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半田 忠洋 院長の独自取材記事

とまり整形外科

(四日市市/泊駅)

最終更新日:2021/10/12

半田忠洋院長 とまり整形外科 main

県道沿いの広い敷地に建つ「とまり整形外科」。満面の笑みで出迎えてくれたのは半田忠洋院長だ。20年来地域に根づいてきたクリニックで、子どもから高齢者まで、症例もさまざまな多くの患者が訪れている。「子どもとはすぐに仲良くなる」と半田院長自ら話すとおり、親しみやすい大らかな人柄で、患者から「先生と話すだけで治った気になる」と言われることもあるのだとか。「大切なのは、まず痛みを取ること、安心させてあげること、そして手術が必要かどうか判断し、必要ならすぐに病院へ紹介すること」と身近なクリニックならではの不安の少ない、迅速な診療を心がける。「あいさつはきちんとする。“上から目線”ではいけない」と明るく語る半田院長に、医療や患者に対する熱い思いを語ってもらった。

(取材日2020年2月14日)

大学病院勤務などを経て開業、地域に根づくクリニック

先生のご経歴やここに開業された理由を教えてください。

半田忠洋院長 とまり整形外科1

私は三重大学医学部大学院を卒業後、同大学医学部附属病院をはじめ、津市のいくつかの病院、現在の桑名市総合医療センター、鈴鹿市の村瀬病院などにおいて10年以上勤務、多くの手術に携わりました。三重県立子ども心身発達医療センターでは身体障害のあるお子さんにも関わりましたね。私は名古屋出身ですが、大学入学を機に三重県にご縁ができ、この地に開業したわけです。もう20年以上通い続けてくださる方も多く、ありがたいことだと思っています。

先生はなぜ医師に、それも整形外科の医師になられたのでしょうか?

私の亡くなった父は産婦人科の開業医でした。夜中でも呼び出されて家族との時間もなく、家族旅行も行ったことがない。子どもの頃、私は医師にはなるまいと思っていたものです。それで実は他大学の工学部に受かったのですが、長男だった私は、両親の「親孝行だと思って」との言葉に負けて浪人して医学部へ。卒業したら好きなことをやってやるぞと思っていたのですが、医学部に入った以上、医師になるしか道はなかったんです。私は高校時代ハンドボール部で、よくけがをして整形外科にお世話になりました。専門を決めるときに、内科にするなどと言おうものなら先輩医師に、あれだけ世話になっておきながら整形外科じゃないのかと言われてしまいます(笑)。整形外科の医師には、サッカーやラグビーなどスポーツをやっていた人が多いでしょう、そういうわけです。ちなみに私の弟たちは、歯科、外科、眼科の医師になっています。

大学病院ではどのように過ごされていたのですか?

半田忠洋院長 とまり整形外科2

三重大学には当時から素晴らしい先生方が多くいらっしゃいましたが、理不尽に感じることがあっても若い先生が意見を言えないでいると、私が代わりに教授に言うんです。それでも歴代の教授たちは皆さん、私をとてもかわいがってくださいました。周りには不思議がられていましたが(笑)。整形外科は職人のような世界です。技は見て盗めという時代でしたが、手術の後、患者さんが心配で私が夜中の0時、1時まで残っていると、先輩が「今日の手術のポイントはな……」といろいろ教えてくれるんです。早く帰った人は教えてもらえない(笑)。

手術の必要性を判断し、病診連携を行っていく

どのような患者さんが来られていますか?

半田忠洋院長 とまり整形外科3

けがをしたお子さんや、部活動で肩や膝を損傷した中高生や大学生、変性疾患といって年齢的な変化による腰痛、膝痛、歩行困難の方などさまざまです。三重県は結構スポーツの強豪校が多くて、当院の患者さんの中にはサッカーや硬式テニスで活躍するような子たちもいるんですよ。「そのうちサイン持ってきてね」と言ってあります(笑)。また当院は、三重県立総合医療センターや市立四日市病院、三重大学医学部附属病院から紹介されてくる患者さんが結構多いです。週に1回か2回は救急車で搬送されて来られる患者さんもいます。

先生は普段、どのようなことを大切にされていますか?

