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柴田 憲助 院長の独自取材記事

古小烏耳鼻咽喉科医院

(福岡市中央区/薬院大通駅)

最終更新日:2023/03/06

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院 main

薬院大通駅より徒歩5分、住宅街の中にある「古小烏(ふるこがらす)耳鼻咽喉科」。まだ路面電車が走っていた頃に開院した歴史ある医院だ。現在は、父である前院長から14年前に同院を引き継いだ、柴田憲助院長が運営する。グリーンのアルファベット表記の医院名が印象的なカフェ風の外観。中は温かみあふれるアットホームな雰囲気が広がる。そんな中、一人ひとりにじっくり向き合い、その患者にとっての最適な医療の提供を模索し続ける柴田院長。歴史ある医院を引き継いだ頃の状況や現在の医院の特徴について、終始穏やかな口調で語ってくれた。

(取材日2020年6月12日/情報更新日2023年2月28日)

開院65年、地域住民に寄り添った医療の提供を続ける

医院の歴史を教えてください。

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院1

父が1958年に開院したのですが、建物自体は今も当時建てたままのものです。その頃は院長の名字をそのまま医院名にするのが普通だったのですが、院長の名字がうちと同じ医院がすでにあったので、地名であった「古小烏(ふるこがらす)」をつけたようです。当時は道路も舗装されていなくて車も少なく、路面電車がまだ走っていた時代でした。14年前の2009年、すでにその頃父が80歳を超えていたこともあり、私がここを継承しました。それまで勤務医だったのですが、私が鈍感なのでしょうか(笑)。違和感なく自然とここでの仕事にもなじみましたね。

患者さんはどのような方がいらっしゃいますか?

父が若い頃はもっと多くの患者さんがいらしたようですが、父が年齢を重ねるとともに同年代の患者さんが徐々に減っていって、私が引き継いだ時にはかなり少なくなっていました。今は少し層が変わっていて、子どもから高齢者まで幅広く来られています。ただ働き盛りの方が来られるほど街中ではなく住宅街なので、男女で言うと若干女性が多く、また今は新型コロナウイルスの影響で来ないですが、お子さんがそれなりにいるのもこの地域の特徴だと思います。治療は子どもも大人も大きく変わりません。ただお子さんの場合は一度痛がらせたりすると次来てくれなくなるので、そうならないよう気をつけています。またこの辺は上品で落ち着いたイメージがありますが、実際穏やかな患者さんが多く感じます。

この症状は内科にかかるべきか耳鼻科にかかるべきか、患者さんが悩むケースがあると思うのですが。

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院2

「聞こえづらい」、「鼻水が出る」、「喉が痛い」など、耳、鼻、喉に関する不調は、原因は関係なく来ていただければいいと思います。中には病名を決めて来られる患者さんもいらっしゃるのですが、それは気にしなくて大丈夫。今はこういう症状だと伝えていただければ問題ありません。診察して今のところは問題ないとなればそれでいいですし、必要であればこちらで治療しますし、他科に行くのが適切ならそう説明します。また、風邪でもインフルエンザでも耳鼻科で診ますし、めまいの症状も診ますよ。

さまざまな原因からくるめまいの診療にも注力

耳鼻科には、めまいの患者さんも多く来られるのですね。

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院3

そうですね。めまいの原因はさまざまで、一番怖いのは頭からくるめまい。その他血圧、ホルモン、ストレス、疲れ、肩凝りなどたくさんあります。その一つに耳からくるものがあるので、耳鼻科でめまいを診るようになったのだと思います。ここに来られた場合は、まず一般的なめまいの検査をして、耳からのめまいであればお薬を出したりその他の治療をしたり、疲れや夏バテ、あるいは原因がはっきりしない場合は適切な漢方薬を処方したりします。原因がはっきりしていないものには西洋医学では対応できないことがあり、そういったときに漢方が役立つのです。余談ですが、今は「メニエール病」という病名を言われる人が多いです。実は非常に珍しい病気で、メニエール病の人がそんなに多いはずはありません。ただ、回転性のめまいがあると、メニエール病と病名が一人歩きしている感じがします。

診療に際して気をつけておられることは?

