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平場 一美 院長の独自取材記事

杢保小児科医院

(丸亀市/坂出駅)

最終更新日:2021/12/20

平場一美院長 杢保小児科医院 main

香川県丸亀市、讃岐冨士の麓に開業しおよそ半世紀、地域に根差した診療を続ける「杢保(もくぼ)小児科医院」。両親が開業した同院を引き継ぎ、さらに発展させる院長の平場一美先生は日本小児科学会小児科専門医および日本アレルギー学会アレルギー専門医だ。日々の診療に加え小学校や保育園の学校医・園医も務めるなど、地域の子どもたちのための活動も精力的に行っている。「子どもたちの笑顔にエネルギーをもらっています」と笑顔で話す平場院長。「楽しい診療」が同院のモットーでもあるとおり、平場院長やスタッフからもその温かな雰囲気を存分に感じ取れる。同院の特徴や小児科ならではの診療の工夫、また専門である食物アレルギーについても話を聞いた。

(取材日2021年8月17日)

子どもたちにとって同院が楽しい場所であってほしい

医師を志したきっかけをお聞かせください。

平場一美院長 杢保小児科医院1

両親ともに医師で、当院は両親が1971年に開業しました。すでに他界した父が外科の医師、現在一緒に診療をしている母が小児科の医師です。医師という仕事が本当に身近だったんです。それで、高校生のときに自分の将来について真剣に考えた結果、医学の道に進むことを決めました。この時、子どもが好きなこともあり保育士さんもいいと思い願書を取り寄せたりしていました。ですので、専門はもちろん小児科に決めました。

医院の特徴や、子どもへの対応の工夫を教えてください。

この地で開業して50年になりましたので、先代院長である母の時代に小児科の患者さんとして通ってらした方がお母さんやおばあちゃんになり、子どもさんと一緒に受診されるご家族もたくさんいらっしゃいます。新型コロナウイルス感染症の流行以前は待合にも絵本やおもちゃをたくさん置いていたのですが現在はすべて撤去しています。その代わり、消毒ができる玩具をたくさん仕入れて、診察時に一人づつにお貸ししています。診察前に渡してあげて「帰るまで遊んでいていいよ」と、声をかけたりしています。予防接種の際は「今日何食べたの?何して遊んだの?」とか、楽しくお話をして子どもさんの気をそらせてあげるようにしています。看護師とタイミングを合わせてさっと済ませ、たくさん褒めてあげることを心がけていますね。とにかく、子どもさんにとって当院が怖い場所ではなく、楽しい場所であってほしいという思いを持って、診療にあたっています。

設備面でのこだわりはありますか?

平場一美院長 杢保小児科医院2

当院には診療棟が2つあります。第1診療棟は一般外来、第2診療棟は予防接種・乳児健診・アレルギー科外来の場所です。予防接種や乳児健診、感染症の症状のないアレルギーでアレルギー科を受診された方が、感染症の疑いのある患者さんと一緒にならないように別診療棟で診察させてもらっています。他にこだわっているところは、トイレが広いことでしょうか。4人くらいお子さんを連れて一緒に入れるくらい広いですよ。個室内に子ども用と大人用の便座があり、小さな子を座らせておけるベビーチェアやオムツ替えシートも設置していますので、お子さんをたくさん連れられた親御さんもお使いになりやすいと思います。待合室はゆったりとできるように広く改装しています。あとは、受付から死角となる場所にはカメラを設置して、患者さんの安全確認ができるようにしています。受付スタッフも看護師も、体調が悪い患者さんがいないか常に気を配っています。

大変な時期だからこそ、守れるものはしっかりと

アレルギーをご専門とされていますが、最近ではどのような疾患が多いのですか?

