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石部 基実 院長の独自取材記事

石部基実クリニック

(札幌市中央区/大通駅)

最終更新日:2021/10/12

石部基実院長 石部基実クリニック main

札幌市営地下鉄の大通駅から徒歩1分に位置する「石部基実クリニック」は、整形外科を標榜するクリニックだ。院長の石部基実先生は北海道大学医学部を卒業後、同大学の整形外科教室に入局し、股関節を専門として長年診療にあたってきた。さまざまな病院で経験を積み、2008年に同クリニックを開業。現在では北海道内の患者はもちろん、北海道以外の地域や海外からも股関節の痛みに悩む患者が足を運ぶ。今回は診療のほか、啓発活動にも積極的に取り組む石部先生に、クリニックの特徴や診療で心がけていることなどについて話を聞いた。

(取材日2021年6月24日)

北海道に加え日本各地や海外から多くの患者が受診

眺めの良い待合室が印象的ですが、こちらに開業した理由を教えてください。

石部基実院長 石部基実クリニック1

何といっても、アクセスの良さです。2008年に開業した時は札幌市南区の真駒内で診療を行っていたのですが、患者さんの通いやすさを追求した結果、2016年に札幌市中央区のこの地へ移転しました。当クリニックには札幌市以外でも北海道にお住まいの患者さんが多くいらっしゃいますが、新型コロナウイルス感染症が流行する前までは、道外からお越しになる患者さんも多く、およそ半数近くを占めていました。そのため道内はもちろん、遠方からお越しになっている患者さんにとっても、通いやすいクリニックであることを重視しています。現在、診療はこのクリニックで行って、手術が必要な場合には同じ中央区にある「札幌外科記念病院」で私が手術を行っています。

患者さんの主な主訴や年齢層についてお聞かせください。

股関節を専門とする整形外科なので、股関節の痛みを訴えてお越しになる患者さんがほとんどです。しかし、股関節の痛みの主な原因となる「変形性股関節症」の方の場合、股関節がうまく機能しないことで、膝、腰、足首にまで痛みや不具合が生じている方もいます。また、股関節の痛みというと高齢の患者さんをイメージするかもしれませんが、患者さんの年齢は幅広く、若い方で20歳代から、高齢になると80歳以上の方までいらっしゃいます。手術が必要になるのは、平均して60歳くらいの患者さんが多いでしょうか。私はこれまでの経験を次の診療に役立てることを大切にしています。特に2008年の開業後は、カルテはもちろん、エックス線やCTの画像などもすべてデータを残しているので、患者さんの診療や私自身の技術の向上にこれらのデータを役立てられることがうれしいですね。

そもそも先生が医師をめざし、股関節を専門とされたきっかけを教えてください。

石部基実院長 石部基実クリニック2

医師を志したきっかけは、江戸時代の医師の姿を描いたとある映画を見て、医師という職業に憧れを抱いたことです。もともと映画が好きで、中でもその映画を撮った監督の作品はDVD全集を持っているくらい大好きです。1982年に北海道大学医学部を卒業後、整形外科の医局に入局し、診療に携わるようになったのが、股関節との出会いです。当時の教授が股関節に関する手術は絶対他の医師にやらせず、自分で手術していたのを見て、漠然と「股関節の手術はとても大きくて難しい手術なんだ」と感じ、やってみたいと思ったことを覚えています。実際診療に携わってみると、股関節の痛みが生活の質に大きく影響することを痛感させられます。手術をすることで、患者さんを元気にして差し上げたいですね。

手術前、手術中、手術後と長期的に患者を見守る

先生が診療で特に心がけていることについて教えてください。

石部基実院長 石部基実クリニック3

第一に患者さんの不安感を取り除くことです。特に手術が必要になる方の場合、患者さんは常に何らかの不安感を持っていることが多いです。そのため、まずは不安を取り除けるよう、パンフレットを作って術前から退院後までの流れをわかりやすく説明するなどの工夫を行っています。ただし、人によってはそれだけでは不安を取り除けない方もいます。患者さんが不安な思いを伝えてくれたときには、私自身がしっかりと相談に応じ、患者さんが安心できるまで向き合います。私自身も数多くの患者さんと向き合ってきたので、皆さんがどんな不安を抱えるか、どう説明したら安心していただけるかがわかってきました。

