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大堀 久 院長の独自取材記事

大堀クリニック

(岡崎市/宇頭駅)

最終更新日:2023/05/16

大堀久院長 大堀クリニック main

1967年、大堀久院長の父が開院して以来、50年以上にわたり地域のかかりつけクリニックとして診療を続けている「大堀クリニック」。1991年、大堀院長が同院を承継し、新たにペインクリニックの診療も開始した。痛みにとらわれて生活の質が下がってしまっている人たちに対し、少しでも前向きになってもらいたいと、薬物療法や神経ブロック注射、光線療法などさまざまな痛みに対するアプローチを取り入れている。「患者さんの話を聞くことが一番大事」と、常に患者に寄り添う大堀院長は、つらい痛みに悩んでいる患者にとって心強い存在だろう。インタビューでは、痛みのメカニズムや治療方針、最近よく耳にする帯状疱疹の痛みについても、じっくり話を聞いた。

(取材日2021年12月16日)

痛みに対して何でも相談できるクリニックでありたい

50年以上診療を続けていらっしゃるクリニックなんですね。

大堀久院長 大堀クリニック1

1967年に父がこのクリニックを開院したので、もう50年を過ぎましたね。父は外科医師だったので、その頃は手術も行うクリニックでした。その後、父が体調を崩したこともあり、1991年に私が院長を承継しましたが、その頃私は、半田市の病院に勤務し、整形外科の領域について勉強を重ねていたので、クリニックには整形外科の先生に来ていただいて、その先生に主に診療を受け持っていただいていました。承継時には新たにペインクリニックの診療を開始し、私がそちらを担当する2人体制でしばらく診療していましたが、その後、その先生が引退され、2008年頃から私が1人で診療する今のかたちになっています。

患者さんはどのような方が多いのでしょうか?

年齢層は、お子さんから80、90歳の高齢の方まで幅広いですね。割合で言えば高齢者が多いですが、中高生の学生さんはけがなどの外傷でいらっしゃいます。高齢の方は、腰、肩、首などの痛みで通われている方が多いです。ペインクリニックの診療をしているので、近隣の基幹病院からの紹介で通われている方もいらっしゃいます。父の代から長く診療をしているので、患者さんの中には、子どもの頃からずっと通ってくださっている方もいて、今はその方たちが高齢になられているわけですが、変わらず通い続けてくださるのはうれしく思います。逆に、私の子どもの頃を知っている患者さんもいらっしゃり、昔の話をされると少し気恥ずかしいですね。

ペインクリニックというのはどのような患者さんが対象になるのでしょうか?

大堀久院長 大堀クリニック2

ペインクリニックとは、その言葉のとおり「痛みの治療」ということなので、痛みがあればどの患者さんもどんな痛みも対象です。例えばがんの痛みや手術後の傷の痛み、それから帯状疱疹などで神経痛が出るという方が割と多いですね。痛み以外にも自律神経の調子が悪い、血流が悪いという方も症状改善のために通院されています。片頭痛などで来られる方もいらっしゃるので、どんな痛みに対してもまずは受け入れられるようにしています。その症状によって脳外科や婦人科を紹介することもありますが、患者さんが困った時に初めに相談できるクリニックでありたいと考えています。中には、「いろんな機関に相談し検査をしても異常がなかったけれどやっぱり痛い」という方が、ペインクリニックを探して当院に来てくださることもありますね。

つらい痛みにも向き合えるよう患者の話をじっくり聞く

そもそも、痛みはどうして感じるのでしょうか?

大堀久院長 大堀クリニック3

基本的に、痛みは生体の防御反応なんです。例えばもし転んだ時に痛みを感じなければ、けがをしたことに気づかないという大変なことになってしまいます。ですから最初に脳に「痛い」という信号を送るわけです。けがなどの痛みは一時的なものなので、けがが治ればなくなるのですが、年齢が上がり関節や筋肉が衰えてくると、動くことの刺激が負担になって痛みが出やすくなります。特に手術などで体にメスを入れることで神経が傷つき、人によってはそれがずっと痛みとして感じられてしまいます。そしてその状態が長く続くことで、痛みにとらわれ精神面からも痛みが増強し慢性痛になってしまい「痛くてやりたいことが思うようにできない」というように生活の質まで落ちてしまうこともあります。

