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岡本 光明 院長の独自取材記事

耳鼻咽喉科岡本医院

(大阪市住吉区/あびこ駅)

最終更新日:2023/12/04

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院 main

大阪メトロ御堂筋線のあびこ駅から歩いて約3分。あびこ筋を一つ東へ入った通りにあるのが「耳鼻咽喉科岡本医院」。昔瓦屋根の2階建てという、どこか懐かしいたたずまいが物語るように、前身となる医院ができたのは半世紀以上も前のこと。2004年に現在の院長である岡本光明先生がそのまま継承し、地域住民に向けた医療を今なお提供し続けている。岡本院長はもともと胸部外科の出身で、耳鼻咽喉科に転身したというユニークな経歴の持ち主。その豊富な経験を生かしつつ、大阪市住吉区医師会の理事や小学校の校医を務めるなど、広い視野での医療に積極的に携わっている。そんな岡本院長の足跡をたどりながら、耳鼻咽喉科の診療や患者に対する思いをじっくり聞いてみた。

(取材日2019年7月12日)

耳鼻咽喉科の領域は体全体から考える

こちらの医院は、ずいぶん古くからあるそうですね。

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院1

はい、今から65年近く前からになります。私が大阪大学大学院医学部医学研究科を卒業後、前院長が引退することになり、私が仁瓶医院という耳鼻咽喉科医院を引き継いだのが約20年前のことで、患者さんの中にもスタッフの中にも先代の時代からの人がいます。患者さんはクチコミや紹介で来られる方が多いですね。

院長はもともと胸部外科の出身とのことですが。

私は和歌山県立医科大学を卒業後、同大学の付属病院で心臓血管外科医師をめざして研修医をして、10年間胸部外科と外科の研鑽を深めました。その間に結婚しましたが、その頃は自分が耳鼻咽喉科の診療をすることも開業することも想像すらしていませんでした。その後、訳があって大学を急に辞めるということになり、義父の知り合いが大阪医科大学の耳鼻咽喉科の教授だったので、そこで勉強をして日本耳鼻咽喉科学会の耳鼻咽喉科専門医を取得したわけです。当時は1年目の若い研修医に混じって採血なんかをすると、患者さんから「先生、研修医なのに上手ですね」と言われたものです。10年間も医師をやっていましたから当然なのですが(笑)。

耳鼻咽喉科に転向して何か気づいたことはありますか?

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院2

耳鼻咽喉科専門医の試験に合格した時に口頭試問の先生から言われたのは、「胸部外科を専門にする耳鼻咽喉科の先生は、なかなかいないですよ」ということです。確かに胸部や腹部の手術経験のある耳鼻咽喉科医師はそういないでしょうし、気管支ファイバーや胃の内視鏡、血管造影なども私は手がけていましたが、そのような経験のある耳鼻咽喉科医師も少ないでしょう。ただ、上部内視鏡検査では、口から入れているのに基本的には口・咽頭は診ません。気管支ファイバーは鼻から入れますが、せいぜい喉頭の腫れを診るぐらいで鼻は診ないことが多いわけですね。せっかく通り道にあるのに診ないのは不思議なことです。私はこれまでの経験のおかげで、逆に鼻や口、咽喉、喉頭を呼吸器系や消化器系の入口と捉え、常に体全体から耳鼻咽喉科の領域を考えるようになりました。

大切なのは患者が納得できる治療を提供すること

どのような症状の患者さんがよく来られますか?

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院3

やはりアレルギー性鼻炎の相談がすごく多いですね。子どもに関しては、急性中耳炎は減りましたが、副鼻腔炎と滲出性中耳炎が圧倒的に多いです。特に小さなお子さんの場合、鼻炎にしろ副鼻腔炎にしろ悪循環に陥りがちで、ぐずぐずと鼻を鳴らしていて単なる鼻風邪だと思っていると慢性化してしまうことがありますから、場合によっては内科より先に耳鼻咽喉科で診てもらうほうが良いかもしれませんね。あと、やはり町の診療所ですから耳鼻咽喉科の領域外のことも患者さんからよく質問されます。「最近、胸が痛くて」などと相談されたり、セカンドオピニオン的なこともよく聞かれますね。地域で診療しているとそういう役割も必要かと思いますから、私も自分の知っている範囲でなるべくお答えするようにしています。

