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鳥居 理子 院長の独自取材記事

鳥居耳鼻咽喉科医院

(北九州市小倉北区/平和通駅)

最終更新日:2023/07/03

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院 main

北九州の中心である小倉地区に位置し、小倉駅から徒歩7分の場所にある「鳥居耳鼻咽喉科医院」。鳥居理子院長は、歴史あるクリニックの3代目を引き継ぎ、尊敬する祖父や父の「患者と一生懸命に向き合い、じっくり話を聞く」という診療方針を大切にしている。穏やかで親しみやすい人柄が魅力で、患者から寄せられる信頼も厚い。めまいと難聴の治療を得意とし、一般的な症状の裏に潜む、がんをはじめとした重大な病気を見逃さないよう、近隣の大型病院と連携しながら検査や診断に力を入れる。「患者さんはみんな、不安を抱えてクリニックへやって来る。優しく接することで、安心して治療を受けてもらいたい」と話す鳥居院長に、めまいや難聴へのアプローチ方法、今後の展望などを語ってもらった。

(取材日2023年5月26日)

祖父や父の背中を追って、患者を大切にする医師に

北九州で代々続いてきたクリニックなのですね。

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院1

1935年頃に祖父が門司港で開業し、父の代で小倉へ移転、私で3代目になります。もともと祖父は自宅で開業していまして、その仕事ぶりを近くで見て育ち、患者さんのことを一生懸命に考える祖父や父の姿に憧れていました。ですから、私が医師をめざすようになったのも、とても自然なことだったと思います。産業医科大学を卒業後は、神奈川県川崎市にある関東労災病院や九州労災病院など各地の病院を回り、新小倉病院などで部長を経て当院に戻ってきました。戻ってきてからは、父と一緒に働きながらさまざまなことを学び、2022年の1月に院長を引き継ぎました。

どのような症状に対応しているのか、どのような患者さんが訪れるのか教えてください。

耳と鼻、そして喉に関する症状であれば、全般的に診察が可能です。具体的には、中耳炎や内耳炎、花粉症、口内炎や扁桃腺など、幅広く診ることができるのが特徴です。中でも私が一番得意としているのは、めまいですね。あとは、難聴やアレルギー性鼻炎の対応にも力を入れています。患者さんの層ですが、当院は小倉駅から徒歩7分の立地にあり、近くに北九州市役所があって、周りも店舗や商業施設に囲まれているので、近所の方はもちろん、地方から仕事で来ている方が多い傾向にあります。働いている方でも通院しやすいように、昼休みの時間帯も診察を行っています。

患者さんからはどのような症状に関する相談が多いですか?

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院2

働いている方ですと、風邪気味で喉が痛い、声が枯れる、鼻が詰まるといった季節性のものや、上気道の突発的な症状が多いですね。働き盛りの世代では、がんを心配して来院する方もいます。当院ではビデオ内視鏡を使った検査も行っていますので、相談していただければ対応は可能です。ですが、より適切な診断を行うためにも、がんの可能性が高いと判断した場合は、速やかに北九州市立医療センターや健和会大手町病院など、連携している大きな病院を紹介し、詳しい検査につなげています。一方で、高齢の患者さんについては、めまいや難聴、耳鳴りにお困りの方が多いです。患者さんの中には「いい年だから仕方ない」と治療を諦めてしまっている方もいるのですが、私は「加齢のせい」で片づけたくないと思っています。患者さんの話を聞いて、他に懸念のある病気や原因はないのかを調べ、症状改善のためのアドバイスができるよう、常に心がけています。

背景が違うめまいや難聴、とことん話を聞き原因究明へ

専門であるめまいについて、さまざまな原因があると思いますが、どのようにアプローチしていますか?