最近よく耳にする帯状疱疹もペインクリニックで診られるのですね。

帯状疱疹は一般的には皮膚科で治療を行います。ほとんどの場合1ヵ月くらいで帯状疱疹自体の治療は終わるのですが、その後帯状疱疹による神経の損傷で痛みが残ってしまう方が一定割合いらっしゃいます。つまり帯状疱疹による神経痛で痛みが長引いてしまうわけです。治療が終わっても痛みが残っているから、また治療中でも痛みが強く出ているからというような理由で、岡崎市や安城市など近隣の基幹病院からの紹介で、当院のペインクリニックにいらっしゃる患者さんも多いです。帯状疱疹自体は過労などが引き金となって若い人でも発症することがありますが、痛みは年齢が高くなるにつれて、残りやすくなるといわれています。

痛みに対するアプローチ方法を具体的に教えてください。

大堀久院長 大堀クリニック4

薬物療法やブロック注射、光線療法、リハビリテーションなどを複合的に組み合わせて対応します。ですが、まず一番初めは患者さんの話をしっかり聞くことから始めます。患者さんが抱えている痛みについて全部話してもらった上で、私たちが持つ引き出しの中からさまざまな治療法を提示しています。長く痛みがある人は「以前の自分はこんなふうではなかった」という思いが強く、そこから抜け出せないことがよくあるんです。痛みがある今の自分を受け入れられるようになると、治療にも前向きになり、治療をすることで生活の質を少しずつ上げることが望めます。それから、脊髄硬膜外に電極を挿入し痛みの軽減を図るような治療をする場合は入院の必要があるため、連携する大学病院へご紹介しています。

治療のゴールは、患者が納得し満足できる地点を目標に

先生が診療の際に心がけていらっしゃることを教えてください。

大堀久院長 大堀クリニック5

痛みというのは結局患者さんご本人しかわからないんですよね。ですから、治療方法も治療のゴールも本人が納得し満足感を得られるところを目標に治療をしています。私が治療を終了しても良いかなと思っても、本人がもう少し治療を受けたいと思えば継続しますし、逆にまだ痛みが残っていたとしても本人がもうこれくらいで十分だと思えば、そこで一度治療を終了することもありますが、私のほうから「もう来なくていい」とは決して言わないように心がけています。だからといって治療は何でもやれば良いということではないので、患者さんが納得できるように初めにしっかり治療計画を立て、「こういう理由でこの治療を何回やっていきます」というように具体的に示すようにしています。

痛みの治療のゴールは難しいですよね。

確かにそうなんです。皆さん、治療を始めるとゴールまで突き進むようなイメージかもしれませんが、治療は時には後ろに戻る道もあることを知ってもらうと少し心が軽くなるくかもしれません。例えば最初は強い痛みがありブロック注射で痛みの軽減を図ったとします。その後、痛いか痛くないかと聞かれたらまだ痛いのであれば、薬や注射を減らしながら治療を継続していきます。「これで治療を終了しましょう」となった時も、「もし調子が悪ければまた明日来てもいいですからね」とお話しし、いつでも患者さんに安心して治療へ戻ってもらえるようにと考えています。痛みというのはなかなかゼロにはならないので、そういう時に心が折れてしまわないように、もう一歩前に進んで頑張ろうと思えるように、クリニックとして支えていきたいと思っています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

大堀久院長 大堀クリニック6

これからは、在宅医療に力を入れていかなければという思いはありますね。看取りも含めてどういうかたちで自分が役立てるのかを模索しています。患者さんが高齢になり、通院が難しくなった場合の往診はなるべくお受けするようにしていますが、やはり看取りなどはクリニックの診療の合間にするというわけにもいかないため、責任持って行うためにはどうすればよいのか難しいところでもあります。今後、いつか自分がこのクリニックの仕事を退く時がきたら、その時は在宅での患者さんの診療に力を入れていければ良いなと考えています。クリニックとしては、今後も痛みで困っている患者さんに真摯に向き合っていきたいと思います。痛みがあったら一人で抱え込まず、まずは相談してください。

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