院長が心がけている診療スタンスを教えてください。

なるべく良心的な治療、来院した患者さんが納得できる治療をすることです。まずは訴えをよく聞くために、話しやすい状況を常につくらなければなりません。治療して症状を取ることができれば一番ですが、耳鳴りや咽喉頭異常感症のような場合は、それが気にならない状態にすることもまた大切です。鼻詰まりがあると言うのに全然詰まっていないとか、喉に違和感があるというのに診れば何もないとか、そういう症状が耳鼻咽喉科には多々あるんです。つまり、物理的な事実がないこともあるのですね。しかし、「あなたの気のせいです」で済ませてしまうと、それは我慢してそのまま生活しなさいという意味になってしまいますから、そういう方を少しでも楽にしてあげることも医師として大事なことだと考えています。

耳鼻咽喉科は生死に関わるところではないといわれていますが。

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院4

耳鼻咽喉科というのは意外にそういった部分に関わる領域で、ピーナッツを飲み込んで喉に詰まったなど、救急で耳鼻咽喉科が処置することは少なからずあります。例えば急性喉頭蓋炎などの場合、上気道の狭窄があれば管を入れて気道確保をするという治療の選択肢もあると思うのですが、耳鼻咽喉科ではなく救急科に搬送されてその判断がつかずに対応が遅れることもあります。また、心臓が悪い方の鼻血が止まらないといった場合、心臓外科の先生が専門外だからと耳鼻咽喉科医師に任せるとします。心臓関係の薬は血が止まりにくくなる薬も多いので、余計にそうなるのでしょう。やがて血圧が下がって鼻血は止まりますが、心臓が危険な状態だということに耳鼻咽喉科医師が気づかないこともあります。こうした事態は実際にあり得る話で、救急科医師も外科医師も耳鼻咽喉科医師も互いに広い視野を持って協力して治療にあたらねばならないと、つくづく感じます。

医学者としての自覚を常に持ち続けていたい

院長は現在、医師会の理事も務めていますね。

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院5

はい。大阪市住吉区医師会の理事をさせていただいています。医師会と聞くと医師同士の内々の活動と思われがちですが、一般市民に向けた社会的な活動を結構やっているものです。なぜか、そちらはあまり注目されませんが、どうか少しご理解いただきたいと思いますね。また、みんなが協力し合って成り立っていることもたくさんありますから、一緒に社会貢献に参加してくださる医院が少しでも増えればなと思います。ちなみに近年になって耳鼻咽喉科の医院がかなり増えました。この住吉地区は特に多いので、患者さんは好きな医院が選べて幸せな状況ではないかと思いますね。

院長のご家族や趣味について教えてください。

現在は妻と2人暮らしで、住まいは大阪医大で耳鼻咽喉科の診療を始めてからずっと高槻市です。息子も今は内科医師をやっています。息子には、医学者としての自覚や矜持を常に忘れないでほしいですね。昔の日本の先人たちの無償の研究のおかげで現在の医療水準があるわけで、ただ習ったことをやるだけではなく、医学全般に目を向けて考えてもらえればと思います。私も常にそういう姿勢で医療に関わってきたつもりですし、体を健康に保っていつまでも医業を続けたいと思っています。私は大学時代はサッカー部でしたから、今もOB会で試合をします。私が飛び抜けて最年長で、他はほとんどが30代以下の若い先生ということもありますね(笑)。あと、住吉区医師会のフットサルの世話役をしていて、もちろんプレーもしますよ。

最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。

岡本光明院長 耳鼻咽喉科岡本医院6

私は子どもの頃はいつも鼻炎で耳鼻咽喉科に通い、春になれば喉をやられて内科に通っていましたから、自分がされて嫌なことはだいたい心得ています。耳鼻咽喉科の診療自体は好きですし、やりがいもあります。心臓や肺を診ていた頃は患者さんの命を救うことこそが使命でしたが、今は患者さんから「楽になった」と言っていただけたらうれしいですね。現代の医療は専門に分かれていますが、人間の体は一つです。耳鼻咽喉科領域での問題が何か別の病気の一症状である場合もあります。「気のせいです」と簡単に切り捨てることはしませんし、私にも誰かを救える部分がまだまだあることを喜びに診療に励んでいきたいと思います。

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