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田窪 伸夫 院長の独自取材記事

田窪リウマチ・整形外科

(松山市/JR松山駅前駅)

最終更新日:2021/10/12

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科 main

松山市枝松にある「田窪リウマチ・整形外科」は、関節リウマチと変形性関節症、五十肩などの関節疾患を中心に、肩こりや腰痛などの脊椎疾患、骨粗しょう症などの疾患の治療を行っている。関節リウマチのかかりつけ医として貢献したいと同院を開院した田窪伸夫院長は、日本整形外科学会整形外科専門医と日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格を有する医師。人工関節置換術などの手術も行い、他の疾患も同時に患う患者に対しては基幹病院と連携して全身管理に取り組んでいる。県内はもとより、四国の他県、九州・中国・関西エリアからも患者が訪れるという。その日手術を終えたばかりだった田窪院長に、同クリニックの特徴や、開業の動機、診療ポリシー、治療環境のこだわりなどについて聞いた。

(取材日2019年5月15日)

関節リウマチのかかりつけ医になろうと開業を決意

医師になったきっかけを教えていただけますか?

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科1

小学生の頃、私は体が弱かったんです。それで、同級生のお父さんでもあった家の近くの病院の先生にたいへんお世話になっていました。その先生の診療する姿や、病院での患者さんの様子などを見て、医師という仕事のすばらしさを感じていました。小学生の頃に、あの先生のように人の役に立ちたいと思ったのが、医師という職業を選んだきっかけかもしれません。私が大学生だった時代は、大学卒業時に入局する科を決めていたのですが、私は迷うことなく整形外科にしたんですよ。整形外科にしたのは、私が子どもの頃、県庁職員だった父が一時期、体の不自由な子どもさんが通う整肢療護園で仕事をしていたことや、自分自身が先天性股関節脱臼だったことなどが影響しているかもしれません。

松山赤十字病院に長くお勤めだったそうですが、開業の経緯をお聞かせください。

1989年から16年間、松山赤十字病院リウマチセンター(現・リウマチ膠原病センター)に勤務し、人工膝関節の開発者で、リウマチセンターを開設された山本純己先生のもとで診療や研究に取り組みました。松山赤十字病院時代の経験を通して得たり、山本先生から教わったことは、私の診療の礎となっています。開業のきっかけとなったのは、国の医療政策によって松山赤十字病院が急性期病院になったことでした。患者さんの入院期間に制限が設けられてしまったため、一定期間後は患者さんに転院してもらうことを告げるのですが、患者さんからは「続けて診てもらいたいのに……」と言われてしまうことも。患者さんが「先生、もう帰れますよ」言ってくださるような状態になるまで手術からリハビリまで一貫して治療を行いたいという思いが強まり、関節リウマチや変形性関節症を患う人たちの「かかりつけ医」としての役割を果たそう、と開業を決意しました。

どのような症状の患者さんが多いのですか?

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科2

当院に通っておられる患者さんの約半数は関節リウマチの患者さんです。その他に変形性関節症や変形性脊椎症の患者さんなど加齢による関節痛や腰痛、肩こり、また、手足のしびれで悩んでおられる患者さんなどが多く来院されています。

一人ひとりに合ったテーラーメイドの治療

先生は手術もされておられますが、どういった手術なのでしょう。

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科3

当院で行う手術の大半は関節リウマチや変形性関節症などの病気で傷んでしまった関節の機能を取り戻し、痛みなく歩けたり、動かせるようにするための「人工関節置換術」です。また、他には関節リウマチの炎症により断裂した腱の手術や、変形した関節を固定したり変形を矯正したりする関節形成術も行っています。こういった手術で、失ってしまった機能を少しでも元の状態へ戻すことに非常にやりがいを感じています。

診療で心がけていることは何でしょうか。

関節リウマチや変形性関節症は慢性・進行性の疾患なので、治療は長期に及びます。ですから、家庭環境や仕事のことなど患者さんの社会的な背景についても把握し、患者さんの精神的なことや経済的なことにも心を配るようにしています。また、病状や病気の程度に個人差がありますから、患者さんお一人お一人の病状をしっかりとらえ、画一的な治療ではなく、お一人お一人の病状や社会的背景などに合ったテーラーメイドの治療を行っていきます。それから、松山赤十字病院で山本純己先生に教えていただいたトータルマネジメント。これは患者さんの病状や家庭環境を、医師、看護師、理学療法士が共有し、薬物治療、リハビリテーション、生活指導を同じ考え方でトータルに治療を進めていくというものです。

他の病院の他の科の先生と連携されているそうですね。

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科4

はい。関節リウマチの患者さんの病気は関節だけでなく、全身の多臓器に及ぶこともあるため、それぞれの専門分野の先生と密に連携し、適切な全身管理を行えるようにしております。

細部にまでこだわって治療環境を整えていく

クリニックの設備や空間づくりには随分こだわったとお聞きしました。

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科5

はい。関節リウマチや変形性関節症の患者さんは、筋力が低下したり、関節の動きが悪くなったりしていますので、そのことを踏まえた環境づくりに努めました。例えば、椅子やトイレは、脚の筋力が衰えてしまった患者さんや、関節の動きが悪くなった患者さんが座ったり立ち上がったりしやすい高さに工夫しています。車いすを使っての出入りが楽にできるようなスペースの確保や、関節リウマチの患者さんが握りやすい形状と大きさの手すりをちょうどいい位置に取りつけることなど、細かく設定しながらクリニックづくりをしました。

4階には見晴らしのいいラウンジがありますね。

当院は入院が必要な患者さんに安心して治療を受けていただけるよう入院設備を整えていて、入院患者さんには皆一緒にラウンジで食事をしていただいています。入院中の食事はベッドで一人で食べるというのが一般的ですが、それでは寂しいですよね。松山赤十字病院時代に、フィンランドのヘイノラリウマチ基金病院に訪れたときに、患者さんと職員が一緒にラウンジで食事をしていたのを見たことがあったんです。その時の患者さんの楽しく食事をされていた様子が印象に残っていて、あんなふうに少しでも明るく楽しい気持ちで食事をしてもらいたいと思ったんです。食事が終わった後も患者さんがなごやかに会話されていますね。天気がよければ、デッキテラスにも出られます。

最後に読者にメッセージをいただけますか。

田窪伸夫院長 田窪リウマチ・整形外科6

関節や脊椎の慢性疾患は外傷などとは異なり、治療が長期に及びます。症状がなかなかよくならないということで次々と病院を変える患者さんもおられますが、これはまた一からの治療となりますので、やはりそれだけゴールが遠のいてしまいます。慢性疾患は病状の経過を長期に診ながら、お一人お一人の病状に合わせて治療を行っていくことが大事なので、信頼できるクリニックを見つけたら、ここと決めて、医師と手を携えて治療に取り組んでください。

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