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山本 卓 院長の独自取材記事

山本内科胃腸科

(東温市/横河原駅)

最終更新日:2021/10/12

山本卓院長 山本内科胃腸科 main

愛媛県東温市で内科と胃腸内科を中心に、地域に根差した診療を続ける「山本内科胃腸科」。同院の院長である山本卓先生は、子どもの頃から医師になることを意識し始め、父親の後を継ぐことを念頭に、大学医学部卒業後は幅広い病気の知識を得るために放射線科の医師として経験を積んだ。同院の院長に就任してからは、医療過疎の状態にならないようにとの思いから訪問診療にも取り組む。「患者さんのことを家族だと思えば、適当な診察はできないですよね」と優しく話す山本院長。家族と過ごす時間が息抜きだという山本院長に、専門である放射線科についてや日々の診療についてなど、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2019年9月2日)

幅広い病気の知識を得るため放射線科の医師を志す

医師をめざしたきっかけや院長就任までの経緯を教えてください。

山本卓院長 山本内科胃腸科1

医師だった父と祖父の影響が大きいですね。命と向き合う父と祖父の背中を毎日みて、憧れを抱くようになったのがきっかけです。当院は1987年に父が開業し、地域の皆さまの診療を行ってきました。私も幼い頃からこの病院で働くことが将来の夢となり、川崎医科大学を卒業後、大学の附属病院で5年間勤めてからこちらに戻り、2年前に父と交代して院長に就任しました。

数ある診療科の中で、なぜ放射線科を選ばれたのでしょうか?

放射線科は独特な科なので、何をしているかわかりづらいかもしれませんね。今は内科でも専門領域が細かく分かれていますから、手広く全身を診たいと思っていた私は、どこの科に進むか決めかねていました。総合診療科へ進む選択もありましたが、1人で外来などをしていて、画像で病気を見逃したくないという思いがあり、放射線科に進みました。また放射線科は、診療科に関係なく画像を見る必要があります。内科だけでなく外科や整形外科など、あらゆる科から画像がやってきます。その分、病気全般に対する知識が広くなるので、放射線科は幅広く診る必要のある開業医をやるのに向いている科だと思ったのです。

こちらでの勤務を考え上で放射線科に進まれたのですね。放射線科での仕事を具体的に教えてください。

山本卓院長 山本内科胃腸科2

メインの仕事はCTやMRI検査の画像をみて、病気の診断を行います。画像はうそをつきません。画像を見て「この病気が思い当たるけれど、他にこういう病気の可能性もある」とか、「違うところにこの病気も隠れている」などさまざまな情報を提示するわけですから、病気の知識が豊富にないと務まりません。

重要な役割の中で、どのようなことを大切にされてきたのでしょうか?

「正常を把握しておくこと」ですね。男女や年齢によっても正常な状態は異なります。それを知っているからこそ、異常が発見できるのです。そして先入観を持たないことも大切にしてきました。例えば、患者さんを診てきた主治医からの意見も、それにとらわれないように一度フラットな状態で受け取るようにしていました。見えるはずのものが、先入観によって見落とすことがないようにするための心がけですね。また、画像は重要ですが、画像だけではわからない病気もたくさんあります。それは問診をきちんとすることや経験をさらに積んでいくことが大切だと思っています。今、患者さんのお話をよく聞いて診療していくことは私にとってもひとつのやりがいになっています。

患者との触れ合いが、開業医のやりがい

画像診断の他に放射線科でやる治療はどんなことがありますか?

山本卓院長 山本内科胃腸科3

放射線科というと、画像診断の他にカテーテルなどを使った治療も仕事の一つです。例えば、交通事故でけがをして出血している時にカテーテルで止めにいくという処置があります。大量に出血している場合は、カテーテルで出血している血管を見つけて止血していくんです。他にもさまざまな病気にカテーテルを使った治療を行うことがあります。画像の読影だけをしていると実際に患者さんに触れ合わないので、放射線科の医師の仕事は印象に残りづらいですよね。今は設備がなくてできませんが、大学病院に勤めている時は患者さんと接することのできるカテーテルの仕事も積極的に行っていました。

