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白木 完治 院長の独自取材記事

しらき歯科クリニック

(安八郡安八町/東大垣駅)

最終更新日:2023/03/31

白木完治院長 しらき歯科クリニック main

自然豊かな地に、パステルグリーンの外観が優しく溶け込む「しらき歯科クリニック」。田園風景が広がる静かな場所にたたずむ同院は、地域に根づき、患者に寄り添ってきた白木完治院長の、温かく謙虚な姿勢と重なるようだ。「患者さんがこれ以上痛い思いをしなくて済むように、その思いで予防に力を入れ、治療にあたっています」と、語る白木院長の言葉の端々からは、予防歯科に対する熱い思いが垣間見える。麻酔が苦手な患者も多いことから不要な麻酔は控えながら痛みに配慮した治療を心がけるなど、患者に寄り添った治療の提供に努めている。年齢を重ね閉院も視野に入れているという白木院長に、患者への思いや残された期間で伝えたいことを語ってもらった。

(取材日2023年3月8日)

父の思いを受けて地元の歯科医師へ

歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

白木完治院長 しらき歯科クリニック1

父親の希望が強かったですね。小さい頃からずっと、歯科医師になりなさいと言われて育ちました。父親は歯科技工士でしたが、歯科医師でないことに気後れしていたのかもしれません。そういった背景から、息子には歯科医師になってほしい、そう思ったのでしょうね。めざすのなら歯科衛生士でもなく、歯科技工士でもなく、歯科医師をと希望を託された形です。歯科医師になろうと決意が固まったのは高校生の頃でした。父親がそこまで言うのだったらやってみようと。なろうと決めたからには努力は惜しまない、その覚悟で勉強をして、歯科医師になりました。

大学を卒業されてからは、どのような経緯で開業に至ったのでしょうか?

大学に残り研究をしたい気持ちもありましたが、親の強い希望もあって、いわば親孝行というのでしょうか。特に父親は地元で開業してほしいという気持ちが強かったので、その思いもくんで、卒業後は地元に戻りました。帰郷後は開業医の歯科医師のもとで勉強する選択肢もありましたが、専門性を磨くために岐阜大学医学部附属病院の医局にお世話になったり、大学病院や各地の関連病院を回ったりして研鑽を積みました。歯科大学の医局とは違い、医科大学の口腔外科では、一般歯科も診ながら口腔がんや外傷などの患者さんを診るスタンスでしたので、幅広い経験ができました。他科の先生との交流もできましたし、メリットはあったと思います。

医科大学の口腔外科で研鑽を積まれた白木先生だからこその強みがあれば、教えていただけますか?

白木完治院長 しらき歯科クリニック2

開業後は患者さんの歯の治療に専念していましたので、今の私から伝えられることは少ないかもしれません。ですが、強みがあるとすれば、患者さんの口の中から体全体の不調など、気がつける範囲が広い点でしょうか。例えば、顎関節症は顎が痛いとか、音がする、口が開かなくなるなどの症状が出る疾患です。私はこの顎関節症の原因に一つの仮説を立てて論文を書き、1996年に学位を取りました。顎関節症の要因は実にさまざまで、歯科に関わる要因だけではなく、全身的な要因もあり、原因の見極めは非常に難しい。そのため、患者さん一人ひとりの症状に合わせて診ていく必要があります。この顎関節症のように、体全体に関わる疾患でも、対応できることが強みと言えるのではないでしょうか。

地元に約40年尽くし、患者に寄り添い続ける

現在はどのような患者さんが多く来院していますか?

白木完治院長 しらき歯科クリニック3

田舎なので、やはり高齢者が多いですね。私の地元なので、同級生やその親など、私のことを知って来てくれる患者さんもいます。もう開業から40年近くたちますが、30年以上通ってくれている患者さんも少なくないですね。予防歯科に注力していることもあり、患者さんの3分の1くらいはメンテナンスのために通ってくれています。大昔は80歳くらいになると皆さんご自身の歯がなくなってしまい、入れ歯を清潔にしていれば、さらなるトラブルに合うことは少なかった。しかし、今は8020運動を約半分の人が達成していると言われている時代なので、高齢になってもご自身の歯をきれいに保たなくてはいけません。年齢を重ねると、手が思うように動かなくなり、若い頃のように歯を磨けなくなると思うので、そういった高齢者にどう手を差し伸べていくかが、これからの課題だと考えています。

