全国のドクター9,294人の想いを取材
クリニック・病院 158,511件の情報を掲載(2024年6月10日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 横浜市緑区
  4. 十日市場駅
  5. 吉田医院
  6. 吉田 篤正 院長

吉田 篤正 院長の独自取材記事

吉田医院

(横浜市緑区/十日市場駅)

最終更新日:2021/10/12

吉田篤正院長 吉田医院 main

耳鼻咽喉科の病院の開業を求める地元住民の要望に応える形で、約30年前にJR線・十日市場駅前に開業した「吉田医院耳鼻咽喉科」。現在は開業当時から通院している高齢者から、近隣の大型団地の整備などに伴い近年移転してきた子育て世代や外国籍の人まで、幅広い層の患者が通院している。同じ病気でも、「子どもと高齢者ではその原因が大きく異なります。加えて患者さんそれぞれの個性もありますから、お一人ずつにオーダーメードの診療を心がけています」と語る吉田篤正院長は、釣り、絵画、社交ダンスと多彩な趣味をもち、そのいずれもが玄人はだしのレベルという、人生を楽しむ達人だ。今回は診療方針だけではなく、趣味の話題も含め、じっくりと話を聞いた。

(取材日2016年10月18日)

耳鼻咽喉科の病院を求める地元の声をうけて開業

さっそくですが、開業されたのは何年前になりますか?

吉田篤正院長 吉田医院1

長く大学病院に勤務していたのですが、地域医療に携わりたいと考え、大学病院に席を置きながら、夜間のみ診療の医院として開業したのが1986年になります。その後1989年にフルオープンといいますか、現在のスタイルでの診療を始めました。当時、十日市場駅周辺には耳鼻咽喉科の医院がなく、地元の方たちから開業の要望があり、その求めに応じる形でこの地での開業を決めたんです。開業から現在まで、すべて駅周辺ではありますが、リフォームが必要になるタイミングで移転を重ね、現在の場所で診療を始めたのは2年前からになります。この近くには大型の団地があるのですが、そちらが建て直されたこともあり、開業当時よりはかなり人口も増えましたし、最近では外国籍の方もとても多くなっており、そうした方々には英語での対応も行っています。

花粉症の治療ではレーザー治療を実施しているのですね。

最近は花粉症に代表されるアレルギー症状を訴えていらっしゃる方も多く、当院では花粉症対策として鼻の粘膜に対するレーザー治療を実施しています。これは花粉症の本格的な症状が出る前の12~1月に、鼻の粘膜にレーザーを照射することでアレルギー反応を鈍くさせるという治療法で、患者さんによってはこの治療をうけておくとラクに花粉のシーズンを過ごせるからと、毎年定期的にうけられる方もいらっしゃいます。また週に一度、補聴器相談医として、補聴器の専門外来を開設しています。診療内容としては、耳、鼻、咽頭、喉頭にかかわる疾患全般をカバーしています。開業から約30年経ちますから、当初から通院されている方が高齢化してきてはいますが、先ほども申し上げたように新しい住人の方も増えていますから、患者層は乳幼児~高齢者まで本当に幅広いですが、いずれも地元の方が中心です。

補聴器の外来についてもう少し詳しく教えていただけますか。

吉田篤正院長 吉田医院2

聴力の場合、視力などと異なり、何度話しかけても反応しない、テレビの音が必要以上に大きいといったことから、周囲の人はその方の聴力の衰えを感じているのに、本人には自覚がないといった場合が少なくありません。長年の体験から感じるのですが、2度話しかけても反応がなければ、周囲の人はその人に話しかけることをあきらめてしまいがちです。そうしたことが積み重なると結局は周囲から無視されたり、疎外感を感じたりして、最悪の場合にはそのことが引き金となりうつ症状といった精神的疾患を誘発してしまう場合さえあります。そこで適切に補聴器を使いこなすことで、患者さんのQOL向上につなげようというのが補聴器の外来の役割です。実際に補聴器をつけたとたんに、その聴こえの良さにパッと顔を輝かせて、性格まで明るくなる方も少なからずいらっしゃいます。

