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寺辺 勝之 院長の独自取材記事

寺辺歯科医院

(津市/津駅)

最終更新日:2021/10/12

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院 main

津駅から東へ徒歩6分ほど、国道23号線沿いにある3階建てのビルの2階にあるのが「寺辺歯科医院」だ。院長の寺辺勝之(てらべ・かつゆき)先生は、日本歯科大学附属病院の歯科口腔外科医として多くの経験を積んだベテラン歯科医師。「疾患だけを診るのではなく、人を診る」スタイルで、患者と向き合いコミュニケーションを重視。歯科恐怖症やパニック障害に悩む患者の歯科治療にも力を入れる。清潔感があり落ち着いた雰囲気の同院で、寺辺院長に治療方針や予防歯科に注力している理由について詳しく聞いた。

(取材日2021年6月14日)

口腔内の疾患・状態だけでなく患者を診る

口腔外科がご専門とのことですが、選ばれた理由を教えてください。

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院1

実は私は大学6年生になり卒業が間近になっても、今後どうしていくかという将来設計が決まっていませんでした。学年主任の先生も卒業後の話をするようになり、何も決まっていなかった私は、その先生に相談しに行ったんです。その先生が口腔外科の教授で、「じゃあ私のところへ来るか?」と言っていただいたのがきっかけで口腔外科の道へ進みました。その教授とは5年ほどしか一緒に働けませんでしたが、その次の教授とは長い付き合いになり、大きな影響を受けましたね。日本歯科大学附属病院に勤務する傍ら、他の医療施設に出向し交通事故でケガしてしまった方の顔面外傷の手術や口腔がんの手術などさまざまな経験をしました。口腔外科の基本である親知らずの抜歯から外来小手術、入院を必要とする手術など多数経験し、本当に何でも屋という感じでした。しかしその経験があったからこそ、日本口腔外科学会口腔外科専門医が取得できたんだと思います。

教授からはどんなことを学ばれたのですか?

疾患を診るのではなく人を診るということを教えられました。例えば、親知らずを抜歯する患者さまはもとより私たちからすれば簡単な歯を抜歯する患者さまにとってもその恐怖心に大小はなく、患者さまの気持ちははかり知れません。待合室から診察台に行く時からもう診察は始まっています。例えば、真っすぐ歩けているか、少し顔が赤いんじゃないか、熱は、血圧は、などをしっかり観察し今日の体調を判断します。“木を見て森を見ず”ではないですけど、お口の中だけ診るのではなくて、患者さまの立ち姿を診ろと教わってきました。またその教授は留学先でさまざまなことを学んで来られ幅広い分野で卓越した手術手技を持たれており、教授の指導のもとたくさんの手術症例を得ることができ、単にテクニックだけではなく医療の根幹を学びました。今の私があるのも先生の薫陶の賜物と感謝しております。

このビルは先生が開業時に建てられたのでしょうか。

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院2

このビルは、開業してから1年後くらいに建てました。それから借金返済地獄が始まりましたが(笑)。今から30年ほど前、私が30代後半の時にこの地に開業したのですが、当時は今このビルの横にある駐車場のスペースにあった昔ながらの建物で診療をしていました。その後、そこで診療をしながら、このビルを建てて移転したんです。2階が診療所なので、患者さまが移動しやすいようにと思ってエレベーターもつけました。

歯科恐怖症の患者とはメールからじっくり向き合う

どのような患者さまが来られていますか?

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院3

リピーターの方が多く、三重県内全域から来ていただいています。始めはそのような方を対象にと思ったわけではないのですが、歯科恐怖症の方やパニック障害の方などがいらしています。ホームページを見て、話を聞いてもらえそうと思って遠方から来られた方もいます。歯科医院は誰だって怖いですし、私だって怖いです。よく歯科恐怖症の方にホームページを見てメールをいただくのですが、話を聞くとメール一つにもすごく勇気が必要だったと言われます。「どんな先生だろうか」「話を聞いてもらえるだろうか」など、さまざまな不安がよぎるようで、何度かやりとりして、ようやく電話をしてくる人が20に1人くらいでしょうか。ここに来て待合室に立てるのは50人に1人くらいだと思います。だからそういう患者さまには、「よく来たね」と声をかけていますよ。いつも「もし自分が患者さまだったら」と考えて接するようにしています。

