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前田 純宏 院長の独自取材記事

まえだ泌尿器科クリニック

(香芝市/近鉄下田駅)

最終更新日:2022/06/06

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック main

近鉄下田駅、JR香芝駅より徒歩約2分、便利な立地のメディカルビル3階にある「まえだ泌尿器科クリニック」。開業18年目に入る医院だが、白を基調にした院内は清掃が徹底され、清潔感があふれている。プライバシー保護のため診療室内の声が外部にもれにくい構造、バリアフリー設計、女性用・男性用に分かれたトイレなど、老若男女が安心して通えるような配慮が行き届く。院長の前田純宏先生は、母校の京都大学医学部付属病院はじめ複数の大規模病院にて多くの手術に携わってきた。同院では特定の疾患に限定せず幅広く対応。必要に応じて専門の医療機関へ紹介するなど、街の医院の重要な役割である「交通整理」も適切に行う。取材では、わかりやすい説明をモットーとする方針どおりの丁寧な口調で、同院の特徴やこだわりなどを語ってくれた。

(取材日2022年02月28日)

地域に貢献するため、泌尿器科の不足する地域に開業

医師、中でも泌尿器科の医師をめざしたきっかけは?

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック1

人の役に立つ仕事をしたいというのが漠然とありました。母方の親戚に医師が何人かいますが、それは直接関係していません。ただ高校の頃に母が大病を患って入院し、医師や看護師が献身的に働くのをそばで見て、いい仕事だなと思ったのがきっかけです。母の入院という大変な時期と受験期が重なったのですが、今思えば逆にその状況がストイックに勉強へと集中するきっかけとなり、医学部へ進むことができました。その後医局時代に人として魅力があり熱意を持って接してくれたのが泌尿器科の先生だったのと、内科系、外科系両方の専門性を持って診られることから、泌尿器科を選びました。

開業に至った理由も教えてください。

今振り返ると当時の経験が役に立っているのですが、私が研修医の頃は今と違い労働条件が非常に悪く、同年代のサラリーマンと比較しても忙しすぎる日々を送っていました。研修後も大規模病院で日々手術や先進的な医療に携わるうちに、そういった医療も大切だけど、患者さんに寄り添い丁寧に外来をやっていくことも必要ではないかと思うようになったのが開業を考えるようになったきっかけです。泌尿器科は奈良県全体で不足しているのですが、特に不足しているのがこの香芝市。この地域だとより貢献できるのではと考え、こちらに開業を決めました。

実際開業していかがでしたか?

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック2

地域への貢献は思ったとおりでした。これまでは内科の先生に診てもらっていたり遠くの総合病院まで通ったりされていたところを近くにできたということで感謝され、地域の方は泌尿器科を求められていたのだなと感じます。医師会の先生にも非常に歓迎され、親切にしていただいています。特に縁があったという地域ではなかったのですが、選択は誤っていませんでした。泌尿器科は特に他科とのつながりが強い科ですので、医師会で横のつながりができたことも非常にありがたいことだと思っています。

患者層やよくある主訴は?

患者層としては60歳以上が7割、男女比は7:3で男性が多いです。泌尿器科は9:1でもおかしくないくらいなので、泌尿器科にしては女性が多いと思います。開業して17年たちますが、可能な限り院内をきれいにしているつもりなので、女性が来やすいのかもしれません。多い主訴は高齢者の排尿障害。前立腺肥大症や過活動膀胱などが主流です。

患者が安心して話せるようプライバシー保護を徹底

設備面でのこだわりを教えてください。

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック3

清潔で明るい感じにすることと、泌尿器科なので特にプライバシー保護を意識しています。内装は白を基調にし、きれいに保てるよう清掃を徹底しています。プライバシーについては設計の段階からこだわって、奥まった所に診察室を配置してもらいました。中待合で次の患者さんが待つ医院が多いのですが、ここはそれをせず、診察室の厚い扉を完全に閉めて密閉状態にします。また診療の待ち時間がスマートフォンでわかるシステムを導入し、順番が近くなってから院内で待つ流れになっています。トイレは障害者/男性用、女性用、職員用と分けていて、トイレを待つことのないよう、気分良く使っていただく工夫をしています。医師会でIT部門を担当していることもあり、マイナンバーカードを診察券代わりに使える環境もすでに整えています。

診療に際して心がけていることは?