耳鼻咽喉科の医師にはカウンセリングマインドが必要

高齢者の中には補聴器をつけることに抵抗がある方もまだ多いようですが。

吉田篤正院長 吉田医院3

補聴器の古いイメージとして、なんでも同じように音を拾ってしまうので、例えば耳元で突然大きな音がするとびっくりしたり、ピーピー音がして不便だといったことがまだあるのかもしれませんが、現在の補聴器は音の大きさや周波数に応じて自動的に聴こえる音量が調整されるようにコンピューター制御されているモノが多く、そうした心配はありません。ただ、精密になった分、その方の聴こえ方に合わせてこまかい調整が必要なために、専門の医師による診断や調整が必要になってくるわけです。そして補聴器も決して安いものではないので、当院では実際に日々の生活の中で試した上で購入していただけるように、購入前のレンタルシステムも導入しています。

患者さんと向き合う上で大切にされているのはどういった点でしょうか。

意外に思われるかもしれませんが、耳鼻咽喉科で扱う症状は、患者さんのメンタルと密接に結びついています。先ほどお話した聴力の衰えがうつといった疾患を引き起こす遠因になることもそうですが、喉は多くの神経が集まっている場所でもあるので、喉の違和感を訴えて来院される患者さんの中には、検査をしてもどこも悪いところはなく、自律神経やホルモンのバランスが崩れたことで神経過敏になって症状が出ているといった場合も少なくありません。ですから患者さんと向き合うときには、医師にはカウンセリングマインドが欠かせません。また、患者さんの負担を減らすために、通院してもらう期間はなるべく短くするように努めています。長く通院していると「いったいいつまで通院すればいいのだろう」と不安に感じることもあると思うので、これから先は経過観察でよいと判断すれば「通院はこれで結構です」と、はっきりお伝えするようにしています。

地域の開業医というお立場で、大切にされている診療方針はありますか。

吉田篤正院長 吉田医院4

地域の開業医には、重篤な疾患を見逃さず、適切な診療に繋げることが求められると考えています。万一検査の結果、がんといった重篤な疾患が見つかった場合には、すぐに手術等にも対応できる環境が整った大学病院等につなぐようにしています。その一方で、検査の結果なにもなければ、カルテにはっきりと「がんではありませんでした」と記入して患者さんにお見せして、安心していただくようにしています。当院の検査で喉頭がんを見つけて、すみやかに大学病院に紹介した患者さんが、手術や治療を終えられてお礼のあいさつに来てくださることがあるのですが、やはりそうした時に、開業医としてのやりがいを強く感じますね。

早めの通院で不安を安心に変えてほしい

耳鼻咽喉科の医師になろうと思ったきっかけを教えていただけますか。

吉田篤正院長 吉田医院5

実は我が家は医師家系というのでしょうか、私が4代目になります。ですからそれほど直接的に医師になりなさいと言われた記憶はないのですが、無言のプレッシャーのようなものがあったのでしょうか、幼い頃から医師以外の職業に就くことを考えたことはありませんでした。耳鼻咽喉科を選択したのは、自分自身、蓄膿症で手術をした経験があり、同じような症状で苦しむ方を一人でも多く救いたいという気持ちがあったからかもしれません。実はこの蓄膿症の手術をした年に大学に合格したんです。よく、鼻が悪いと集中力が途切れがちになると言われますが、鼻の状態が良くなったことで集中力が増し、合格できたのかもしれません(笑)。

先生は多趣味でいらっしゃるそうですが。

院内に飾ってある魚をモチーフにした絵画は、すべて私自身が描いたものですし、題材とした魚の多くも、私自身が釣り上げたものです。その他に夫婦共同の趣味として、社交ダンスをしています。老後を豊かなものにするために50代から始めたもので、かれこれ15年以上のキャリアになり、絵画については展覧会に出品したり、ダンスも競技会などに参加して本格的に楽しんでいます。

上手な耳鼻咽喉科のかかり方について、読者の方にアドバイスがあればお願いします。

吉田篤正院長 吉田医院6

とくにお子さんの場合、なかなか熱が下がらない、小児科に通院しても症状が改善しないといった場合、実は風邪といった内科疾患ではなく、中耳炎が原因だったといった場合もあります。それとは逆に、先ほども申し上げましたが、喉の違和感の原因が、実は耳鼻咽喉科分野の疾患ではなく、メンタル面での影響を受けて出ている症状である場合もあります。ですからなにか気になる症状があれば、耳鼻咽喉科の病院に行って原因を突き止めて、早く不安を安心に変えるようにしていただきたいですね。

Access