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高橋 司 院長の独自取材記事

高橋メディカルクリニック

(広島市中区/市役所前駅)

最終更新日:2022/09/28

高橋司院長 高橋メディカルクリニック main

広島市役所前電停より徒歩3分の場所に、がんの免疫療法に取り組む「高橋メディカルクリニック」はある。同院は各種がん検診や人間ドック、消化器内視鏡検査・治療、生活習慣病診療などにも対応。院長を務めるのは、がん治療を生涯のテーマとする高橋司先生だ。東京大学医科学研究所附属病院での勤務医時代は数々の外科手術を執刀し、さらにハーバード大学でがん研究にまい進した経歴を持つ。今回は院長に、海外でも研鑽したがん治療のプロフェッショナルならではの視点で、がん治療に対するスタンスや患者への想いを語ってもらった。「がんとの向き合い方は人それぞれでいいはずです」と専門的な話題の中にもユーモアを交えて話す、優しく気さくな院長の人柄が印象的な取材となった。

(取材日2022年6月27日)

米国ハーバード大学で得た知見を地域医療のために

医師を志したきっかけをお聞かせください。

高橋司院長 高橋メディカルクリニック1

祖母を治療していただいた医師との出会いがきっかけです。医学的にはもちろん、人間性もとても優れている方で、中学生ながらに「こんなすごい人がいるんだ」と思うほどでしたね。医師が頑張ると、患者はこんなにも頑張れるものなのだと目の当たりにしたことで、同じ道を志すようになりました。外科を専門としたのは、母が慢性腎臓病を患っていたから。「自分が学び、母に腎臓移植をしてあげたい」と考えたのです。当時、移植免疫のエキスパートである教授が東京大学医科学研究所附属病院にいらっしゃるということで、大学卒業後の最初の勤務先に選んだのですが、「まずは一般外科医として勉強をしなさい」と言われまして。そうこうしているうち、勤務1年目くらいで母が亡くなり、一番、腎臓移植をしてあげたかった人がいなくなってしまったんです。しかしそのまま外科の勉強を続け、移植ではなくがん治療を専門にすることにしました。

がん治療にご興味を持たれたのはなぜでしょう。

移植手術というのは、悪い臓器のすべてを切除して、ほかの人から健康な臓器を持ってくるという、外科の領域ではある意味でシンプルなものといえます。むしろ重要なのは、術前に行う拒絶反応を起こさないかの評価や、術後の内科的なケアです。他方で、がんの手術では臓器すべてを切除するわけにはいきません。なるべく臓器を残した上で悪いところだけを切除し、いかに再発させないか、外科医にはその見極めが求められます。また、多かれ少なかれ臓器がなくなることで併発するだろう症状をどう減らすか、という観点も持って執刀する必要があります。こうした、外科医としてのスキルがより問われる部分に惹かれ、がん治療に関心を持ちました。

専門的な知識を得るために、アメリカに留学したそうですね。

高橋司院長 高橋メディカルクリニック2

東京大学で技術を磨いた後、ハーバード大学へ留学する機会をいただき、渡米しておよそ3年間、がん研究にまい進しました。ハーバード大学にはアメリカ人だけではなく、ヨーロッパやアジア、世界中から研究者が集まっており、私が所属したがん研究所の責任者は中国人でした。日本の医療レベルが高いのは間違いありませんが、アメリカでは各分野の専門家が国境を越えて集い、お互いを刺激し合い、しかも、皆が常に成果を求められているわけですから、なるほど日本とは環境が異なるのだなと感じましたね。尊敬する研究者の方々も同時期にハーバード大学にいらっしゃり、そんな先生方の話を直接聞くことができたのも得難い経験でした。

がん治療のもう一つの選択肢、免疫療法に着目

研究者ではなく、広島で開業する道を選ばれたのですね。

高橋司院長 高橋メディカルクリニック3

実はアメリカにいる時、フランスのパスツール研究所に留学しないかとお誘いもあったのです。歴史ある研究所で経験を積めるということで、たいへんありがたいお話だったのですが、この先も研究だけを続けていると「メスを握る機会は持てないかも」と気がかりで……。私は外科の仕事が好きで、患者さんを診ることから離れられなかったのです。それに、患者さんにより良い医療を提供するためにハーバード大学に学びにきたのであって、研究者や教授になりたいわけではなかったのですね。周りから「断るなんてもったいない」と言われたものの、自分がやりたいことを貫こうと決意して帰国し、地域の総合病院勤務を経て、妻の出身地でもある広島で1996年に開業しました。

