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酒井 翔悟 院長の独自取材記事

まめなか歯科

(松江市/乃木駅)

最終更新日:2024/02/09

酒井翔悟院長 まめなか歯科 main

松江市上乃木で長年地域住民の歯の健康を守ってきた「ケンゾー歯科医院酒井」。2024年1月、2代目院長の酒井翔悟先生のもとで「まめなか歯科」として新たなスタートを切った。「治療を通して困っている患者さんを助けたい」という先代のモットーは引き継ぎながら、今後は一般歯科の治療の質と精度の向上や、歯磨き指導をはじめとする予防歯科にも一層力を入れていく。そんな同院の特徴の一つに、翔悟院長の摂食嚥下リハビリテーションの分野での豊富なキャリアが挙げられる。摂食嚥下は専門とする歯科医師も少ないが、超高齢社会においては重要な分野だ。親和性の高い訪問診療にも注力し、「一般にあまり知られていませんが、利用のハードルは高くありません。気軽に相談してほしいです」と話す翔悟院長に、同院の特徴や取り組みについて聞いた。

(取材日2023年6月22日/情報更新日2024年1月19日)

摂食嚥下の知識と経験で、高齢者の健康をサポート

まずは先生が歯科医師を志したきっかけや、これまでのご経歴について伺います。

酒井翔悟院長 まめなか歯科1

実は、子どもの頃は医師になりたかったんです。ところが、中学生の時に社会の授業で、父親の仕事を見学する機会があり、あらためて父の働く姿を見ると、とても輝いているように感じられたんですね。それがきっかけで歯科医師をめざすように。大学は新潟大学歯学部に進み、卒業後は新潟大学医歯学総合病院に勤めました。その後、結婚を機に松江に戻り、当院に副院長として入職しました。大学病院では摂食嚥下を専門に行っていたため、父のもとで一般歯科の経験を積むとともに、勉強会に参加して勉強をしました。そこで、良い先生方に出会い、同じ勉強グループに入れてもらったことが大きな財産になっています。

摂食嚥下を専門に取り組まれた理由は何でしょうか?

摂食嚥下は、医科に近い部分があります。特に、臨床実習で多くの診療科を回る中で、摂食嚥下に携わる歯科医師と医師がやり取りをする姿をよく目にしました。その歯科医師は「咀嚼には、脳をはじめ、体のさまざまな器官が関わっている」と説明をしてくれました。歯だけではなく全身がわかる歯科医師になりたいと思っていたので、強く興味を惹かれました。実際に勉強してみると、今まで考えたことがなかった脳、喉、薬、リハビリテーションなどが関わってくる奥深い分野でした。日本は超高齢社会ですし、摂食嚥下の専門家はまだまだ少ないため、高齢者の健康に役立てることができるとも考えました。

こちらの歯科医院の特徴を教えてください。

酒井翔悟院長 まめなか歯科2

前身である「ケンゾー歯科院酒井」では、父が30年以上にわたって診療をしてきました。父のモットーは、患者さんの苦痛をできるだけ早く取ってあげること。困っている患者さんをすぐに治療することで患者さんとの信頼関係を築くことを大切にしていたんです。そうした父の診療の良い部分を取り入れながら、私自身は「かかりつけの歯科医院」として治療だけでなく予防にも力を入れていきたいと考えています。そのために重要なのは、患者さんに自分の口の状態を理解してもらうことと、歯に関する知識を持ってもらうこと。それによって、何をすれば健康な歯を維持できるかがわかります。当院では、マイクロスコープを用いた精密な治療のほか、歯の磨き方や食事の指導などを丁寧に行っていきたいと思っています。また、健康な状態を維持するために、定期的に来院してもらうようお願いしています。

高齢者や障害者を見守る訪問診療に注力

スタッフや設備について教えてください。

酒井翔悟院長 まめなか歯科3

スタッフが働きやすい環境をつくれるよう気を配っています。スタッフたちも皆よく働いてくれて、月に1回の勉強会にも率先して参加してくれています。私自身も院外の勉強会や研究会に積極的に参加し、互いに切磋琢磨していますね。院内の設備では、2台のディスプレーを設置し、施術中にマイクロスコープやエックス線検査で撮影した写真や動画が見られるようにするなど、治療環境の整備に力を入れています。撮影した口腔内や患部をディスプレーに映し出すことで、患者さんも何をされているかがわかり、安心につながると思います。普段見ることのできない自分の口の状況を知ることで、治療にも前向きになってもらえると思うんです。

