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大矢 和光 理事長の独自取材記事

KSPクリニック

(川崎市高津区/溝の口駅)

最終更新日:2021/10/12

大矢和光理事長 KSPクリニック main

溝の口駅からバスで5分、徒歩15分。高度先端企業や研究機関が集積する、モダンな構えのビル内にある「KSPクリニック」の大矢和光理事長は、かつては大学病院において、重篤な患者に対する外科治療を行っていた経歴を持つ。だからこそ、できれば、本当に複雑な治療が必要になる前に病気を見つけ、治してほしいという気持ちが強いのだという。そのためには、住む場所などに結びつく「かかりつけ医」というイメージも超えて、とにかく仕事の合間などでも気軽に入って相談できる診療所が要るのではないか、というのが大矢理事長からの提案だ。心の病気に関しても、会社を長く休み始める前の段階からクリニックを使ってほしいと言う。患者に優しい診療方針を聞いた。

(取材日2017年7月4日)

クリニックは、かけがえのない「日常」を維持する拠点

「総合医」というあり方を重視されていますね。

大矢和光理事長 KSPクリニック1

私はもともとは消化器外科を専門に、多くの手術を執刀してきました。今は消化器外科を中心としながら、専門性にとらわれすぎず、いわゆる「総合医」として広く診療を行っています。私が小さい頃の医師は、風邪でもケガでも湿疹でも、何でも診てくれました。しかし、私が医師になってからは特定の分野のみを診る傾向が強まり、専門性を資格などとともに標榜する医師が増えると同時に、総合医は減っていきました。もちろん、専門医の増加は医療の進歩でもあります。ただし、患者さんに良いことばかりではありません。ちょっとした症状の際にも周囲にあるのが専門性の高い医療施設ばかりでは、どこに行ったら良いのか迷いもしますよね。患者さんから見れば、より狭い分野で行う医療の前段階で疾患が解決できる場や、専門的な治療のための架け橋となってくれるような場が要るのではないでしょうか。そうした状況が、私にとっては総合医の存在意義に思えています。

ちょっとした症状で相談できれば、症状が悪化することも防げますね。

そうなんです。大学病院や総合病院などの専門的な診療とは異なる観点から、当院は携わることができると考えています。大学病院で外科治療を担当していた際には、高機能な医療機関においては当然とも言えますが、重篤な疾患に携わっていました。その中では、命の時間がかなり限られている、とご本人やご家族にお伝えせざるをえない症例にも多く直面したものです。すると、どんなに経済的に余裕があってそれこそ最期に世界一周旅行に出かけておきたいなどというような、これまでできなかった楽しみを追求もできるであろう患者さんでも、ほとんどが「今週と同じことを、最期までやり続けていきたい」とおっしゃるんです。何気ない普通の日常というものが、いかに大切なものなのかを、そのたびに教えられたような気がしたものでした。そこまで悪くなる前に関わることはできなかったのか、という点でも私は健康チェックに力を入れているんです。

いわば、総合的な「かかりつけ医」として患者に関わっておられるのでしょうか?

大矢和光理事長 KSPクリニック2

私としては、実は「かかりつけ医」という言葉では見落としてしまうものがあるように捉えています。どうしても、特定の医師の誰かや、あるいは住んでいる地域に絡めたもの「だけ」が「かかりつけ医」という言葉のイメージがありますから。例えば、当院のように医師が何人もいて気軽に相談に行ける場が、職場の近くにあったとします。特定の医師にだけ相談するのでもなく、住んでいる場に近いわけでもなく、いわゆる「かかりつけ医」とは異なるように見えていても、そもそも「何でも相談できるクリニック」の存在こそが重要なのですね。当院はそれをめざしています。今の状態を確認して、その後にどんな病院に行ったほうが良いのか、あるいは、このぐらいなら簡単な薬の処方で回復を見込めるのではないか、などと伝えてもらえる気楽な場が、多くの人には必要だと思うのです。

診療も検査も、同じ医療の入口として捉えるスタイル

定期的な健康診断を行う長所について、あらためてご説明いただけますか?