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院3

まずは患者さんの耳を見て、目の動きを確認します。あとは、聴力や血圧の検査、重心動揺計を使った体の揺れなども調べていきます。めまいの原因について、統計的には内耳の半規管が刺激されて起こる良性発作性頭位めまい症が多いとされています。短期間で症状が落ち着くことが多いのですが、当院に来る方は一定期間めまいに悩んでいて受診されるパターンがほとんど。その場合は、自律神経系の疾患や脳の血流の問題、心因性によるものなどが疑われます。めまいの原因を探るため、患者さんとしっかり話すことを大切にしています。ただ話を聞くだけでも気持ちが楽になる方もいますから。治療法についても、患者さんの生活スタイルを尊重しながら決めていきます。薬だけに頼らず、理学療法を取り入れたり生活習慣の改善を促したり。動けるときは動いたほうがいいですし、逆に動きすぎてもいけないので、年齢や体力に合ったアドバイスができるようにしていますね。

めまいと同じくらい、難聴で悩まれている方も多いのですね。

そうですね。長い間使っていると、内耳の神経細胞が少しずつ壊れてきて、だんだん聞こえなくなっていきます。これが加齢による難聴です。さらに中枢性の問題もあり、年を重ねると脳の血管も詰まりやすくなりますから、将来的な難聴のリスクは誰もが持っていると言っていいでしょう。音は聞こえるけれど言葉がわからないといった症状などは、加齢による難聴の代表的な症状です。難聴の原因は加齢が中心ではありますが、中には、緊急で対応しなくてはならない突発性難聴や中耳炎に伴う難聴、聴神経腫瘍の方もいます。そのため、すぐに加齢と決めつけず、きちんと原因を見つけて治療につなげなくてはならないんです。

加齢による難聴の症状への対応についてお聞かせください。

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院4

若い頃のように走ることが難しくなるのと同じく、残念ながら、加齢による難聴の治療は難しいです。しかし、先進の機械を使って、聴力をサポートすることはできます。代表的なものが補聴器です。ただ補聴器を使えばいいというわけではなく、適切な補聴器を正しく使うことが大切です。よく「補聴器を使ったけれども、良くなかった」「変わらなかった」という方がいますが、それは自分に合った補聴器を選べていないか、使い方が間違っている、または中枢性の問題で、補聴器を使っても効果的でない可能性が高いです。補聴器の正しい選び方や使い方を指導するのも、クリニックの仕事です。今まで補聴器が使えなかった方や興味のある方は、一度クリニックに相談してください。

めまいに悩み、受診を迷う患者の「交通整理」がしたい

患者さんと接する際に、大切にしていることを教えてください。

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院5

患者さんには、高齢で耳の遠い方が多くいます。ですから、ゆっくり話して、本人も納得のいく治療方法を見つけられるようにしているというのが一つですね。めまいの患者さんに関しても、症状について最初に起こり始めてから今までの経緯を細かく聞いて、原因を探っていきたいと思っています。難聴やめまいを含め、いろいろな症状を抱えてクリニックに来る患者さんは、皆さん不安でいっぱいだと思います。なるべく優しく接することで、患者さんの安心につなげたいですね。この診療方法については、同じくめまいが専門だった父から学びました。問診表で詳しく記入してもらう方法がいいというドクターもいますが、私は患者さんと真摯に向き合って、原因を探るという父の姿勢をとても尊敬しています。クリニックだけでなく、そうした優しさも引き継いでいきたいと考えています。

クリニックの雰囲気づくりで心がけていることはありますか?

スタッフ同士がお互いを思いやって働き、和気あいあいとした雰囲気でいられることです。基本的なことではありますが、同僚同士で優しくできなければ、患者さんにも優しくできませんしね。そうした雰囲気を気に入って来てくれた患者さんに、「特に何もないけど、先生の顔を見に来たわ」と言ってもらえる時がとてもうれしいですね。

今後の展望と、読者にメッセージをお願いします。

鳥居理子院長 鳥居耳鼻咽喉科医院6

高齢化に伴い、嚥下機能の低下を訴える患者さんが増えています。当院では、嚥下機能の詳しい検査と進行させないための治療法を提案していますので、飲み込みにくくなってきたという方に、できるだけ早く受診する重要性を伝えていきたいです。また、めまいについて、どの病院に行ったらいいかわからず困っている方も多いと思います。そういった皆さんには、一度耳鼻咽喉科で検査や診察を受けてもらい、私たちが「交通整理」をしたいと考えています。「あなたはおそらくこういう症状だから、脳外科で調べてもらったほうがいいよ」「これは神経内科で診てもらってください」といったように、適切な道順を示してあげたいんです。一人で悩まずに、まずは相談してほしいですね。

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