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真鈴川 聡 院長の独自取材記事

ますずがわ神経内科クリニック

(鈴鹿市/鈴鹿市駅)

最終更新日:2024/02/08

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック main

鈴鹿市中心部に位置し、ログハウスを思わせる外観が印象的な「ますずがわ神経内科クリニック」。院内も含めて木材がふんだんにあしらわれ温かみのある雰囲気だ。神経内科のエキスパートである真鈴川聡院長が同院を開業したのは2006年。長年の病院勤務を通じて「患者さんに真に寄り添い、気持ち良く生活を送っていただける医療を実践するためには、病院の“外”に出なければ」との思いが芽生え、開業に踏み切ったという。外来診療に加えて在宅医療にも精力的に取り組み、多職種連携を図りながら、めざす医療の実現にまい進する真鈴川院長。休診日には介護・看護スタッフ向け勉強会や市民向け公開講座に登壇し、診療前にランニングに励むなど、バイタリティーにあふれる院長に、診療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2019年12月12日)

幅広い神経疾患の診療に応じる地域密着型クリニック

開業に至った経緯、めざす医療像をお聞かせいただけますか?

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック1

医師として複数の病院で研鑽を積む中で、ある種の“限界”を感じたことがきっかけでした。私の専門である脳神経内科で担当する疾患には完治が難しいものも少なくなく、徐々に進行してしまう病気もあります。脳神経内科における治療は、単に「病気を治す」ことをめざすのではなく、患者さんが病気と共存し、ともに歩み、毎日を気持ち良くお過ごしいただくためのものとも考えられます。経験を積むにつれ「患者さんに寄り添い、生活をサポートする医療を実践したい」という思いが強くなり、病院という枠組みを超え、地域の中でめざす医療を実践していくことを決意しました。

神経内科は専門性が高く、病院での診療が一般的とも感じます。地域の中で診療を行う利点とは何でしょうか?

診断に際して、MRI検査や脳血流シンチグラフィー(SPECT)などの専門的な検査が必要な場合もありますが、これらの高価な検査を行わなくても、問診と身体所見から病気を診断することが可能なことも少なくありません。脳は領域ごとにつかさどる機能が決まっているので、症状の特徴や進行速度などを把握することにより、障害が起こっている領域と障害の種類を高い確率で推測することができます。画像検査が必要である場合、CTならば自院ですぐに撮影します。高規格MRIの撮影が必要な場合には連携する医療機関に依頼しますが、多くの場合当日に撮影してもらうことができます。SPECTや脳波検査も通常2週間以内に検査してもらっています。診療に携わる看護師も経験豊富で、患者さんやご家族の相談に応じています。困り事があったらすぐに相談できる場所が身近にあるというのは、患者さんにとって大きな安心感につながるのではないでしょうか。

患者層や多い疾患について教えてください。

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック2

認知症やパーキンソン病、脳血管障害、てんかん、多発性硬化症、脊髄小脳変性症など、脳神経内科領域の主な病気を担当しており、県内から多数の方が通院されています。認知症やパーキンソン病は、内服治療だけではなく、リハビリテーションや生活環境の改善により生活能力の改善が期待できるので、多職種連携に強みを持つ診療所は総合病院とは異なるアプローチを行っています。患者さんは鈴鹿市内にとどまらず、県内から広く来院されています。また、患者さんの中には生活習慣病などを合併されている方もいるので、一般内科も全般的に診させてもらっています。

病気とともに歩む患者の人生を医療の立場から支える

診療で心がけていること、大切にされていることをお聞かせください。

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック3

患者さんが気持ち良く生活していくために、医療の立場から何ができるかを考えること。これに尽きます。精度の高い診断は当然ですが、患者さん自身と、ともに生活するご家族のより良い生活環境づくりにも配慮し、必要な医療や介護を提供できるように心を砕いています。

具体的には、どのようなことに取り組まれているのでしょう?

