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笠原 仁 院長の独自取材記事

笠原内科医院

(橿原市/岡寺駅)

最終更新日:2024/04/24

笠原仁院長 笠原内科医院 main

近鉄吉野線岡寺駅から西へ徒歩8分の場所にある「笠原内科医院」。観光地として有名なエリアだが、近くにはスーパーや幼稚園、公団住宅などがある静かな住宅街の一角にたたずんでいる。父親の代から地域住民の健康を守るかかりつけ医として親しまれてきた同院。院長の笠原仁先生は、20年以上前から父親とともに同院にて診療にあたり、介護保険などの制度がない時代から往診に奔走する父親の背中を見てきた。橿原地区医師会の理事として地域医療に貢献するほか、 訪問診療や学校医にも取り組むなど、父親の意思を引き継ぐように地域住民の困りごとを包み込むような姿勢が診療に現れている。自然体で穏やかな笠原院長に、クリニックの特徴や重視していること、地域住民への思いなどについて話を聞いた。

(取材日2024年3月18日)

地域との関わりを重視するクリニック

まずはクリニックの特徴を教えてください。

笠原仁院長 笠原内科医院1

地域のかかりつけとして、一般診療をメインにしていますね。胃・大腸・前立腺・肺などのがん検診やワクチン接種、胸部エックス線検査・心電図検査・心臓超音波検査・腹部超音波検査など、患者さんが一箇所で一通りの医療サービスを受けられるようにさまざまな検査機器を備え、必要に応じて他の専門医療機関への紹介も積極的に行っています。車で10分以内の距離に病院がたくさんあるので、当院ですべて対応できなくても、しっかりと連携が取れる体制を整備しています。また、学校医としても活動しているほか、往診や在宅医療、訪問診療、介護などにも注力。往診や在宅医療、医師会の活動、学校での活動などを通じて、医療サービスの提供だけでなく、地域社会との連携や関わりを重視しています。

病診連携について詳しく教えていただけますか?

近隣に平尾病院、平井病院、平成記念病院、中井記念病院と4つの病院があり、胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査・CT検査・MRI検査といった高度検査の予約ができます。待ち時間が少なく、検査結果は当院にも共有されるので、今後の診療に生かせるなど患者さんへのメリットも大きいです。また、奈良医大のほとんどの診療科の初診予約や、平尾病院のCT検査・MRI検査はオンラインで即時予約が可能。何かお悩みや気になる症状がある場合、どの病院や何科にかかれば良いかわからなくても、ひとまず当院に来ていただければ、しかるべき病院にスムーズにおつなぎします。

来院される患者層を教えてください。

笠原仁院長 笠原内科医院2

開院したときは若い方も多かったのですが、近年はこの地域が高齢化・過疎化しているため、今は65歳以上の高齢者の方が中心になってきました。高齢の配偶者のご病気や介護のことで相談にいらっしゃる方も多いです。患者さんに若い世代の方は少ないのですが、このエリアに住む親御さんの病気のことや介護のことなどで何かサポートが必要になりましたら、長年培ってきた医療ネットワークを駆使してお手伝いできることがあると思いますので、お気軽にご相談いただけたらと思っています。

往診、訪問診療など介護と医療の連携に精通

クリニックはお父さまから引き継がれたと伺いました。

笠原仁院長 笠原内科医院3

1973年から父が開業し、私が引き継ぎました。その頃から高血圧、高脂血症、糖尿病などの慢性疾患のお悩みを抱える方、最期は自宅で迎えたいという方が多く、地域密着型の医療を昔から提供していましたね。父は「在宅」という言葉や介護保険がない時代から往診に奔走していて、私はそんな父の背中を見て育ち、医師を志しました。地域で困っている方を一人でも多く救えるように動くことが医師として当たり前のことだと思っていますので、父の意思を引き継いで私も日々、外来、在宅と奔走していますね。

往診や訪問診療の需要は高まっていると感じますか?

はい、当院もその需要に応え、医師1人体制で、訪問看護ステーションと連携を取りながら対応しています。私はいつも、患者さんが通院できる間に「歩ける間は歩いておいで。歩けなくなったら僕が行ってあげるから」と伝えるようにしています。ほとんどの場合、往診は外来診療後の20時以降に当日訪問。病状に応じて緊急度や持参する薬が変わるので、診察時間中に電話で相談の上、お伺いしています。訪問診療は、長年通院していた患者さんが高齢で通院が困難になった場合や、終末期を自宅で過ごしたいと病院から帰宅した患者さんなどを診ることが多いです。父親の代からずっと続けていることですが、介護保険制度も訪問看護ステーションもなかった当時は本当に大変だったと思います。今は時代が追いついてきて、私が引き継いだ頃にはいろいろと整備されていたので、とてもやりやすくなりました。

介護と医療の連携にも力を入れてらっしゃるのですね。

笠原仁院長 笠原内科医院4

当院の大きな強みですね。介護制度に精通しているという自負があり、患者さんやそのご家族が必要とされるサービスへのアクセスを容易にするためのサポートに努めています。 通院患者さんに関しては、入院中の相談から在宅での療養、看取りまで対応。 介護に関連するネットワークも広く、社会福祉協議会や介護相談室からの新規依頼も多数受けています。現状、何もわからないまま先にひとまずサービスを頼んで、後からさまざまな制度を知って、自分のニーズとは合わないことがわかって悩む方も多いのですが、当院では普段からお付き合いのあるケアマネジャーさんや施設の紹介も可能なので、介護が初めての方にとっても、心強い存在だと思っていただけていたらうれしいですね。

雑談からニーズを探り、家族のように親身に接する

患者さんとのコミュニケーションで心がけていることは何ですか?

笠原仁院長 笠原内科医院5

「親切に対応する」に尽きます。当院は、患者さんやそのご家族と深い関係を築くことで、時代の変化に柔軟に対応し、より良い医療サービスを提供してきました。深い関係を築くには、患者さんの背景を雑談の中から探り、その方の希望する医療の提案につなげることが大事。昔は正直、父が患者さんと雑談する姿を見て、「患者さん、嫌がっているのでは?」「個人情報をあまり聞かないほうが良いのでは?」と心配になることもありました。しかし、父は雑談の中で患者さんの本当のニーズを得ていたのだと理解するようになり、患者さんの中には逆に話を聞いてほしい方もいるかもしれないと思うようになりました。長く通ってくださっている方には家族のように接し、その方やご家族の立場になって対応します。介護においても、どんな考えを持ったご家族がいて、協力体制はどうか、ご家族に精神面や体力の限界がきていないかなど配慮しながら接するようにしています。

毎日、外来や往診などお忙しいと思いますが、休日はありますか?

休日は作るようにしています。休みの日は、5年ほど前から始めたテニスを楽しむことが多いですね。車で5分くらいのところにあるテニスクラブに入っていて、心と体のリフレッシュをしています。

最後に、今後の展望を教えてください。

笠原仁院長 笠原内科医院6

今までどおり、地域のためにできる限りのことをやっていきたいと思っています。私はいつも患者さんに、冗談ぽく「酔っ払ってでも、歩いて行ける範囲の患者さんは自分でどうにかしてあげたい」と言っているのですが、地域密着が強みなので、地域の方に安心して頼っていただけるように力を尽くしたいです。また、高齢化が進むこの地域は、ご夫婦で住まわれている世帯がほとんど。片方を看取った後、残された方の一人暮らしのフォローをどうしていくかを考える必要があります。私が1人で考えてもどうにもならない部分もありますが、少しでも皆が幸せに、穏やかに過ごせるよう、お手伝いができたらうれしいです。

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