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緩和ケアはがんになった瞬間から
早期介入で患者の苦痛を緩和する

米良医院

(北九州市小倉北区/西小倉駅)

最終更新日:2021/10/12

米良医院 緩和ケアはがんになった瞬間から 早期介入で患者の苦痛を緩和する 米良医院 緩和ケアはがんになった瞬間から 早期介入で患者の苦痛を緩和する
  • 保険診療

「緩和ケア」という言葉を聞くと、がんの終末期の治療、というイメージを浮かべる人も多い。しかしそもそもの緩和ケアは、がんの告知の瞬間から始まっている。病気による痛みだけでなく、診断された患者や家族の思い、仕事への不安、抗がん剤の副作用、看取りのあり方など、あらゆる「苦痛」を緩め、和らげていくのが本来の緩和ケアの姿だ。「米良医院」の院長、米良利之先生は、この緩和ケアの早期介入が必要だと考え、病診連携や患者とのコミュニケーションも積極的に推し進めている。「がんはその方が亡くなるまでの時間をつくれる病気だとも言えるでしょう。病気を理解し、精神的に乗り越え、家族も心構えをする。そのサポートを地域からしていきたいです」と語る米良院長に、緩和ケアにまつわる幅広い情報を聞いた。

(取材日2021年7月13日)

患者の悩みに応えながら適切な情報を提供。病診連携で患者の「どう生きたいか」という思いをサポート

Qそもそも、緩和ケアとはどのようなものですか?
A
米良医院 高齢者への在宅医療、がん終末期患者の緩和ケア、看取りにも対応

▲高齢者への在宅医療、がん終末期患者の緩和ケア、看取りにも対応

その名のとおり、がんなどのつらい症状を“緩め、和らげる”医療です。対象は胃がん、大腸がん、乳がんなどといった“がん”が多いですが、難治性の心疾患なども含まれます。注意したいのは、「終末期に行う医療」だと勘違いされている点です。そうではなく、緩和ケアは病気を告知された瞬間から受けられるのです。例えば、ごく初期の乳がんが見つかり、日帰りでの手術が可能だったとします。病状としては軽いかもしれませんが、通院や治療に伴う社会生活への不安もあります。また抗がん剤を服薬すれば少なからず副作用にも悩まされます。そういった“治療に伴うあらゆる苦痛を緩め、和らげる”のが、本来の緩和ケアの姿なんです。

Qこちらでは、どのような対応をされていますか?
A
米良医院 基幹病院でのがん治療の経験を生かした、病院とのスムーズな連携

▲基幹病院でのがん治療の経験を生かした、病院とのスムーズな連携

例えば乳がんの疑いを持った方が「直接大きな病院に行くのは怖い」と来院されることもあると思います。視触診の結果、これはがんに違いないと判断した場合、すぐに大きな病院へ紹介しますが、同時に当院で、大まかな今後の治療の流れも必ずご説明するようにしています。いずれはリンパ浮腫のケアも必要になるなど、術後のことも含めてイメージしやすいようにお伝えするんです。大腸がんの患者さんの場合は、私自身が基幹病院で抗がん剤治療などにも携わっていたため、病院と連絡を取りながら治療メニューを組み立てることもあります。副作用が軽いので大きな病院へ行くのは気が引けるという方もおられますから、そういった相談事も多いですね。

Q大規模病院との違いはどんな点にあるのでしょうか?
A
米良医院 地域のかかりつけ医の役目として、病診連携を推し進める

▲地域のかかりつけ医の役目として、病診連携を推し進める

大きな病院は忙しくて手が回らない部分があり、そのことは私も身をもって経験しています。だからこそサポート的な役割が地域に求められるのです。患者さんやそのご家族も告知をされるとショックを受けますから、先生たちの説明がうろ覚えになっている可能性もあります。そういった知識の補填であったり、長期的には介護保険の申請が必要になり、訪問診療も視野に入れておいてほしいという点までさまざまな情報をお伝えするのが、私たちかかりつけ医の役目なのだと考えています。緩和ケアにはどうしても終末期のイメージがついて回りますが、そうではないという点を患者さんに周知し、病診連携を推し進めていくことが、現在の大きな課題でしょう。

Q患者さんやそのご家族に伝えたい点は何でしょうか?
A
米良医院 とにかく、治療の早期から介入することが理想だと話す米良先生

▲とにかく、治療の早期から介入することが理想だと話す米良先生

治療の早期から介入することで、患者さんとご家族が穏やかに過ごせる時間をつくっていけるのが理想だと考えています。症状や状態によって、必要なものは変わっていきます。ごく初期であれば仕事の悩みなどに耳を傾けるといった対話が主になってくるとも考えられますし、終末期に近づいていくほど介護保険の申請やケアマネジャーとの連携が必要になります。訪問診療に必要な医師、看護師とのつながり、福祉用具についてなど、さまざまな知識があれば早いうちから対処できるんです。必要なのは患者さんを取り巻くすべてのものごととのコミュニケーション。だからこそ当院では、治療中という早期介入が望ましいと考えています。

Q情報を正しく得ることが、緩和ケアでも必要なのですね。
A
米良医院 患者が後悔しないよう、適切な情報提供やアドバイスを行う

▲患者が後悔しないよう、適切な情報提供やアドバイスを行う

例えば、自宅で最期を送りたいのか、病院内でしっかり管理されたいのか、考え方は人それぞれですよね。病院でも、一般病棟なのか緩和ケア病棟なのかという選択肢があります。「一度緩和ケア病棟を出て自宅に戻ると、もう病棟には戻れない」と思い込んでいる方もおられますが、そんなことはないんです。「やはり家での看取りはつらい」とご家族が判断されれば病棟に戻ることもあります。そういった情報、つまり選択肢を知らずにいると、いずれ後悔することになるかもしれません。患者さんやご家族が知っておくべきことや求めている情報をアドバイスする。これは、地域という身近な場所にいる私たちだからこそできることなのではないでしょうか。

ドクターからのメッセージ

米良 利之院長

繰り返しになりますが、緩和ケアは終末期医療だけのものではありません。治療の流れがわからない、仕事はどうすればいいのか、介護の準備は何があるのか……そういった治療にまつわるあらゆる“苦痛を緩和させる”のが緩和ケアです。大切なのは患者さんがどう生きるか。そのためには知識が必要です。例えば「緩和ケア病棟に戻る可能性があるならば、ご本人が元気なうちに面接を行っていないといけない」という点もそうです。知らないことで悲しむ人を一人でも減らしたいと思っていますし、その「知る」という行動が成功への大きな第一歩だと考えています。お一人やご家族で抱え込まず、どうか私たちに相談をすることから始めてみてください。

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