで小児科志望になってしまいました。大学病院や地域の基幹病院で未熟児や新生児の診療に長く携わったおかげで、言葉以外に表情や態度から相手の痛み・苦しさを受け止める大切さを学ぶことができました。

それでは地域にお住まいの方にメッセージをお願いします。

野村雅寛院長 こっここどもクリニック6

当院は土・日曜日とも9〜13時までは診療時間ですから、急な体調不良などの際にご利用ください。受付順の診療のためお待たせすることもありますが、どの曜日、時間帯も看護師が4人以上はいてくれるので、事前の予診なども比較的スムーズですし、待合室などでの目も行き届くと思います。子どもたちには毎日元気でいてほしいので、お子さんがつらそうなときは迷わず受診していただければと思います。

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