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井口 裕樹 院長の独自取材記事

いぐち腎泌尿器クリニック

(広島市中区/紙屋町西駅)

最終更新日:2021/10/12

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック main

広島市中区の中心地にある「いぐち腎泌尿器クリニック」。一般的な泌尿器科領域に加え、院長の井口裕樹先生の専門である男性不妊症のほか、性感染症、男性更年期障害などの専門的診療を行っている。中区の中心地というアクセス良好な同院には、さまざまな泌尿器系の症状で悩む人や、妊娠を望む人たちが、県内のみならず山陰地方など県外からも訪れるという。センシティブな泌尿器の問題に専門家として向き合い続ける井口院長に、これまでの経歴やクリニックの特徴、専門とする男性不妊症の診療について、さまざまな話を聞いた。

(取材日2021年7月21日)

男性のセンシティブな問題を専門的に診療

開業までの経緯を教えてください。

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック1

私は泌尿器科の中でも特に男性不妊症を専門としていまして、岡山大学大学院を修了した後は、福山市民病院と岡山大学病院で、専門性を生かした診療を行ってきました。広島に来たのは、広島県が人口の多さに相反して、男性不妊を専門にしている医師が少なく、声をかけていただいたのがきっかけでした。勤務先となった広島市民病院では、当時の上司が男性不妊に対してたいへん理解がある先生で「男性不妊に特化した外来を開設したい」と希望したら、新設してくださいました。ですので、男性不妊症で私が診させていただいた患者さんは県内全域にとても多いのではないでしょうか。そのため、開業するにあたっては、県内全域にいらっしゃる患者さんたちの通いやすさを一番に考えた結果、バスセンター近くの現在の場所に決めたという経緯があります。

なぜ、医師をめざすようになったのでしょうか?

実は私、最初は大学の教育学部に在籍し教師をめざしていたんですよ。教師になるための勉強を進めていくうちに徐々に「教職が自分には合わないな」という結論になり、3回生で思い切ってキャリアチェンジをして香川医科大学(現・香川大学医学部)に入り直したという経緯があるんです。ですので「これがきっかけ」というお話はできないのですが、子どもの頃から医療系漫画や物語は大好きでしたし、意識のどこかに医師という仕事に憧れがあったのかもしれません。それから20年以上も医師としてさまざまな経験をして今に至るので、人生とは本当にわからないものですね。

クリニックの特徴について教えてください。

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック2

当院では一般的な泌尿器科領域に加えて、男性不妊症・性感染症・男性更年期障害などの専門的診療を行っています。更年期障害と聞くと女性だけと思われることもありますが、男性ホルモンの低下によって男性にも更年期障害があることがわかってきました。主な症状としては抑うつや無気力、ほてり、性欲の低下です。ほかには、筋力低下や骨が脆くなるなどといったことにも関係してきます。年齢的には40~50代が多いのですが、ご自分では気づきにくいのかもしれませんね。うつ症状の治療がうまくいかず詳しく調べてみると、更年期障害が原因だとわかったケースもあります。ほかには勃起不全、いわゆるEDの治療も行っています。EDは病気として認知されるようになり、かかりつけ医でも治療されるようになってきました。しかし、やはり専門的な検査や治療を要する場合もあり、そういった患者さんが当院へ受診されます。

男性不妊症の専門的診療を行うクリニック

先生のご専門の男性不妊症についてお聞かせください。

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック3

子どもを望むご夫婦が、通常の夫婦生活を行っても1年間以上妊娠しない場合、不妊症と考えられます。不妊症の原因は、男性側、女性側、あるいはその両方にある場合があり、男性側の精査・治療が必要となるケースも少なくありません。現状、男性不妊症を専門とする医師が少ないことから、私は当院での診療以外に、福山市にある幸の鳥レディスクリニックでも週に1度診療を行っているのですが、最近の産婦人科クリニックは不妊の相談に行くとご主人も検査するよう提案されており、産婦人科でお調べにならない場合や、より精査が必要となった場合は、当院へご紹介いただくことが多いです。妊娠の可能性を高め、診療を効率的かつ円滑に進めるためには、不妊治療を行う産婦人科との連携は必要不可欠です。当院で採取した精子の凍結保存を産婦人科でお願いもしていますし、産婦人科の先生方との情報交換も密にさせていただいています。

ここならではの治療はありますか?