抗がん剤以外のがん治療に長年着目されているとか。

ええ。がんが再発すると一般的には、「抗がん剤の種類を変えて、再度化学療法を」と提案されるでしょう。ただ、がんが再発したならば、術後の補助化学療法に使っていたものより強い抗がん剤に切り替えることになります。なぜなら、術後は、体内に少しだけ残ったがん細胞を叩くために抗がん剤を使うわけですが、その少しのがんも退治しきれなかった抗がん剤をまた使っても、再発して増加したがん細胞には効果がないと考えられるからです。しかし、抗がん剤には大きな副作用が伴いますし、さらに薬が強くなるというと患者さんの中には、「もうあんなつらい治療はしたくない」と思われる方もいらっしゃる。そうした方々がインターネットでお調べになり、がんの免疫療法に取り組む当院に関心を持たれるケースが多いです。

「免疫チェックポイント阻害剤」を用いたがんの免疫療法を行っていると伺いました。

高橋司院長 高橋メディカルクリニック4

近年の研究で、がん細胞は免疫細胞の働きを低下させる物質を出していると明らかになりました。当院が用いる免疫チェックポイント阻害剤というのは、その物質をブロックし、免疫細胞が本来の役割を果たせるよう助けるための薬です。抗がん剤治療は、がんを叩くために体にとっても負担の大きい薬を使う、いわば「毒をもって毒を制す」治療のため、副作用もとてもつらいものになりますが、対して、免疫チェックポイント阻害剤を使ったがんの免疫療法は体の本来持っている働きを補助するものであり、副作用も少ないと考えられています。

がん治療も生き方も、患者がもっと選択できるように

がん治療に臨む患者さんに伝えたいことはありますか?

高橋司院長 高橋メディカルクリニック5

抗がん剤治療が一番メジャーだからという理由で治療法を選ぶのではなく、もっと患者さんご自身で考えて、がんとどう向き合うのかを選択していただければと思っています。抗がん剤が良くないと言っているのではありませんし、当院でも外来で抗がん剤治療は行っています。ただ、副作用で体が弱わっていくことは否定できませんし、にもかかわらず必ずしもすべてのケースで病状が改善に向かうわけではありません。であるならば、抗がん剤という選択肢にとらわれず、自身がどう生きたいかという視点から治療法を選び取るべきなのでは、と。がんの病状とステージによっては、治療を受けないという選択肢もあって然るべきでしょう。私がこれまでがん治療の研究をしてきたのも、今、がんの免疫療法に取り組んでいるのも、患者さんにさまざまな選択肢を示したいという想いからなのです。

健康診断や人間ドックにも力を入れられているのですね。

やはり、早期発見・早期治療がとても重要だからです。企業健診の場合は指定された項目を、個人で受診される方の場合はもう一歩踏み込んで、膵臓や大腸に特化した検査を提案することも可能です。検査を行う際は「苦痛をできる限り軽減すること」を重要視しており、内視鏡検査では鎮静剤を活用しています。留学中に驚かされたのですが、アメリカでは検査や治療で苦痛を与えると患者さんに訴えられてしまうこともあるんですよ。そんな環境に身を置いていたこともあって、苦痛を取り除くことは強く意識しています。また、設備さえあればどこで検査を受けても同じと思われている方には、「誰がどう診るのか」で違いが出ると知っていただきたいですね。健康状態の診査では説明とフォローが大切となるため、年1回健診でしかお会いできない方にも、過去のデータと照らし合わせてフィードバックをしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高橋司院長 高橋メディカルクリニック6

30代40代の女性、特に主婦の方は健診を受ける機会が少なく、受けていたとしても、内容はいたってシンプルなものなのではないでしょうか。しかし乳がんや子宮がん、閉経による更年期障害など、男性と比べて女性には懸念される病気が多いのです。ですから30歳を越えたら全身の状態を定期的に調べて、大病になる手前の未病の段階で問題を見つけるようにしてください。ご夫婦どちらが病気になってもいけませんが、特に奥さまが倒れられたらご家庭は大きく揺らぐもの。主婦の方にも定期的に健診を受けていただきたいですし、ご主人もぜひ積極的に勧めてくださればと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

人間ドック/3万9,600円~

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