ご専門は放射線科ですが、医院として内科と胃腸内科も診られていますね。

愛媛に帰ってきてからは、内科と胃腸科をメインに診ています。内科では糖尿病、高血圧、コレステロールといった生活習慣病の方が多いです。患者さんには生活習慣を改善したり、運動を頑張ってもらえるよう指導して、できるだけ内服薬が増えないように心がけています。それでも難しそうな場合は、薬を処方するようにしています。若い方でも、「まだ大丈夫」と食生活などをおろそかにしてしまうと、病気につながりやすくなることもあるので、注意していただきたいです。胃腸内科では、胃内視鏡、胃や大腸のバリウム検査、超音波検査もやっています。胃内視鏡に対する不安が強い方もいるので、しっかり声をかけて安心していただくように心がけています。緊張や不安を少しでも取り除くようにしてあげるのが大事かなと思っています。スタッフも前処置の段階から不安な気持ちを和らげるように話かけてくれるので、検査が苦手な方も安心できるのではないかと思います。

勤務医から院長になられて何か変わった点はありますか?

山本卓院長 山本内科胃腸科4

院長は経営者でもあるので、周りのスタッフの生活もきちんと考えないといけないのが、一番変わったところかなと思います。医師の仕事としては、勤務医時代よりも患者さんと触れ合う機会がすごく多くなり患者さんの声を聞けるので、診察するのが毎日楽しいです。また、東温市の川内地区でも当院は数少ない内科開業医ですので、さまざまなことに対応していくことが地域の医療過疎化を救うという責任感も持ちながら、日々診療しています。地域の方たちが困らないようにしっかり背負っていくつもりでやっていかなくてはという気持ちです。開業してからは、患者さんの問診や状態を見て診断をしていく上で、広い知識が必要になってくるので、勤務医時代の経験が生きていると思います。

自分の家族を診察する気持ちで患者と向き合う

患者さんはどのような方が多いですか?

山本卓院長 山本内科胃腸科5

ご高齢の方が多いですね。当院はアットホームな雰囲気なので、患者さんも近所の仲の良い人のところへ話をしに行くような雰囲気で来られたりします。おしゃべりしているうちに症状が和らぐのか、そのまま帰っていかれることもあるようです。高齢者は特に、聞いてもらうことで安心されるのかもしれません。うちは3世代で通う方もいるので、高齢の患者さんと息子さん、さらにそのお子さんの3人のカルテを並べて見ることもあります。そういう時はご家族のお役に立てているのかなとうれしさも感じますね。この辺りは農家の方たちが多いので、時には野菜や果物を持ってきてくれたりするんです。私の同級生のご両親が来られたり、顔見知りの方が患者さんということも多いですね。

訪問診療もされているそうですね。

今はまだ自分で元気に運転して来られる患者さんでも、年を取れば運転できなくなりますし、これからは高齢者の免許更新についても厳しくなってくるでしょう。バスが通っているところならまだいいんですが、患者さんの地域には山間部も含まれますし、雪が積もったら来られないという方もいます。そういうところに住んでいたら車がないと生活できないですが、将来的には免許の返納も考えなくてはいけないでしょう。そうなるとやはり、在宅訪問をやめるわけにはいかないなと思います。今は月に2回くらいのペースで看護師と一緒に行っていますが、状態が悪くなれば1週間ごとにしたりと、状況に応じて柔軟に対応するようにしています。

これからの展望や読者へのメッセージをお願いします。

山本卓院長 山本内科胃腸科6

アットホームな雰囲気は大事にしながら、現代の医療に取り残されないよう新しい知識を得ることに努め、そうしたものを踏まえながら診療していきたいですね。患者さんに一番お伝えしたいのは、「あまり深く考えずにとにかく受診してほしい」ということです。症状が長引いているとか、軽い症状だけどいつもと違うということがあれば、いつでも来ていただきたいです。またご自分以外のことで、例えばお子さんや高齢の親御さんのことでも、まずは来て状況を教えてもらうだけでも、できることがあるかもしれません。患者さんに対しては、「目の前の患者さんが、もし自分の家族だったらどういうふうに診察するか」と心がけて診るようにしています。大したことはないと思っても、少しでも不安に感じることがあればぜひ気軽に来ていただけたらと思います。

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