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林 裕章 理事長、林 由紀子 先生の独自取材記事

林外科医院

(宗像市/赤間駅)

最終更新日:2023/07/11

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院 main

赤間駅から車で3分ほどの場所にある「林外科医院」。1979年に開業し、現在は2代目である林裕章先生が理事長を務める歴史あるクリニックだ。外科を標榜しているものの、その治療と検査の範囲はかなり広く、看取りにも対応するほか、画像検査の読影は理事長の妻であり日本医学放射線学会放射線科専門医である林由紀子先生が担当するなど、「地域にある“小さな総合病院”」の役割を果たしている。おしどり夫婦でもある裕章理事長と由紀子先生に、同院の特徴や患者との関わり方、今後の展望などを詳しく聞いた。

(取材日2023年6月9日)

CT・エコー・内視鏡まで対応する街の小さな総合病院

外科をメインに生活習慣病の治療にも対応し、さらに入院施設もありますね。

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院1

【裕章理事長】大学病院などにおける外科の専門はがん治療になります。私自身も父が開業した当院に戻ってくるまでは佐賀大学医学部附属病院、佐賀県医療センター好生館などに勤め、複数の医師やスタッフとチームを組み、がん治療に多数取り組んできました。また外科にはがん治療のほかに、複数の科にまたがる治療を取りまとめてつなぐ役割もあります。交通事故であれば、足の骨折は整形外科、頭を強く打っているなら脳外科などがそれぞれの専門性を生かして治療を行うのですが、明確な専門性がない部分の治療やその取りまとめは外科の担当なんです。なので患者さんとご家族にとって、主治医になるのも外科。いわゆる「何でも対応できる科」が外科なので、当院がさまざまな検査や治療を行っているのは、父も私も外科出身であることが大きいかもしれませんね。

下肢静脈瘤の治療などもありますね。

【裕章理事長】下肢静脈瘤の手術、痔を注射で治療するALTA療法、入院手術後やスポーツでのけが、高齢の方の腰痛、膝痛などのリハビリテーション、リウマチの治療などにも対応しています。それらを支えてくれているのが、私の妻であり日本医学放射線学会放射線科専門医でもある、林由紀子先生が行う「画像検査の診断」です。今は子育てもあるので外来診療には出れないのですが、当院で行う上部内視鏡検査(胃カメラ)、CT検査、エックス線検査、腹部に限らない全身のエコー検査で得られた画像の読影と診断を行ってくれています。

由紀子先生が読影で心がけていることは何でしょうか?

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院2

【由紀子先生】地域の開業医で最も大切なのは“しっかり見つけること”だと考えています。悪性・良性どちらなのかをさらにしっかり診断するのは大きな病院ですが、そこへ間違いなく連れて行くのが私たちかかりつけ医の役目です。そしてスピード感も大切にしています。学校医もしているためすべてが早急に対応できるのではないのですが、例えば「テレビで乳がんを啓発していて、自分はどうか、不安で眠れなかった」という患者さんであれば、できれば翌日、遅くとも1週間以内に検査し、その結果も可能であれば1時間ほどでお伝えできるようにしています。大きな病院に行かなくとも、ある程度の検査によって治療方針が立てられる。ここは私も理事長もとても大切にしている点です。

患者・家族と話し合いを重ねながら納得のいく治療へ

看取りも行っているそうですね。

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院3

【裕章理事長】当院での入院患者さんのほか、訪問診療、そして当院の系列の老人ホーム、いずれでも行っています。以前は、ほかの老人ホームなどに患者さんをお願いしていたのですが、「死ぬなら林外科がいい」と言ってくださる患者さんが本当に多く、私自身も最期まで責任を持って診ていきたいという思いが強く、老人ホームの開設に踏み切りました。特に看取りや高齢の患者さんの治療で大切にしているのは、患者さんご本人、そしてそのご家族とその都度、それぞれの希望を話し合いながら治療の道筋をつけていくことです。例えば患者さんは「自分はもう治療しなくていい」と思っていてもご家族はそうは思わないかもしれません。またご家族は「まだまだ大丈夫」と思っていても医師から見るともう長くない、ということも多々ありますから、そういう点も丁寧にお伝えし、後悔のない選択ができるよう努めています。