まず必要なことは、痛みを取ることです。それが一番。痛いところをお聞きして、必要な検査や採血に進みます。でも、子どもや妊婦さんにはなるべくそういった検査はすべきじゃないと思っているんです。もう30年以上、患者さんを診ていますから、これは薬を飲まなくてもいいし検査をしてなくてもいい、とおおよそ見当がつきます。整形外科の疾患は、患部を固定したり、オーバーユースの場合は「使わないようにしなさいよ」「これは駄目だよ」と伝えたりなど、薬うんぬんより日常生活を楽にするためのアドバイスが重要だと思っています。あと、最初に「これは危ない病気じゃないよ」と言うことを心がけています。そうすると患者さんは落ち着いて話せるでしょう。反対に何かあるときは「すぐ病院に紹介するから大丈夫だよ」と理由も説明します。患者さんからは「先生と話すと治った気になる」「安心する」と言われることもあります。

こちらでは病診連携をしっかりされているそうですね。

半田忠洋院長 とまり整形外科4

そうですね。特に大学病院には知っている医師が多く、皆、私の診療について把握してくれていますので、こちらから紹介もしますが、病院のほうから「あそこに行きなさい」と言ってくれることもあります。大きな病院は、患者さんにとって遠方だったり待ち時間が長かったりで負担が少なくありません。病院を大型スーパーとすると、こちらはコンビニみたいなもので、待ち時間を短く、できるだけ早く診て差し上げないといけない。開業医は病院へ行くべきかどうかを慎重に、正確に診断するのが役目で、私のように病院勤務時に手術をたくさんやってきた人間だと、これは手術を前提とするかそうでないか、しっかり識別できる自負があります。経験は非常に大事だと思います。

誰にも丁寧に接し、クリニックとしての役割を果たす

こちらは患者さんの数がとても多そうにお見受けします。

半田忠洋院長 とまり整形外科5

朝早くから玄関前に並んでいらっしゃる患者さんもいます。暑い夏や寒い冬などかわいそうですし、わざわざ来てくださったのに待たせるのは失礼でしょう。ですから、本来は9時からの診療なんですが、入っていただいて8時頃から診療を始めたりしています。午後も3時からですが、2時半から始めることも多いです。四日市市と松阪市は整形外科が多いといわれているのですが、その中でも選んで来てくださるわけですから、たいへんありがたいですね。

スタッフの方々についても教えてください。

まずリハビリテーションを行う理学療法士が3人います。開業医でこの人数の専門スタッフをそろえているところはそれほどないのではないでしょうか。先に言いましたように、大きな病院に比べると小さなコンビニのような存在ですが、大きな病院にある機能を小さいなりにしっかり持っていないといけません。その点、看護師もレントゲン技師も、事務スタッフもよくやってくれていると思います。当院はベテランが多く、育休を取って復帰する人もいます。私から特に接遇の指導はしていませんが、「先生が患者さんに丁寧に話しているのに、自分たちが“上から目線”ではいけない」「先生がまめに動いているのに自分たちがぼーっとしていてはいけない」と考えてくれているのではないでしょうか。ただ一つ、あいさつは徹底しています。体育会系ですから、あいさつがいい加減なのは許しません(笑)。

今後についてお考えをお聞かせください。

半田忠洋院長 とまり整形外科6

62歳になりましたので、本当はやめてもいいのではないかと思っています。同窓会に行くと、勤務医の友人や企業勤めの友人は退職してゆったり暮らしていてうらやましい(笑)。私は現在、三重県臨床整形外科医会など社会的な活動も多く、とても忙しいのですが、患者さんたちも頼ってくださるので辞めるわけにもいきません。夜中でも電話がかかってきて対応することもあるんですよ。長男が整形外科の医師で名古屋の病院に勤務していますが、後を継ぐかどうかは本人次第。私としてはこのまま、患者さんが来てくださる限り、子どもでも大人でも対等に接し、見下したりせず、「どうしたの?」と話を聞くことから始めて一生懸命診療をしていくのみです。

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