精子がいない、いわゆる無精子症の方の精巣から精子を回収する手術を行っています。精液中に精子が見つからなくても、精巣内には精子がごく少量存在することがあります。精巣はたくさんの管が集まった臓器で、その管の一つ一つを顕微鏡で見て、精子が存在していないかを探していきます。発見できた場合は回収し、提携する産婦人科にて凍結保存し、顕微授精へとつなげていきます。ただし、手術を受けた方皆さんに精子が存在しているわけではなく、回収できる方はおよそ半数以下です。ですので、精子を採取できれば心からうれしいですね。

不妊治療以外では、どのような疾患が多いのでしょうか?

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック4

当院には男性不妊症以外の一般的な泌尿器科疾患の患者さんも多く受診されています。排尿障害などの女性の患者さんもいらっしゃいます。次いで男性の更年期や性感染症でしょうか。特に近年、性病への知識不足により、全国的に梅毒の患者数が増加しています。当院は梅毒の診療も多く行っていますので、患者さんから込み入ったご相談を受けることもしばしばあります。性感染症は夫婦間でうつしてしまう可能性が大いにありますので、例えばご主人がどこかで感染して梅毒と診断された場合、奥さまも検査を受けていただくのがいいでしょう。「妻になんて言えばいいんでしょうか」とアドバイスを求められることもありますが、「誠心誠意謝罪するしかありません」とお伝えしています。

患者の気持ちに寄り添い、プライバシーを最大限に守る

日々の診療で心がけていることは何ですか?

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック5

患者さんのプライバシーを守ることを重要視しています。なぜなら、当院には来院したことを知られたくない患者さんが多いからです。健康保険証を提出されない方もいらっしゃるほどです。ですので、当院では個人情報の管理は厳格に徹底しています。そのため、患者さんには窮屈な思いをさせてしまっているかもしれません。例えば、検査の結果を電話でお伝えすることは絶対になく、必ず来院していただきます。また、当院に通院されているかどうかをご家族に聞かれた場合も回答はしません。当院の診療内容はとてもデリケートです。検査の結果、無精子だとわかったら離婚されるようなケースもありますし、性病は夫婦関係を壊すこともあります。何よりも患者さんの「知られたくない」というお気持ちをお守りしなくてはなりません。

クリニックでの診療だけでなく、講演やセミナーも多数されているのですね。

そうですね、広島県が主催する妊活セミナーを中心に行っています。男性不妊症を専門とする医師はまだ数が少ないため、必然的に私の登壇数が多くなってしまうという背景もあります。ほかには、子どもの性教育について親や学校の先生に向けた講演をすることもあります。当院では子どもにまつわるホルモン治療にも対応しています。男性ホルモンに異常があるお子さんは、子どもの頃は小児科でホルモン治療ができますが、その子が青年期に入ったとき、性行為にまつわる話は小児科ではできません。ですので、小児科の先生方と連携し、当院がそのお子さんたちを受け継いでいきます。まさにバトンタッチですね。やがて彼らに彼女ができ、結婚して、子どもをつくろうと思えるところまでいって、やっとゴールでしょうか。現実はなかなか簡単なことではありませんが、そういったお子さんたちが実際にお父さんになる日を目標に、日々の診療に取り組んでいます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

井口裕樹院長 いぐち腎泌尿器クリニック6

泌尿器の疾患はほかの疾患と違って、泌尿器科に来院すること自体をためらわれる方もいらっしゃるかもしれません。しかしほかの疾患同様、早めに受診し、早期発見・早期治療につなげることが大事なので、恥ずかしがらずに受診されることをお勧めします。また、男性不妊症についても、不妊症の検査自体を拒否される方もまれにいらっしゃいます。しかし、妊娠を望まれるのであれば早くから自分が不妊症であるのかそうでないのかを知っておいたほうがいいと思います。広島県では不妊検査の助成金制度もありますので、参考にされるのもよいでしょう。気になる方はぜひ一度ご相談ください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

精液検査/3,200円、精巣内精子回収術(TESE)/13万円、顕微鏡下精巣内精子回収術(Micro-TESE) /28万円
ED治療薬/900円~(初診料3000円、再診料1500円)

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