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鵜沼 浩信 院長の独自取材記事

うぬま歯科

(厚木市/本厚木駅)

最終更新日:2024/05/13

鵜沼浩信院長 うぬま歯科 main

小田急線本厚木駅から徒歩約8分。厚木郵便局前交差点のビルの2階にある「うぬま歯科」は、開業から地域に根づいてきたクリニック。30年以上のキャリアを持つ鵜沼浩信院長は、歯科診療だけでなく義歯などの技工物の製作も手がける歯科医師だ。治療後の調整の必要がないような診療と技工物の製作をめざす。患者との対話を大事にしていて、趣味のオーディオや写真のパネルで埋め尽くされる診察室内にはユニットが1台だけ。感染症対策と「しっかりその人に向き合うため」にユニット1台のみの体制を選んだそうだ。多角的に患者と向き合い続ける鵜沼院長にじっくりと話を聞いた。

(取材日2024年4月10日)

患者と1対1で向き合い、納得の治療をめざす

鵜沼院長が歯科医師になった経緯を教えてください。

鵜沼浩信院長 うぬま歯科1

医師の家系に生まれたのですが、医師にだけはなるまいと思っていました。両親たちの時間に追われて自由のない生活を見ていたので、そう感じてしまったのだと思います。「医師じゃないなら歯科医師」といった理由で決めたわけではなく、会社員などの選択肢も含めて「自分に向いている職業はなんだろう」と考えた時、やはり歯科医師だと思いました。大学時代からスピーカーやアンプを自作するくらい、手先を動かすのが好きだったことも理由の一つです。今も、診療だけでなく歯科技工も行っていて、大抵のものは自分で作ります。体力的には大変ですが、診療と技工の連携は歯科治療のポイントだと思っているので、すべて自分でやりたいんです。

クリニック内にも、さまざまなこだわりが感じられます。

そうですよね。インテリアという意味でのこだわりはありませんが、確かに普通のクリニックとは少し違うかもしれません。例えば患者さんの視線の先にはモニターがあり、治療中の映像を患者さんも見ることができます。もちろん治療中は患者さんも余裕がないので、口腔内カメラで治療の様子を録画しておいて、治療後に一緒に見ます。突然「虫歯が神経にまで到達していたから取っておきました」と言われても、実際に見ていないと患者さんの納得にはつながらないと思います。「この部分がこのような状態だったから、このように治療しました」と、私が見た様子を共有しながら説明することで、患者さんも安心されるのではないでしょうか。診察室内には自作のスピーカーも置いていて、患者さんが治療中の頭の位置が一番良いサウンドになるようセッティングしました。お好きなCDを持ってきていただければ、治療中に良い音で楽しむことができますよ。

機材や道具を使った細かな作業がお好きなんですね。

鵜沼浩信院長 うぬま歯科2

はい。このクリニックはいわゆる居抜き物件で、私で4代目になるのですが、いざ借りてみると倉庫にはかなりの量の資材が放置されていましたし、道具を手入れした形跡もありませんでした。道具の手入れも含めて歯科診療だと思っている私にはちょっと信じられない光景でした。今は材料も私が納得したものしか導入しませんし、道具は適切に手入れをしています。機械を設計した人や材料を開発した人と直接コンタクトを取るのも好きで、新型コロナウイルス感染症流行前はしょっちゅう話を聞きに行っていました。今も「この素材は加熱しないで使うこともあるの?」なんて、メーカーさんによく電話をかけて質問しています。

幅広い患者から親しまれ続けるクリニック

どんな患者さんが多いのですか?

鵜沼浩信院長 うぬま歯科3

「駅前のおしゃれなビル」とか「カフェのような外観」といった華やかな物件ではなく、年月を重ねてきた建物の2階にありますので、完全な新規の患者さんはあまりいらっしゃいませんね。長く通ってくれる人が多いのが特徴で、カルテが15年分、20年分ある患者さんや、新患の時のお写真を見るとお年を召されて一目ではどなたかわからないくらいの方もいらっしゃいます。ここに開業する前は茨城県で勤務していたのですが、当時からの患者さんもいらっしゃいます。「茨城県に住む母親も通っていたんですよ」と話してくれる患者さんもいるんですよ。