例えば認知症患者のご家族に対しては、日常生活で気になった点や問題行動、相談したいことなどをノートに書き留めていただき、診察にご持参いただいています。このノートは日頃の患者さんの様子を把握するためのものであると同時に、患者さんとご家族との「緩衝材」の役割を持っています。というのも、ご家族の方は日々の生活の中で患者さんに対して憤りを感じたり、うまく対処できない自分にふがいなさを感じたりして、時につらくあたってしまいたくなることがあります。でもそれでは、患者さんもご家族も傷ついてしまいますよね。私がノートの内容を通じて患者さんの日常を知り、それぞれにアドバイスや励ましの言葉を送れれば、つらい気持ちを軽くできると思うのです。患者さんもご家族も、安心して病気と歩んでいくためには、こういった配慮が不可欠と考えます。

院長は漢方薬にも精通されているそうですが、どのように活用されているのですか?

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック4

脳神経内科領域の疾患は、病状の進行によりさまざまな症状を伴うことが少なくありません。例えばパーキンソン病の場合、便秘や立ちくらみといった自律神経障害による症状が起こりやすいのですが、漢方薬はこのような、“検査値に表れない症状”へのアプローチが得意なのです。西洋薬と漢方薬双方の良い面を生かしつつ、患者さんが困っていることを解決につなげるのが重要と考え、積極的に利用しています。

訪問診療や往診にも応じられるなど、活動範囲が非常に多岐にわたりますね。

病気が進行して通院困難となった場合には在宅医療に移行することもあります。希望される方は在宅看取りも行っています。患者宅を訪問し、自宅の間取りや食事の場所、玄関から居室への動線、風呂やトイレの状態を確認して、本人が快適に過ごすことができるよう検討します。手すりや補助具の利用、訪問リハビリの活用などを多職種と連携してより快適な生活空間になるよう工夫しています。鈴鹿市では、在宅医療に取り組むドクターは少なくありませんし、自治体や医師会も積極的に在宅医療をサポートし,多職種の連携強化を推進しているので、今後さらに地域の中で療養しやすい環境が整っていくのではないかと期待しています。

医療者として地域連携の強化と市民啓発に力を尽くす

地域における多職種連携を行う上で大切にされていることは何ですか?

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック5

各自治体が構築したインターネットを介した多職種連携システムや、医療介護専用コミュニケーションツールを利用し、セキュリティーに配慮した患者情報を共有し、医療と看護と介護の密接な連携を行っています。患者1人に1つのグループを作成し、医療情報をわかりやすく提供したり、他の職種の方が投稿した情報に対して、医学的な解説を加えたりするなど、迅速かつ詳細な情報共有に努めています。各地域の医療連携の集まりに参加することも大事ですね。他にも医療・介護施設のスタッフを対象とした勉強会を、毎月開催しています。参加者の事前アンケートを取り、聞きたい内容を盛り込んでいます。看護や介護に従事する方の意欲はたいへん高く、一方で医療に関する学びの場が潤沢ではない現状もあります。脳神経内科の専門家として、そして医療人として、地域の多職種の方の育成も主業務の一つと捉え、力を入れて取り組んでいます。

神経疾患の早期発見や受診の目安などについて、アドバイスをいただけませんでしょうか。

手足の動きにくさや震えなどの症状により、生活に不便さを感じるようになったら神経内科を受診しましょう。認知症の場合はご自身では異変を自覚することは多くないので、ご家族など周囲の人の気づきが重要です。整理整頓ができなくなる、料理の味つけが乱れるなど、今までと明らかに様子が違うと感じたら、まずは地域の認知症初期集中支援チームに相談をご検討ください。また鈴鹿市では啓発活動が盛んで、私も診療の傍ら市民向け公開講座で神経疾患や健康維持に関するお話をさせていただいています。講座などをきっかけに健康や生活に関心を持っていただければ幸いです。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

真鈴川聡院長 ますずがわ神経内科クリニック6

たとえ病気があっても、病気とともに歩みながら人生の価値を高めることは可能です。当院の最大の特徴は、病気の進行により、生活能力が低下した患者さんに対するサポート力の強さです。単に病気を診るだけでなく、患者さんやご家族の生活をサポートするのが私の使命と考え、今後も医療や看護、介護、福祉に関わる人たちと総力を上げて、地域で生活する患者さんを支えていきます。

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