平場一美院長 杢保小児科医院3

最近では、特に食物アレルギーの患者さんが増えてきていますね。年齢は関係なく、子どもだけではなく大人の方も増えています。ところが、正しく診断を受けていらっしゃる方は残念ながら少ないのが現状だと感じています。食物アレルギーとは、ある特定の食物を食べることで、じんましんが出たり咳が出たり、体の調子が悪くなってしまう病気です。赤ちゃんでしたら原因として卵や牛乳などが多いですね。症状は子どもも大人も基本的には同様です。重症になると、命に関わるようなアナフィラキシーショックを起こすこともあります。また、食べるだけなら大丈夫だけど、運動をしたり体を動かしたりするとアレルギー症状が出る方もいらっしゃいます。もちろん、症状が軽い人もいらっしゃいますし、とても個人差が大きいです。ですので、患者さんひとり一人の状態を正しく把握することが大切ですね。

予防接種(ワクチン)を積極的に推進されていますが、どのようなお考えからですか?

私は、守れる命は守りたいと思っています。ですので、予防接種には力を入れています。現代では小さな子どもが突然病気で亡くなることはないように思われがちですが、そうではありません。予防接種という手段で命を守っているんです。ワクチンがあるものはきちんと受けさせてあげて、守れる命を守ってあげてほしいです。予防接種にはおたふく風邪などの任意接種のものもあります、できれば受けさせてあげたいですね。新型コロナウイルスへの感染が心配で予防接種や乳幼児健診を遅らせる方も見受けられますが、予防接種のタイミングは感染症にかかりやすい年齢をもとに決められていますので、その年齢で受けることができるワクチンは接種しておいたほうがいいと考えています。コロナ禍だからこそ命を守れるようしっかり対応していくべきだと思います。

地域の小学校などの校医もされているのですね。

平場一美院長 杢保小児科医院4

そうですね、母の頃から近隣の保育園、こども園、小学校の園医・校医をしています。主に年2回の健康診断と入園・入学前健診を、現在も母と私とで担当を分けて実施しています。その他には、香川県では子どもの頃から望ましい生活習慣を身につけ、将来の生活習慣病の発症を予防するための、小児生活習慣病予防健診を行っています。健診は小学4年生が対象になっていて、その監督に行っています。私の主な役割は場を和ませることでしょうか(笑)。「朝ごはん何食べたの?」みたいな明るいトーンで会話することで、採血するという緊張をほぐしています。

アレルギーを持つ子どもたちが安全に過ごせるように

小児科の医師になって良かったことは何でしょうか?

平場一美院長 杢保小児科医院5

そうですね、子どもにエネルギーをもらえることでしょうか。子どもたちの笑顔に支えられて日々頑張っています。また、私自身の子育てにとっても、とても勉強になりました。ここにいると子どもさんの成長過程を見ることができるんですよね。産まれたばかりの赤ちゃんの時期、いっぱい泣く時期とそれを過ぎたにこにこの時期、そしていわゆる反抗期と呼ばれる時期。そういった子どもの成長を身近で見られるということは、すごく幸せですよね。今日も、もうすぐ成人を迎える人たちが何人も来てくれたのですが「あぁ、育ったなぁ」と、感慨深いものがありました。お子さんたちの成長を実感できるのがとてもうれしいです。

今後の展望をお聞かせください。

食物アレルギーについて、皆さんがスタンダードな診断と診療が受けられるように語りかけていきたいと思っています。現在、香川県小児科医会の中で食物アレルギー対策委員会の活動に携わるなど、アレルギーの専門家としての活動もさせていただいています。これらの活動を続けることで、子どもたちが安全に過ごせるようにこれからも働きかけていきたいです。

最後に、子育て中のお母さんお父さんたちへメッセージをお願いします。

平場一美院長 杢保小児科医院6

お子さんや周りの人と上手にコミュニケーションを取れる方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃいます。ストレスフルな環境で子育てをされている方もいらっしゃいますし、子育て中はなかなか人と話す機会が持てないこともありますよね。そういった方は、1人で抱え込まないようにSOSを出していただきたいです。医院に来院された時には、少しでもお話を引き出せるようにして「一緒に育てようね」というスタンスで診療をしたいと思っています。「お母さん」と一言でいっても、10代の方もいらっしゃれば、40代で赤ちゃんを連れられている方もおられます。孤立してしまわないように、診療の中でも「こういったところもあるよ、行ってみたら?」と情報提供などもしています。今後も、医療だけではなく、皆さんが安心して子育てができるようサポートしていければといいなと思っています。

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