治療方針を教えてください。

患者さまに寄り添い、その方にとってより良い治療を行うことです。極端な話、治療をしないという選択肢もありますね。そのためには患者さまの話はよく聞く必要があります。当院は、歯科医師は私1人、歯科衛生士と受付1人ずつ。華やかさはありませんが、患者さまとじっくり向き合い確実に診療していくのが当院のスタイルです。以前はスタッフがたくさんいて、にぎやかに診療していた時期もありましたが、ある時「いったい私は何をしているんだろう」と思い、いつの間にか流れ作業のように診療し、ろくに話も聞かない診療が常態化、これは違うのではないかと思い至りました。そこで、華はないけど、今のような患者さま一人ひとりとしっかり向き合えるスタイルに方向転換したのです。完全ではありませんが私が求めていた歯科診療であり、理想とする歯科医師の在り方だと、あらためて感じています。

予防歯科に注力していらっしゃるそうですね。

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院4

予防歯科というと、虫歯とか歯周病を防ぐためのブラッシング指導だったり、歯石の除去を思い浮かべる方が多いと思います。それも間違いではないのですが、私は歯周病や虫歯に限らず「いかに口腔内の疾患から患者さまを守っていくか」ということだと思っています。例えば喫煙歴があれば口腔粘膜の状態を注意深く観察し白板症等の病変がないか、歯牙の咬耗状態から顎関節に異常がないかなど、遠隔所見より疾患の早期発見も立派な予防歯科と考えております。難治性の歯肉炎がある場合、高血圧でありカルシウム拮抗薬、つまり降圧剤を服用していることが確認でき、降圧剤を変更したことで歯肉炎が軽快していく場合もあります。つまりカルシウム拮抗薬に歯肉炎を起こす作用があったわけで、これに気づかずブラッシングだけでは歯肉炎の軽快には至らなかったわけです。降圧剤使用中で歯肉炎のある方、内科の先生に降圧剤の種類を聞いてみてはいかがでしょう。

急患にならないように、定期的にメンテナンスを

離島で診療された経験もあると伺いました。

寺辺勝之院長 寺辺歯科医院5

30代の時に1ヵ月半ですが、沖縄県の北大東島という、直径が約3kmという小さな島に、厚生省離島診療班として滞在しました。当時、島の人口は600人ほどで歯科医院がなく、2年に1度歯科医師が訪問し、約1ヵ月間滞在して島民の診療を行いました。2年に1度の治療なので、治療に「次」がありません。根管治療をすれば良い歯も治療を継続できないことから、患者さまを苦しませないためには抜歯するしかない状況で、小学生の子どもの永久歯を泣く泣く抜いたのを覚えています。あれから30年ほどたった今は変わっていると思いたいですね。その一方で島の人たちはとても温かく、一緒に釣りをしたりカラオケをしたりと楽しい経験もたくさんさせていただきました。

今後の展望を教えてください。

もうこの年ですから、若い先生のように立派なことは言えませんが、患者さまに頼っていただけるのはありがたいことです。1人でも患者さまがいらしたら診療を続けたいと思っています。しかし、老いからは逃げられません、万が一患者さまのためにならないことをしてしまったら、しっかり謝罪して退こうと考えています。間違いを起こさずできるだけ長くやっていきたいというのが、今後の展望でしょうか(笑)。

読者へのメッセージをお願いします。

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まず、皆さんに伝えたいのは「悩んでいないで、歯科医院に行きましょう」ということです。これは私の考えですが、外傷以外で歯科には急患はないと思っています。歯が痛むから診てほしいと慌てて歯科医院に来る方がいますが、1ヵ月以内に何らかの前兆や違和感があったと思います。その前兆の時に来てほしいです。歯が痛くなってからでは、その場で何とかするしかなくなってしまうので、患者さまが治療方法を選ぶ余地がなくなり、あとあと後悔する可能性があります。本当は違和感を感じる前に来るのがベストで、そのためには定期的なメンテナンスが必要です。とにかく患者さまが自身の口腔内の現状を把握するのが大切で、それが急患にならないことにつながります。大事な歯だからこそ、現状を把握し、もし治療が必要になった場合は一度家に帰って家族会議で治療方法を決める。そのくらい余裕を持って診療を受けるのがいいのではないでしょうか。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント(1本)/30万円~
セラミック(1本)/8万円~

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