訪問診療にも力を入れているそうですね。

大学病院では、摂食嚥下障害の患者さんのリハビリテーションを専門に取り組んできました。当院でも注力していきたかったのですが、患者さんの多くは自宅で療養中か、高齢者施設や病院に入院しているため、歯科医院で待っていても巡り合えませんでした。そこで知り合いの歯科医師から紹介いただき、4年ほど前から施設に訪問診療に伺うことに。摂食嚥下の患者さんの診療も行わせていただけます。訪問診療は、訪問できる範囲こそ決まっていますが、治療に関しては対象の制限はありません。治療も診療室とほぼ同じことができます。自宅に伺うこともできます。例えば、高齢で体が弱っている患者さんは、今は通院できるものの、将来通えなくなったら歯の診療はできなくなると不安に感じていることも。そういった方には「いつでも訪問診療をします」と伝えています。利用のハードルは高くありませんので、気軽に相談してほしいですね。

小児の歯科診療にも力を入れていく予定と伺いました。

酒井翔悟院長 まめなか歯科4

現在、高齢者の患者さんが多く来られますが、小児にも来院してもらえる歯科医院にしたいと考えており、キッズスペースを作ることを検討しています。歯の健康は、子どもの時の習慣や状態が大切になるため、その頃から予防や管理をしたいのです。小児の診療は、怖がらせないことが何より大切。すぐに治療はせず、今日は口の掃除だけしてみよう、今日は薬を塗るだけといった具合に、小さなステップの中で徐々に歯科治療に慣れてもらいます。治療を急いで怖い思いをさせたら、歯科医院が嫌いな大人になってしまいます。保護者は早く治療されるのを望む場合もありますが、その子の一生を考えると焦らず治療をしたほうが良いと思います。

一人ひとりに合わせた指導や治療で歯の健康を維持

歯科医院としてのこだわりを教えてください。

酒井翔悟院長 まめなか歯科5

歯磨き指導にはこだわっています。患者さん全員に、同じことを画一的に説明するのではなく、一人ひとりに合わせた指導をしています。例えば、歯ブラシも人によって合うものが違うため、患者さんに今、使っている歯ブラシを持ってきてもらいチェックします。合っていなければ、合うものをご紹介します。歯磨き剤も、現状はほとんどの日本人が使用していますから使用するなら、良いものを使ってもらいたいので歯磨き剤選びもアドバイスします。そうしたコミュニケーションを通じて、患者さんと信頼関係を築いていけたらと思っています。

診療時に心がけていることはありますか?

口の状態を適切に説明した上で、どういった治療をするかは患者さんに決めてもらっています。すぐにでも抜いたほうがいい歯があっても「抜きましょう」とは言わず「どうしますか?」と伺い、積極的な治療を希望されない場合も定期的に診させてもらうようにします。また、外来診療では歯を1本でも多く残すことを心がけていますが、訪問診療では患者さんの生活の質を守ることに重点を置いています。訪問診療の患者さんの中には、歯を残すための治療に耐えられない方もいらっしゃるため、体に負担がかかる治療はしません。その代わりに、なるべく早く入れ歯を作ったり、虫歯にならないための口腔ケアを念入りに行ったりします。人間は口から食べることが大切です。施設の高齢者の皆さんも食べることが大きな楽しみなので、飲み込みや食事形態のアドバイスも含めて支援しています。

今後の展望をお願いします。

酒井翔悟院長 まめなか歯科6

この度、父から当院を引き継ぐ運びとなりました。「自分の歯科医院」として責任意識を持つために、新たに「まめなか歯科」という名前で再出発させていただきます。名前の由来は、島根の方言で「元気にしている?」と尋ねる際に用いる「まめなか」から取りました。歯科医療は細密な作業となるので、細かいの意味の「豆」にもかけていますね。名前は変わりますが、歯科医院や診療の方針は今と変わらず続けていきます。その上で、建物の改修や、歯科用CT装置をはじめとした新たな設備の導入など、歯科医院としてアップデートしていきたいです。摂食嚥下障害の一歩手前である口腔機能低下の患者さんに対する取り組みも強化していきます。一人ひとり丁寧に説明し、治療しているため、予約が取れにくく、治療が長引いてしまうかもしれませんが、責任を持って最後まで治療をします。どんなことでも気軽に相談してほしいですね。

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