大矢和光理事長 KSPクリニック3

先ほど申し上げたように、「今と変わらない日常」が大切だと私は経験から実感しております。だとすれば、そもそも、今の状態を維持してゆけるだけでも大きなメリットを得られた、とも考えられるのです。あるいは、健康診断後の説明などによって今の状態を維持するにはどうすればいいか、という情報を得られるだけでも充分に健康にとっては良いことと言えます。長期的に健康診断や検診を受け続けることを、長きにわたって体をケアして維持してゆくための大きな指標にしていただきたいのです。「調べたけれど、何もなかった」ということこそが「とても良い、特別と言えるほどの健康」なのですよね。そういった健康な方が、そのまま「今と変わらない日常」と続けられるように、当院を活用していただきたいのです。

検診を受けた後、患者に説明をする時間を大事にされていますね。

せっかく受けた検査の結果を生かしていただきたいですからね。例えば「ここが悪いです」と言われるだけでは、その後、どこで何をしたら良いのかがわからない患者さんも多いでしょう。ですから、何のデータがどう悪いか、の意味を解説するだけでなく、その後、どうしなければいけないのか、必要ならば、具体的にはどの医療機関を選ぶべきなのか、も相談に乗りたいと思っています。患者さんにとって条件の良い大きな病院を共に探すこともあります。そこまで紹介して、うちの検診が本当の意味で役に立つように思うわけです。後で「おかげで早期発見の後の手術も成功し、元気になりました」とお礼にいらっしゃるとうれしいですね。そのためにも、検査をするだけでなく、検査結果とともに相談に乗る、そういう検診を続けていければいいな、と考えております。

検診を診療のように捉えておられる姿勢も、患者に親切ですね。

大矢和光理事長 KSPクリニック4

検査の結果、もしも何らかの問題が発見されたら、次に医療のやるべきことは診療と同じなのです。私たちは検診と一般診療とを明確には分けておらず、そこは面倒見が良いと言っていただける点かもしれません。当院で心がけているのは、検診の結果をそのままにする患者さんに対するお声がけです。医療関係者が見れば、これは放っておくべきではない数値というのは明確にありますからね。その際も、当院所属の保健師から電話連絡をさせています。電話にご本人が出られて質問をされた場合、適切に対応できますからね。それで来院していただいて診療する場合もあれば、ご紹介して他院に行っていただく場合もあります。そして、当院の提供する健康診断のデータは過去4年分をまとめてお渡ししますから、少し悪くなりかけている兆候なども捉えやすいだろうと思います。

自分で調べて結論を出さず、ぜひ医師に相談を

貴院で受けられる診療についてもお聞かせください。

大矢和光理事長 KSPクリニック5

内科、外科、消化器科、小児科に加え、婦人科にも対応していますから、例えば女性医師による子宮がん検診なども受けられます。また、働く人のメンタルの相談にも広く乗っています。私は多くの方を診察させていただいてきましたので、今なら仕事をしながらでも良くなっていきますよ、といったようにタイミングを見ていくこともできます。会社を長期休むことになってしまう前に、早めに相談にいらしてほしいと、切に感じています。また、海外出張をされる人が多いビルに入っていることもあり、川崎近辺では数少ない、海外向けの予防接種を受けられる場にもなっております。

診療の合間に息抜きなどでされていることは何ですか?

空き時間には、院内のプログラムを書き換えていますよ。休みの話になっていないかもしれませんが……(笑)。システムを改良すればスタッフの負担が減り、できた余裕を生かしてさらに良い診療ができる、なんて考えて空き時間にも院内の改善に没頭してしまいますから、このクリニックのことに夢中なのかもしれませんね。

最後に、患者へのメッセージをお願いします。

大矢和光理事長 KSPクリニック6

患者さんのかけがえのない日常を守るために、まずは気楽に相談にいらしてください、というのが私からのメッセージですね。インターネットで調べて終わりにしていてはいけませんよ。インターネットにではなく、生身の医師に相談してほしいと、この辺りは昨今、医師の監修がない信憑性に疑問を抱かざるを得ない情報の蔓延に危機感を抱くものですから、強調しておきたく思います。

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