高齢になると高血圧や糖尿病などで制限がかかることもあると思いますが。

【裕章理事長】人によって価値観は異なりますが、私は「好きなことを我慢して無理に生きながらえるのが幸せだとは言い切れない」と考えています。以前、「目が覚めるたびにがっかりする」とおっしゃっている患者さんがいて、私も毎日励ましていたのですが、ある日ふと、とあるお店のちゃんぽんが食べたい、と言われたんです。それを看護師たちに伝えると、すぐお店に連絡をし、翌日のお客さんが少ない時間に行けるよう手配をすべて整えてくれていました。もちろん私も同行しましたが、ご家族も本当に喜んでくださいましたね。だから、当院でも「医療的に正しいことが、その患者さんやご家族の心にとって本当にふさわしいことなのか?」と、常に自問しながら治療にあたっています。

こちらのクリニックのスタッフさんたちについて教えてください。

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院4

【裕章理事長】父の代から勤めているベテランもいて、久しぶりに来院された患者さんと「まだ働いていたんだ。会えてうれしいよ!」と話が盛り上がっているのを何度も見たことがあります。また理学療法士さんもとても優秀で、今のリハビリテーションに大切な「けがや手術後、早期にリハビリテーションを開始し、生活動作の機能を落とさない」という点の実現のために力を尽くしてくれています。スタッフ一人ひとりがそれぞれの役割を自覚し、患者さんが何に困っているのか、どうなりたいのかにしっかりと耳を傾け、治療を丁寧に行ってくれています。離職率もすごく低くて、みんな充実した仕事をしてくれているのだと心からありがたく感じています。

宗像地域に根差した、愛情深い治療の提供をめざす

先生が「理事長」、お父さまが「院長」なのは珍しいですね。

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院5

【裕章理事長】父のことをずっと「院長先生」と呼ぶ患者さんも多いですし、父もそう望んでいるのでそうなっていますね(笑)。父を尊敬する理由は数えきれませんが、一つは人徳です。地域の患者さんから慕われて、当院の「何でも診る」という風土をつくったのは父です。それこそ「林外科に相談したら、内科のことでも、何かは絶対に教えてくれる」という患者さんの認識があるのは、父がそういうクリニックをめざしていたからですし、私も同じようにそうであることをめざしています。もちろん当院では対応できないことであれば然るべき医療機関を紹介します。患者さんが路頭に迷うことがないために何ができるか、それを常に考えて診療にあたっています。

今後、新しく取り組みたいことなどはありますか?

【裕章理事長】構想段階ではありますが、患者さんの心もしっかりとケアできるような体制にしたいと考えています。例えば、交通事故に遭って心に深い傷を負ってしまった。そういう場合に心と体を総合的に診れる治療もいずれは提供していければと。また今後も、信頼できる新しい治療法があれば患者さんやご家族にも提案していきたいと考えています。というのも私自身、勤務医時代にたくさんのがん治療を行ってきましたが、実際に親戚ががんになった時に初めて、本当の意味で、ご家族のつらさを痛感したと感じました。そういう際に複数の選択肢があることがご家族の心の支えになることも、その時に身をもって学びましたから。

読者へのメッセージをお願いします。

林裕章理事長、林由紀子先生 林外科医院6

【由紀子先生】不安な時にすぐに来て、すぐに検査結果をお伝えし、できるだけ早く患者さんの不安を払拭する。そういう検査を続けていきたいですね。
【裕章理事長】子どもの学校のPTA役員、特に会長を務めたことで、ここ宗像地区への思いが深まりました。昔からの高齢の方がおられる一方で、子育てしやすい街として若いご夫婦の移住も増えています。それらを肌で感じ、より一層本物の「地域に根差した医療」を提供したいという思いが強くなりました。地域の方がいつでも来院できて、必要であれば在宅などの看取りも責任を持って行う。小さなことを見逃さず、責任と愛情をもって接する、そういう医療を提供していきます。

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