先生が診療で大切にしていることを教えてください。

「選択はすべて患者さんご自身で」というところは大切にしています。現状を患者さんに説明し、治療の選択肢をお伝えしながら「どういうふうにしたいですか?」と、判断を委ねるようにしています。「お任せします」とおっしゃる方もいるでしょうが「はいそうですか」とは答えません。ご自身の口腔内の治療過程の映像を見てもらいながら「虫歯がここまできました。私としてはこうしたいです」と伝えるようにもしています。自分のお口の中のことを知ってもらい、納得してもらって治療を進めたいんです。そのほうが、治療後のメンテナンスも、患者さん自身が自覚を持ってやってくれると思います。自分の歯ですから「お任せします」は良くないと考えています。

アレルギーについても研究されているそうですね。

鵜沼浩信院長 うぬま歯科4

皮膚科や内科といった医科の医師と個人的に情報共有したり、金属アレルギーの資料をまとめたりしています。アルミのアレルギーで歯の治療のたびに発疹が出る人が、どの医療機関に相談しても「詰め物にアルミは使われていないし、治療器具もアルミ製ではないようですね」と言われて困っていたところ、よく調べてみると治療器具のタービンの回転部分がアルミ合金だったとわかったケースがあるなど、歯科治療と金属アレルギーには関連性があります。口腔内に直接触れる部分でなくても、そこからごくわずかな金属の混入の可能性があるんですね。他にも、例えば手のひらや足の裏に湿疹ができる掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症など、歯科領域が原因となって他の体の部分に症状として現れることもあり、診療では原因として考えられるものを一つずつつぶしていく方法をとっています。そのためアレルギーをはじめさまざまな疾患にも配慮した診療を心がけています。

長い目で考え、人生に寄り添う歯科医

興味の対象が幅広いですね。お休みの日は何をされていますか?

鵜沼浩信院長 うぬま歯科5

やはり物作りが多いです。オーディオ作りはもちろん、先日は複葉機の模型作りに熱中していました。余計な部分を削ったり、隙間ができないようにピッタリとくっつけたり、やっていることは歯科技工の仕事となんら変わりはないですね。数日まとまった休みがあると、風景を撮りに旅に出ます。星空なども撮りたいので、基本的に車中泊です。昨年末は十和田湖の奥入瀬渓流に行ってひたすら撮影をしていました。他には、富士山二合目にある水ヶ塚公園駐車場からの風景もとても好きです。写真撮影は9歳の頃から50年以上続けていますし、ここ3年くらいは動画撮影もしています。インターネットに投稿して美しい画像を皆さんと共有したり、21インチのモニターに美しい風景の写真や動画を映したりしています。

今後の展望を教えてください。

10年後もできれば歯科医師をやっていたいと思っています。いつまでやれるかはわからないので、日々、目の前のことを大切に取り組んでいきたいです。新しい知識や技術を勉強するために、情報を得ることは欠かしませんが、治療方針の決定に関しては「患者さんご自身で」というスタンスはずっと変わりません。今は歯科治療もどんどん進んできていますが、やみくもに新しいことを行うのではなく、患者さんから需要のあることを続けていきたいと思っていますし、患者さん自身も自分の歯にもっと関心を持ってくれたらうれしいですね。当クリニックでは予防と治療後のアフターケアを目的に、患者さん自身がケアする方法もしっかり伝えています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

鵜沼浩信院長 うぬま歯科6

まずは、自分のお口の管理のゴールを知ってください。一度しっかりと口の中を磨けばわかると思います。例えば、今まで普通の歯ブラシを使っていた人が音波水流ブラシなどを使って歯磨きをすると、今までのブラッシングと比較して驚くことが多いようです。それだけ自己流できれいに磨くのは難しいといえるのではないでしょうか。どんなに丁寧に磨いたつもりでも、磨き癖や歯ブラシの当て方のムラが出ますからね。それはお口の中を見るとすぐにわかります。逆にしっかりと管理をしている人は、治療回数も少なく済む傾向にあります。できるだけ自分でケアをできるようになってもらうのが歯科医師の本来の役目だと思いますし、極端にいうと、私は「患者さんがこの先寝たきりになっても大丈夫か」といったことまで考えて治療しています。大事な自分の歯ですから、長い目でその人の人生に寄り添ってくれる歯科医師を探してほしいですね。

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