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向山 賢一郎 院長の独自取材記事

ひまわり歯科クリニック 

(世田谷区/千歳船橋駅)

最終更新日:2023/12/12

向山賢一郎院長 ひまわり歯科クリニック  main

生まれ育った街・千歳船橋に、医療で恩返しをしたい。そんな思いで、日々地域の子どもたちの治療にあたっているのは、小児歯科を専門とする「ひまわり歯科クリニック」の向山賢一郎院長だ。48歳まで昭和大学歯科病院小児歯科に勤め、子どもの外傷歯の治療を専門に行ってきた専門家。向山院長は少し会話しただけでも気づけば心を掴まれるような、パワフルで話し上手な愛される人柄だ。明るい色がふんだんに使われ、向山院長の趣味でもある電車グッズや絵が飾られる院内も、ポジティブなイメージを感じさせる。子どもの目線に立ち、患者の気持ちを理解することを心がけており、歯の治療はもちろん、心の成長も促せるような歯科医院をめざしている。患者に寄り添い診療を続ける向山院長に、診療への想いを聞いた。

(取材日2023年11月13日)

外傷歯の処置のスペシャリストをめざして

歯科医師をめざしたきっかけを教えていただけますか?

向山賢一郎院長 ひまわり歯科クリニック 1

医師だった祖父と父の影響を受けました。祖父は茨城で医院を営んでいたのですが、敷地内に豚や鶏の小屋があったんです。当時、その地域には経済的に苦しい方も多く、治療費の代わりに豚や鶏、野菜をいただくケースが多くあったからだそうです。地域の方々と向き合い、一緒に悩みながら診療する。そんな祖父や父の姿を見て育ってきました。私自身も「医療はお金儲けをするためのものではない」という思いをもとに、診療に取り組んでいます。

どのようなご経歴を歩まれてきたのですか?

昭和大学歯学部卒業後は、昭和大学歯科病院の小児歯科に入り、講師まで務めました。小児歯科を専門にしたのは、人とは違うことがしたかったから。大学時代、歯周病の研究のため農村や島に行ったことがあり、そこで歯科治療をする中で小児歯科の大切さを実感したことも1つのきっかけです。「地域の方々のための医療に携わりたい」という想いが強くあったので、48歳の時に開業を決意しました。2005年に祖師谷で開業し、2013年に千歳船橋へ移転。私の生まれ育った場所でもありますし、もともと父がこの場所で医院を開業しており、兄に継承された後、場所を引き継ぎました。患者さんは0歳の赤ちゃんもいらっしゃいます。ある程度の年齢になると一般歯科へ行くお子さんもいますし、20歳をこえても通い続けてくれている患者さんもいるんですよ。

小児歯科ならではの治療には、どのようなものがあるのでしょうか。

向山賢一郎院長 ひまわり歯科クリニック 2

矯正治療の中に、乳歯から永久歯に生え替わる時期に行う咬合誘導という治療があります。きちんとした噛み合わせをつくっていくことを目標に行うものです。永久歯が生えそろった後に行う矯正は金額も高くなってしまうことが多いので、子どもにやってあげたいけれど経済的に難しく、ためらうご家庭も多いと思います。咬合誘導は、将来的にどのように歯が生えてくるかを適切に見極めながら顎の成長を促していくことをめざすので、将来的に矯正が必要でも、治療が部分的、もしくは抜歯を伴うような大がかりな矯正の必要性が少なくなるなど、負担軽減につながると思います。

どのような治療を得意とされているのですか?

昭和大学歯科病院に勤務していた頃から外傷歯の治療を専門とし、主に歯をケガしたお子さんへの処置を行ってきました。これまで数多くの患者さんを診てきましたね。当院でできない治療は私の師匠にお願いし、外傷の場合は顔にできた傷痕の治療を得意とする形成外科の先生をご紹介するようにしています。私は、患者さんからのご相談を、自分だけで抱え込むことはしません。まずは、できる治療とできない治療の道筋をしっかりつけること。そして、それぞれを専門としている先生にスムーズにご紹介できるような体制をつくることも、私たち歯科医師の大切な務めだと思っています。