地元ということもあって、患者さんに対してもさまざまな思いがあるのですね。

そうですね。私は20代の時に開業してから長年ここで診療しているので、その頃から来てくれている患者さんも60代や70代になりました。私も同じように年齢を重ねて、そろそろ線引きを視野に入れて、当クリニックを継承してくれる方を探そうかとも思っています。しかし、患者さんのお子さんやお孫さんが来たり、幼稚園の頃に泣いてばかりいた子が立派になって子どもを連れてきたりすると、感慨深いものがありますよね。しかも、小さい頃の患者さんにお子さんが似ていたりね。通ってくれている患者さんのためにも続けたい気持ちはありますが、手が動かなくなって、思うような治療ができなくなったら、大切な患者さんの迷惑になってしまいます。せめて、そうなるまではこのままずっと診させてもらいたいですね。そして、患者さんにもいつまでも元気で通ってきてほしいと思っています。

これまでどんなことに注力して診療に臨んでこられたのでしょうか?

白木完治院長 しらき歯科クリニック4

開業してしばらくは、むし歯を治すことに注力していました。むし歯の穴を埋める、神経を取る、入れ歯にするとかですね。しかしある時、結局むし歯の治療をしても、またむし歯になる可能性もあり得て、追いかけっこだと気がつきました。それからは、むし歯と歯周病は治療と同時に予防する、繰り返さないようにするための勉強を始めました。患者さんには、次痛くならないようにするにはどうすれば良いかをお話しします。近年、小学生のむし歯は減ってきていますが、中学、高校になるとむし歯の子どもが増えています。予防は患者さんが苦労しないためにも大切なのですが、なかなか予防の重要性が伝わらないというジレンマもありますね。

予防と治療の大切さを伝え続けていきたい

地域にとってどんな歯科クリニックでありたいとお考えでしょうか?

白木完治院長 しらき歯科クリニック5

やっぱり気軽に来てもらえる歯科クリニックでありたいですね。行きにくいとか、治療費が高そうと思われるのではなく、ちょっと困ったことがあったら、何でも相談できる歯科クリニックでありたいと思っています。最近は、新規の患者さんはあまりいませんが、10年ぶりとか、もっと前に通われていた方がいらっしゃることがあるのです。そういう久々に来てくれた方に「また通いたい」と思ってもらえる歯科クリニックだと良いですね。当クリニックは長年通っている患者さんも多く、その中には「なかなか歯医者は変えにくい」と言っている方もいます。通ってくれている方、戻ってきてくれた方が安心できる歯科クリニックでありたいですね。

引退までの期間で伝えたいことはありますか?

最近、口腔内の環境が、体全体に影響することが注目されていますよね。例えば、糖尿病、動脈硬化、認知症もその一つと言われています。そのあたりを患者さんに伝えていくのが、残された使命かなと思っています。高齢者がなりやすい誤嚥性肺炎という病気がありますが、それも口の中のばい菌が肺に入って起こる場合もあり、社会問題となっているのです。特に寝たきりの方は、喉などの機能が衰えやすく、うまく飲み込めない、むせるなどのトラブルが起こりやすくなります。口の中のばい菌は飲み込んで、おなかに入れば胃酸がやっつけてくれることが多いですが、飲み込めずに肺に入ると肺炎の原因になる恐れがあります。日本人の多くが歯周病に罹患していると言われていますので、その治療と予防の大切さを伝え続けていきたいですね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

白木完治院長 しらき歯科クリニック6

若さを保つ秘訣は口の健康かなと思います。もし、歯がなくなっても入れ歯を入れたら、ある程度まで形態の回復を期待できますが、それだけではいけません。食べ物を食べたり、飲み込んだりするには、機能の回復もめざさなくてはいけないのです。舌を鍛える、顎の筋肉を鍛えるなどして、口の健康を維持しましょう。口が健康なら、食べることや人と話す楽しみが増えて楽しい人生へとつながるのではないでしょうか。そのための方法の一つとして、クリニックに通院してもらうと良いですね。「オーラルフレイルを予防する運動」と、インターネットで調べると動画がたくさん出てくるので、ぜひ実践してみてください。

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