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嘉久 裕国 院長の独自取材記事

二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科

(伊勢市/二見浦駅)

最終更新日:2022/12/05

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科 main

JR参宮線・二見浦駅より徒歩5分、海水浴場にも程近いエリアにある「二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科」。医師が不足していたこの地に嘉久裕国(かく・ひろくに)院長の父が開業。今年の11月で50周年を迎える歴史あるクリニックだ。嘉久院長は、どんな症状の人も受け入れてきた父の姿勢を引き継ぎながら、自身が悩まされてきたアレルギー疾患治療にも積極的に取り組み、喘息やじんましん、鼻炎やアトピー性皮膚炎の治療では豊富な実績を持つ。「病気のつらさを長年実感してきたからこそ、目先の症状だけでなく、患者全体を診る『全人的治療』を提供したいと思っています」と語る嘉久院長に、プライマリケアに懸ける思いを聞いた。

(取材日2022年9月22日)

アトピー性皮膚炎のつらい経験があるから寄り添える

海からも近いすてきな場所にあるクリニックですね。

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科1

当院は2022年で設立から50周年を迎えます。私の父が、当時医師が不足していた二見町に招聘(しょうへい)され、開業したのが始まりです。当時は地域の人はもちろん、伊勢志摩の観光客が体調を崩して当院に足を運ぶことも多かったようです。当時から訪問診療も行っており、数少ない地域のクリニックとして多くの患者を診療してきました。今では近くにクリニックも増えましたが、当院はこの地域はもちろん、クチコミや紹介で遠方からも患者さんの訪れるクリニックになりました。私は日本内科学会総合内科専門医の資格を持ち、父の時代から変わらずどんな症状の方も受け入れています。アレルギー疾患の治療と生活習慣病の治療を中心に行っているのですが、アレルギー疾患や皮膚病の患者さんは遠方から通われる方も少なくありません。初診患者の大半は、患者さん同士の紹介やクチコミで来られます。

先生の医師としてのやりがいは何ですか?

医師の仕事は病気を治そうとする患者さんと努力の方向性が一致しているため、患者さんと二人三脚でともに病気と闘い、克服していくチーム感、一体感がとても大切だと思っています。症状が回復に向かえばそれだけでも当然患者さんは喜んでくれるものですが、今まで治療がうまくいかなかった方が当院を受診してくれて、ともに頑張って体質から改善し、長年患っていた病気を克服できたとしたら、その達成感は患者さん・医師ともにこの上ないものだと思います。患者さんの問題点を正確にくみ取るために、いつも患者さんの訴えに誠実に耳を傾けています。仮に検査で異常がすぐに見つからなくても患者さんに症状がある以上、そこには何らかの問題点があるはずです。そこに寄り添いながら何らかの解決策を探りたいと考えています。

患者さんに寄り添う姿勢を大切にされているんですね。

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科2

長きにわたって通院していただいている患者さんとは、いろいろな話を伺う中でお互いの人間性を少しずつ知り、信頼関係を深めていくこともできると思います。そうすると、患者さん一人ひとりの生活環境や社会環境もだんだん理解することができて、最適な生活習慣指導や治療を行っていくことも可能になります。そこが大規模病院とは違う、地域のかかりつけ医の存在意義であり、醍醐味、やりがいでもあります。実際当院には、家族中で何世代にもわたって通い続ける常連の患者さんも数多くおられます。これは地域の開業医でなければ担えない大切な機能だと思っており、かかりつけ患者さんの医療関連の相談窓口としての機能を発揮することも、とても重要視しています。

アトピーはスキンケアとアレルギー体質の改善に着目

ご自身もアトピー性皮膚炎を患ってきたんですね。

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科3

子どもの頃からアトピー性皮膚炎があり、慢性じんましんにも悩まされました。喘息の発作もよく出ていました。なかなか完治することはなく、皮膚をかきむしって血が出ていることが日常でした。自分の体もなんとかしたいし、勉強してこれらの病気を治せるようにしたいという気持ちが強く、地域医療に挺身(ていしん)する父の姿にも影響を受け、医師をめざしました。各科で専門家とされている先生のもとを訪ねたり、漢方も含め、さまざまな治療を試しましたが、なかなか良くならず……。さまざまな経験を経ておのずと医学の勉強には熱が入りましたが、アトピー性皮膚炎については最終的に「スキンケアを重視する」ということが最善の方法だという結論に至りました。

スキンケアを重視するアトピー性皮膚炎の治療とはどんなものですか?

