通院が難しくても訪問歯科診療で
個人に応じた治療・口腔ケアを

口腔の健康が全身の健康につながる。専門家による治療・口腔ケアで、患者と家族の生活をより良いものへ

Q訪問歯科診療とはどのようなものですか？

A

▲患者の人生に寄り添った治療を提供する

訪問歯科診療とは、病気や障害などさまざまな理由で通院が困難な人のもとへ歯科医師・歯科衛生士が赴き、治療や口腔ケアを行うことです。私たちは主に患者さんのご家族やケアマネジャー、介護施設、歯科医師会などからの依頼を受け、歯科医院から16km圏内の患者さんのご自宅や介護施設などに訪問します。頻度は週に1回が基本ですが、口腔内の状態が良好であれば3ヵ月に1回の定期検診という形になる場合も。当院の場合、初回は患者さんの口腔内の状態を確認して基本的な口腔ケアを実施し、トラブルがあれば応急処置をさせていただきます。初回の診察結果をもとに診療計画を作成し、2回目から本格的な治療に移行するという流れです。

Q具体的にはどんな治療が行われるのでしょうか？

A

▲各種治療にも対応している

患者さんの状態により異なりますが、ベッド上で座位を保てる人であれば、外来とほぼ同様の診療が可能です。具体的には虫歯や歯周病の治療、義歯の調整や作製などを行います。虫歯が進行して神経が痛む場合は、歯の根の治療も実施しますし、抜歯が必要と判断される場合は医科の先生に確認の上、抜歯をさせていただきます。当院では義歯治療を強みとしており、さまざまな種類の義歯に対応できることが特徴です。保険診療を基本としていますが、ご希望に応じて自由診療の材料で義歯を作製することも可能ですよ。また保険・自由診療にかかわらず、口周りの筋肉の動きを確認して精密な型採りを行い、その人のお口に合う義歯の提供をめざしています。

Q訪問歯科診療を受ける重要性について教えてください。

A

▲歯科医院で対応している治療を家や施設でも提供

歯科医院へ行くことが難しくなり、歯が抜けたままになっていたり、合わない義歯を使い続けていたりする人もいらっしゃると思います。けれど適切なケアを受けられない状態が続くと、きちんと噛んで飲み込むことができなくなり、重要な栄養源である肉や魚、野菜を食べることが難しくなる場合も。きちんと栄養が取れないと、心身の衰え、いわゆるフレイルを引き起こしかねません。また噛み合わせのバランスが崩れると転倒しやすくなり、骨折のリスクを高めるほか、認知症の発症を早めることにもつながるというデータもあります。まさに「全身の健康は歯の健康から」と言えるでしょう。ご家族の中で抱え込まず、ぜひ専門家を頼ってくださいね。

Q患者さんやご家族への対応で大切にしていることはありますか？

A

▲ふじみ歯科では、患者との対話を重視している

訪問歯科診療を受ける人の多くはお年を召しておられます。中には会話をすることが難しい患者さんもいらっしゃいますが、こちらの言葉は聞こえているはずですので、訪問したら丁寧にごあいさつをすることはもちろん、処置の前には優しくお声がけをし、少しでも不安を和らげられるような対応を大切にしています。特に認知症のある人はアイコンタクトがないと不安を覚えるケースが多いようです。そのため患者さんときちんと目を合わせて接することも意識しています。ご家族に対しては、日々患者さんの介護などで心身に負担がかかっているケースも多いと思いますので、お気持ちに寄り添えるようなこまやかな対応を心がけています。

Qこちらのクリニックでの訪問歯科診療の特徴をお聞かせください。

A

▲気軽に相談してほしいと話す山垣院長

口腔内に汚れが残ったままですと、歯周病や虫歯が進行し、増えた細菌が誤嚥により食べ物とともに肺に入り込むことで、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。そこで当院では口腔の清掃に注力。経験を積んだ歯科衛生士が、乾燥して固まった汚れなども含め丁寧に取り除きます。口周りをご自身で動かせなかったり、口が開けっ放しになったりしている人も多いので、歯肉マッサージで口腔周囲筋をほぐすことにも力を入れています。必要に応じて口腔機能の低下度合いを調べる検査も行い、ご自宅での適切なケアについてご家族へレクチャーをさせていただくことも。また病気や障害がある場合は、患者さんに応じたこまやかな対応を大切にしています。