問診票を作らないことですかね。患者さんに問診表を書いてもらうとそればかりを読んでしまって、きちんと向き合えないじゃないですか。それと同じ理由で電子カルテも導入していません。大規模病院では仕方ない部分もありますが、あれはパソコンに向かわなければならず、患者さんとのコミュニケーションの邪魔になるように思うんです。とにかく患者さん一人ひとりのお話をじっくり聞いて、おわかりいただけるまで丁寧に説明する。気をつけているのは、そんなところですね。

説明を大事にされているとのことですが、画像を見せて説明されることもあるのですか?

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院4

通常、正確な診断をするために内視鏡を利用するのですが、その内視鏡を使って患者さんに説明することがあります。聞こえづらいと言って来られて、診ると、例えば耳垢が詰まっていた。そういった場合に、内視鏡の画像を患者さんに一緒に見てもらいながら、こういう状態だから取り除きますよといった説明をしたりします。話はそれますが、耳の中って患者さん自身では見ることができないでしょう。多くの方が、見えないのに耳掃除をするじゃないですか。あれは外耳炎の原因にもなってしまいます。そもそも耳垢は、耳の入り口付近までは自然に出てくるのです。そこまで出てきたのをサッと取り除くくらいでよくて、本来耳の奥を触る必要はないのです。人に耳掃除をしてもらうのはまだましなのですが、自分で見えないのに安全に耳掃除することは難しい。患者さんの耳を見ると、多くの人が触りすぎだなと思います。

時代のニーズに応えてオンラインや訪問診療など柔軟に

最近は往診もされていらっしゃるそうですね。

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院5

はい。昼休みを利用して行っています。依頼があればこれまでこちらにかかったことのない患者さんも診ています。範囲は、早良区の百道くらいまで行っています。老人ホームなど施設からのご依頼で行くこともありますし、もちろんマンションなど個人のお宅からのご依頼もあります。ベットの上から動けない人はたくさんおられますからね、老人ホームなどで多いのは、耳掃除をしたら耳から血が出たとか、鼻が詰まって苦しそうとか、そういったところですね。往診だけでなく、最近はオンライン診療も始めつつあります。新型コロナウイルスの影響で来れない人が多いですからね。例えば、アレルギー性鼻炎など慢性の病気で今のこの時期がつらくなるのがわかっているので、毎年早め早めに薬を飲んでうまく症状と付き合っている。そんな方が、薬がなくなったのに来れない。そういうときにこれからはオンラインで対応しようと考えています。

スタッフ体制についても少し教えてください。

看護師と、受付が2人ずついます。年代はまちまちで、20代や30代、50代、70代。70代のスタッフは父の代からいてくれて、長く通われている患者さんも、彼女を見るとやはり安心するようです。みんなお互い和やかにやっていますし、私から何も指導しなくても、丁寧に対応してくれるので、非常に助けられていますね。

お父さまの影響もあって、先生は医師になるためよく勉強されるお子さんだったのではないですか?

柴田憲助院長 古小烏耳鼻咽喉科医院6

勉強というよりは、ずっと自転車に乗っていた気がします。自転車が趣味で、長崎や広島、静岡の浜松など遠くまで行っていました。距離をどんどん稼ぐというのではなく、1日140キロや150キロ、方々観光をしながらこいでいましたね。自転車の次はバイクにはまり、その次は車と、まあ男子にはありがちな感じです(笑)。父は私に医師になれと言ったことはなく、絶対ならなくてはいけないといったプレッシャーはなかったのですが、知らぬ間に影響を受けたのでしょう。医師になり、最初は外科を選んだのですが、最終的には父と同じ耳鼻科に移りました。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

気になることがあれば、何でも相談に来てくださいというのが一番のメッセージです。何が専門というのは特別ないですが、お一人お一人じっくりお話を伺いますし、何事も丁寧にやっていきます。来ていただいて、「他科へ行く必要がある」「より専門的な治療が必要だ」となれば、他の適切な医療機関を紹介します。また、私のところに限らず、そういった何でも相談できる「かかりつけ医」を持つことは大切だと思います。科にこだわらず、ちょっとしたことでも気軽に行けて、必要に応じて次を紹介してくれるような医院を見つけておくことをお勧めします。

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