先生の行う主な手術の内容について詳しく教えてください。

ナビゲーションシステムを使った最小侵襲手術(MIS)を行っています。ナビゲーションシステムとは手術前に撮影したCTのデータを使って、骨の様子を3Dで映し出す技術です。術前に綿密な治療計画を立てられるほか、手術中の様子も確認することができます。また、MISとは通常の手術よりも小さな切開で行われる手術のこと。人工股関節手術の場合、従来の手術ではおよそ15〜20cmの傷が必要でしたが、MISではおよそ7cmの傷で手術を行うことができ、患者さんの早い回復につながり、傷も目立ちにくくなります。MISは手術時の視野が狭くなりやすいため、ナビゲーションシステムを活用することでより安全性に配慮しています。

術後のフォローにも力を入れていると聞きました。

石部基実院長 石部基実クリニック4

股関節の手術は、私の場合で35〜45分と比較的短時間に終了してしまいますが、私はその後のフォローも大切だと思っています。そのため、どうしても遠方で手術を行わなければならない場合を除いて、極力手術後、退院後も私自身が患者さんを診ることを重視しています。手術後はまず、関節の機能を確認します。関節には、「痛みがないこと」「動くこと」「体を支えること」という3つの役割があるので、それぞれ満たしているかどうかを診察します。また手術が必要になる方の多くは、今まで痛みが強くて、下肢をうまく使えていなかった方なので、下肢の筋肉が落ちて細くなってしまっています。そこで、当クリニックでは関節に負担をかけないような筋力トレーニングを指導し、患者さんに継続して行ってもらいます。筋力トレーニングは股関節の病気を治すわけではありませんが、継続することで手術をしなくても痛みの軽減につながる患者さんもいます。

患者に痛みのない明るい人生を送ってほしい

先生は診療以外の活動も積極的に行っているそうですね。

石部基実院長 石部基実クリニック5

股関節に関する一般の方向けの書籍を執筆しているほか、新型コロナウイルス感染症流行前までは、健康に関する啓発のために講演会なども積極的に行っていました。変形性股関節症のような股関節の病気は、手術という治療法が確立されているにもかかわらず、その良さを知らない、情報が伝わらないというケースも少なくありません。そこで、健康について広く情報発信を行う中で、股関節の治療についても知っていただきたいと思い、活動しています。講演会では、ゲストを招くこともあれば、実際に手術を受けた患者さんに話をしてもらったこともあります。今は、道外からの受診が難しくなっているほか、このような講演会などの機会もなかなか設けられないのが寂しいですね。ワクチン接種が広がり、治療薬が出てくれば、また活動を本格化させたいと思っています。

先生の手術を受けた方が「患者の会」を作られたそうですね。

「患者の会」は、もともと私が開業するより前の2006年に、患者さんたちが自主的に設立してくださった団体です。ご自身が受けた治療に関する、さまざまな情報がホームページに掲載されています。患者さんが実体験に基づいていろいろなことを発信してくれているので、これから手術を受ける不安な気持ちを抱えた患者さんが多くご覧くださり、参考にしていらっしゃるようです。私も、患者さんの生の声を聞くことができ、診療に関して改めて気づけることが多いので、患者の会の存在を頼りにしています。

最後に先生から患者さんにメッセージをお願いします。

石部基実院長 石部基実クリニック6

人工股関節手術が必要となる患者さんの多くは「変形性股関節症」です。変形性股関節症などの股関節症全体の80%は、股関節の形成不全が原因であるといわれ、遺伝的要素など生まれつきの体質によるものであることがわかっています。また、女性の患者さんが多いことも特徴です。30〜40代になって股関節に痛みや違和感を感じることが増えた場合や、血のつながりのある親族に股関節の手術を受けた方がいる場合などには、一度整形外科を受診することをお勧めします。

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