わかりやすい説明と適切な診療をしていくことです。他院で薬を服用し続けているけれど、どういう病気で何の薬か理解していない患者さんもいます。確かに病院などでは時間的にも難しい手術についてわかりやすく説明するのが困難な場合もあります。しかし医院では難しい内容はそうないので、丁寧に伝えやすいのです。また、患者さんからしたら聞いてほしくないかもしれませんが、正確な診断のため聞くべきことはしっかり聞きます。例えば問診に「おしっこが漏れる」とあっても、我慢できない場合と残尿が漏れる場合で、お薬も異なります。また、何時に寝て何時に起きますかと聞くと、中には夜7時から朝6時まで長時間眠る方もいるでしょう。それでは4、5回トイレに行っても普通です。患者さんは病名と治療内容を前もってイメージして来られると思うのですが、先入観にとらわれず専門家として適切に診断することを心がけています。

先生のご専門は?

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック4

排尿障害ですね。それから性感染症でしょうか。性感染症は病院では診る機会が案外少なかったので、開業時に勉強会に入って学んだり自ら経験を積んだりしました。性感染症を専門とする医師は奈良県ではまだ少なく、奈良県全域や大阪など遠方からも来られます。交通の便が良い所という意味でも、ここに開業して期待に応えられているかなと思います。先ほど言ったとおり、ここは診療中の声が聞こえにくいので安心して症状を話していただけます。もちろんご高齢者の排尿障害などの割合が高いのですが、性感染症においても、当院が求められる部分としてかなりウエイトが大きいのではと感じます。

デリケートな問題に、細心の注意を払って対応

最近多い性感染症は?

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック5

梅毒です。私以下の世代は梅毒に慣れていないので、患者さんはもちろんですが若い先生方も診た経験がなく、なかなか診断がつきにくい。梅毒は第1〜4期と進行とともに症状が変わり、その間に症状が消えることもあるので、適切な診断・治療が遅れてしまう。そういったことも一つの要因となり3、4年前から流行しはじめて、今は若い先生も気がついていて、少し下火になりつつあります。あとは喉の性病。咽頭クラミジアや咽頭淋病はほぼ無症状なので、感染が広がりやすいんです。喉が腫れているとかの診断は耳鼻科でなければ難しいんですが、ここではうがい薬でできる喉のPCR検査で診断しています。性感染症の流行は常に変化していくので、継続して勉強し、知識の更新を心がけています。

性感染症について特に注意している点は?

性感染症は男女間の問題でもあり、診断は慎重にしています。膀胱炎かもしれませんからお薬で様子を見ましょうと言うのと、淋病かもしれませんから薬を出します、パートナーも調べてくださいねと言うのとでは重さが全然違うんです。他の病気は疑わしきは罰するでいいと思いますが、性病では診断がついたかのように対応してしまうと、たとえ結果が陰性でも男女間の信頼関係が崩れてしまうことがあります。診断が決定的でない限りは相手には話さないほうがいいなど、そのあたりはかなり注意するようにしています。

音楽やテニスが趣味だそうですね。

前田純宏院長 まえだ泌尿器科クリニック6

ここ数年は新型コロナウイルス感染症流行の影響で練習も演奏会も止まってしまっていますが、アマチュアオーケストラに10年前から所属しています。楽器はオーボエです。テニスは屋外ですし比較的密を避けられるので、今もしています。昔から運動は得意ではないので、なかなか上達はしませんが(笑)。仕事とまったく異なることを楽しむのは、とても良い気分転換になり、仕事のエネルギーになると考えています。

今後の展望を教えてください。

今までもそうですが、今後もリスクの高い検査・治療や、専門外の内科・皮膚科などの診療を行わない方針でやっていきたいと思います。幸い医師会の活動の中で横のつながりもあって、皮膚科や外科など、必要な病診連携が可能です。そういったネットワークの中で私の役割分担としては、疾患によって適切に交通整理をすることだと考えています。高齢化社会では、そのような医療の形はニーズがあり、十分存在価値があるのではないかと感じています。今後もそういった交通整理を含め、医院としてできる最大限のことをしていきたいと思っています。

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