子どもの気持ちを理解し心をほぐしながら治療を行う

お子さんは特に歯のケガが多いイメージです。

向山賢一郎院長 ひまわり歯科クリニック 3

外傷によって歯が変色するケースが多くあり、私は「歯の色彩学」を研究テーマとしてきました。これまで2000人ほどの変色歯の子どものデータを取り、健康な歯と、病んでいる歯の血流の違いがどうなっているのかを調査してきました。少しの歯の動揺が見られても、固定できれば変色は起きないのではないかという結論に達し、当院での治療にも生かしています。変色歯にお悩みの方は、ぜひご相談していただきたいです。この研究を始めたきっかけは、自分の子どもが小さい頃に、転んで歯をぶつけたことでした。旅先だったこともあり「大丈夫だろう」と放置してしまったところ、歯の色が変わってきてしまったんです。それがすごくショックで、かわいそうな思いをさせてしまったなという気持ちが鍵になり、今やライフワークとなりました。

子どもへの治療を行う際に大切にされていることを教えてください。

子どもと目線を合わせ、気持ちをくみ取り、理解してあげることです。それを実感したきっかけが、昭和大学歯科病院で週に1回、障害のある子どもを診療していたことでした。一人ひとり個性があるので、どうやって向き合ったらいいかすごく悩みましたが、教えられたこともたくさんありましたね。例えば、脳性まひのある子どもが、診療の際に泣きながら来たことがあったんです。脳性まひには不随意運動が見られるので、危険を防ぐという意味で体を押さえて治療することが一般的ですが、以前にされた押さえつけが苦しかったことを伝えられず怖い思いをしたそうだと聞き、すごくショックを受けました。救急医療の役割を担う大きな病院では仕方ない部分はもちろんありますが、治療の在り方を考えさせられました。危ないから押さえる前に、押さえなくていい工夫をしているか。そして、患者さんの気持ちをしっかりくみ取ることが大切だと気づきました。

治療を怖がるお子さんもいらっしゃいますよね。

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強引に治療されてしまうとトラウマしか残りませんので、いかに恐怖心を減らしてあげるかが大切です。親御さんには常々「嫌がっているときは無理やり連れて来ないように」とお伝えしているんです。本人が嫌がった日はキャンセルしていただいて問題ないですし、機嫌が良いときに来てくれたほうが、お互いスムーズに進行できるでしょう。大人が親知らずの抜歯を怖いと思うように、子どもにとって初めての抜歯もすごく怖く感じると思うんです。なので、いらしてくださったときは、本人が気づかないうちに終わらせて「なーんだ、こんなもんか!」という感覚を与えられるよう心がけています。

何でも相談できる、街の歯科医師でありたい

他にも、何か意識されていることはありますか?

向山賢一郎院長 ひまわり歯科クリニック 5

1人の患者さんにかける診療時間をチェアタイムといいますが、私は受付をした瞬間からチェアタイムが始まっていると考えています。1分でもお待たせしないように心がけていますし、どうしても待たせてしまう場合は、気持ち良く・楽しい気分で過ごせるような環境づくりをしています。例えば、マイナスイメージを抱かせないよう院内に明るい色を使っていたり、絵をたくさん飾ったり。これは私の趣味でもありますが、院内にはいろいろな電車グッズを置いていて、待合室には実際に電車で使われていた椅子も設置されています。その子が何を好きなのかという情報もカルテに書き記しながら、子どもの心を少しでも解きほぐすことを意識しています。

親御さんとのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。

医療は、信頼あってこそ。不安感を与えるようなことがあれば、そこでおしまいだと思っています。私は電車が大好きで、日本中で行ったことのない場所がほぼないくらい各地に行っているんです。全国の街の話ができるので、特に地方出身の親御さんはそういった話をすると喜んでくれますね。相手との距離感を縮めるために、会話の中で打ち解けていくことがすごく大切だと感じます。また、診療室には親御さんにも必ず入ってもらうようにしています。歯の健康を保つために、親御さんもお子さんと一緒になって取り組んでいくことが大切だと思います。

最後に読者の方々へメッセージをお願いします。

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私自身、この年齢なので大きな展望ではありませんが、何でも相談できる、街の歯科医師でありたいと思っています。生まれ育ったこの地域に医療で恩返しをしていきたいという気持ちで、これからも取り組んでいきたいと思います。何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談くださいね。

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