残っている歯を守り、生かしていく
磁性アタッチメント義歯の治療
稲垣歯科
(小牧市/小牧駅)
最終更新日:2021/10/12
- 自由診療
虫歯や歯周病など、何らかの理由から歯を失った際、それを補う方法の一つに挙げられる入れ歯(義歯)治療。一口に入れ歯といっても、使用する素材や形状などさまざま。「磁性アタッチメント義歯」は、その名のとおり磁石の持つ磁性を使って固定する入れ歯だ。「磁石といっても、人体への影響はほとんどないとされています」と語るのは、磁性アタッチメント義歯の開発研究に携わった経歴を持つ「稲垣歯科」の稲垣輝行院長だ。クリニック開業後も、多くの磁性アタッチメント義歯治療を手がけ、その特性を熟知する稲垣院長に、一般的な入れ歯との違いや磁性アタッチメント義歯を用いるメリット、治療の流れについて聞いた。
(取材日2021年3月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q磁性アタッチメント義歯と、従来の入れ歯との違いは?
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A
最もわかりやすい違いは、固定方法です。部分入れ歯の場合、一般的には金属などでできたバネを歯に引っかけて固定します。バネの材質や位置によっては目立ちやすく、支えとなる歯への負担も大きくなります。対して磁性アタッチメント義歯は、強力な磁石と磁性金属が引き合う吸引力を利用して固定します。磁石の吸引力は、特に垂直方向に対して強く働くので、噛む時に入れ歯が浮き沈みするといったことが起こりにくく噛み心地が良いとされています。また、水平方向からの力に対しては、左右にスライドするだけで吸引力が下がることはありません。また、バネを用いないので、パッと見ただけでは入れ歯と気づかれにくいのも特徴です。
- Q磁性アタッチメント義歯を用いるメリットとは何でしょうか?
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A
悪くなった歯でもできるだけ抜かず、根の部分を利用するのが、磁性アタッチメント義歯の特徴です。例えば、虫歯が進行したり歯周病が進行し抜かなければならないと言われていた歯の場合、抜歯を検討するのが一般的でしょう。しかし磁性アタッチメント義歯ではあえてその歯を利用し、磁性金属(キーパー)を取りつけ、入れ歯を固定する土台とします。これにより、歯の根は残したまま、噛む機能の回復をめざします。歯の、特に根の部分を残すのが、実はとても重要。歯の根にある歯根膜に刺激が加わることで、嚥下反射が起こるとされています。つまり、磁性アタッチメント義歯によって抜歯を避けることは、嚥下機能の維持にも役立つといえます。
- Q固定力が高いと、つけ外しが大変では?
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A
固定力の高さに加えて、つけ外しの簡便さを兼ね備えているのも、磁性アタッチメント義歯の特徴です。磁石の吸引力は、垂直方向に対しては強く働きますが、磁石の特性を理解しこつをつかんでしまえばとても簡単に扱えるため、入れ歯を傾ければスッと外れます。バネでの固定の場合、バネの位置や形状、個数もさまざまで、物によっては本人以外にはつけ外しができないことも。将来、ご自身で入れ歯のつけ外しができなくなることを想定した場合、磁性アタッチメント義歯にするメリットは大きいのではないかと思います。また、これまで使ってきた入れ歯にアタッチメントを装着すれば、磁性アタッチメント義歯としてお使いいただけます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1基本的な診査診断をもとに、治療計画を立案
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まず、虫歯の有無や歯周病の状態確認、噛み合わせの評価、エックス線画像検査など、口腔内の状態を調べる基本的な診察・検査が行われる。必要に応じて歯科用CT検査も受ける。診査診断の結果をもとに稲垣院長が適応可能かを判断し、治療の流れを組み立てていく。なお、それまで使っていた入れ歯を利用したい場合は診察時に持参を。
- 2根管治療を受ける
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磁性金属を固定する根面板を取りつける歯に対して根管治療が行われる。虫歯などにより状態が悪くなった歯を、支えとして生かすことができるのも、磁性アタッチメント義歯治療の特徴の一つ。根管治療が終わったら、根面板作製のため、歯型採取に進む。使用できる歯が1本も残っていない場合には、インプラント体の埋入が検討される。
- 3根面板と磁性金属を取りつける
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採取した歯型をもとに根面板を作製し、その中央部に磁性金属がつけられる。総義歯であれば、支えとなる歯はだいたい4〜5本。なお、治療で使用する素材は金属アレルギーが起こらないよう加工されたもので、人体への影響もほとんどないといわれている。根面板(キーパー)を取りつけ後の見た目は、歯茎から金属が少し頭を出しているような仕上がりとなる。
- 4磁石がつけられた入れ歯を装着。つけ外し方法も練習
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装着後の上下の歯の噛み合わせが整うように入れ歯を調整した後、入れ歯の床の裏側に、磁性金属の位置に合わせて、専用の磁石が固定される。磁性金属も磁石も、それぞれ米粒程度の大きさ。非常に小さいが、吸引力は強力。つけ外す際の、力のかけ方についてレクチャーを受ける。
- 5定期的なメンテナンスと口腔内チェックを受ける
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通院頻度はだいたい2〜3ヵ月が目安。磁性金属を取つけた歯を含めた、天然歯の状態チェックとクリーニングを受ける。入れ歯の変形により磁石と磁性金属の位置がずれてしまうと、理想的な固定力を発揮できなくなるため、診察では変形の有無も必ずチェックされる。特に樹脂製は変形したり割れたりしやすいため、必要に応じて調整や修理が行われる。
自由診療費用の目安
自由診療とは磁性アタッチメント義歯/22万円~、磁性アタッチメント装着費/1本11万円〜 インプラント磁性アタッチメント/1本38万5000円~