アトピー性皮膚炎患者さんの肌質をアトピー性皮膚と言いますが、アトピー性皮膚の状態にある方は健常人に比べ、皮膚が水分を十分に保てないのです。これを上手に保水して正常な状態に近づけていくというのがスキンケアの基本です。もちろん、正しいスキンケアの前に、今存在する皮膚炎を抑えなければいけないので、外用薬や内服でできるだけ速やかに炎症を抑えるための治療を行い、保湿に重点を置いたスキンケアを加え、さらにアレルギー体質を改善するため内服薬を処方。皮膚のバリア機能を取り戻せるようにケアを行い、並行して体質を整える目的の治療を行うことを当院の治療の基本としています。症状が治まったからといってすぐに治療をやめてしまうと完治には至りません。状態に合わせて薬を調整しながら、相応の期間治療を続けることが重要です。アトピー性皮膚炎に長年悩まされ諦めてしまっている方は、ぜひ一度ご来院いただけると良いです。

治療と並行してスキンケアで保湿を十分に行うことが大切なのですね。

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科4

スキンケアの知識や習慣が身につくと、肌に対する意識も高くなるようです。皮膚炎やニキビ治療後の色素沈着・ニキビ痕が気になるなど、さまざまな相談を受けることが多くなりました。私は化粧品製造販売業免許を取得しているため、患者さんの肌質に合わせたよりこまやかなスキンケアアドバイス・生活習慣指導などを、職員一丸となって行っております。実は、治療と並行して適切なタイミングで適切な保湿を行うことが最も重要なのです。当院の丁寧なスキンケア指導には、喜びや感謝の声をいただく機会も多く、私やスタッフたちの大きな励みになっております。

“気軽に相談できる医師”としてその人に最適な医療を

院長は日本内科学会の総合内科専門医資格を持つなど、勉強熱心でいらっしゃいますね。

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科5

私はまだ医学生だった頃から、何でも相談できる医師になりたいと思い研鑽を重ねてきました。学生時代、研修医時代を通して、朝早くから夜遅くまで大学病院の多くの科に通い、内科専門であるにもかかわらず、時間の許す限り、各科の手術や治療に立ち会ったり、各科の先生から学んだりしました。プライマリケアの専門家でありたいという思いが強く、幅広い分野について学びを深めました。幅広い疾患、症状の患者さんの診療に携わってきた経験を生かして、今も日々の診療にあたっています。小さなクリニックですが、必要なときには幅広い知識と経験・人脈を生かして、近隣の基幹病院はもとより全国の適切な医療機関・専門医に迅速かつ円滑に紹介することを心がけています。

診療方針に、全人的医療を掲げていらっしゃいますね。

私が心がけているのは患者さんを一人の人間として捉えることです。「とりあえず症状が改善して良かったね」というのではなく、根本原因はどこにあるのか、違う病気が隠れている可能性はないのかなど、その人全体を診ていきたい。皮膚炎後のスキンケアにも関わるのは、こうした思いがあるからです。そのためには、これまでの経過や他の病院でどんな治療を受けてきたかなども考慮する必要があります。今、目の前にある症状だけでなく、全身的な状態を見極めて治療したいと思っています。そもそも、患者さんは一人ひとりが違う個体なのです。そして、治ろうとしている体本来の働きをサポートするのが医師の役目であって、すべての患者が同じ画一的治療で治るわけではありません。だからこそ一人ひとりをしっかり診て、個々に合ったオーダーメイドの医療を提供するつもりで日々患者さんに向き合っていきたいと思います。

お忙しい中で、気分転換されることはありますか?

嘉久裕国院長 二見浦内科・アレルギー科・皮フ科・小児科6

読書と旅行、音楽鑑賞が趣味です。ただ、忙しすぎて旅行は皆無、日々の勉強で時間が取られ、最近は趣味の読書もほとんどできません。当院では健康診断や予防接種なども行っている上、書類作成依頼も多く、診療終了後や休日も夜遅くまで残業が続きます。それでも、当院を信じて通ってくださる患者さんのために、少しでも良い医療を提供しようと日々努力しています。本当は医者の不養生にならないようにもっと余暇も楽しみたいのですが(笑)。

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