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木島 武俊 院長の独自取材記事

木島医院

(高座郡寒川町/寒川駅)

最終更新日:2022/04/01

木島武俊院長 木島医院 main

寒川町で3代にわたって産婦人科を中心とした医療を提供してきた「木島医院」。木島武俊院長は、茅ヶ崎市立病院などで多数の分娩や婦人科診療を手がけた経験を持つ。2000年に「木島医院」を引き継ぎ、妊婦健診から分娩、外来診療までを一手に引き受けてきた。少子化や新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2021年7月に分娩の扱いを休止したが、茅ヶ崎市立病院など近隣の病院と連携して妊婦健診を行い、母と子を多角的にサポートしている。また、不妊治療や思春期の診療など、特色ある診療にも取り組む。「婦人科疾患も不妊も、早期発見、早期の対応が重要であることを知ってほしい」と語り、婦人科検診の啓発にも取り組む。そんな木島院長に同院の診療の特徴や、産婦人科医師としての想いを聞いた。

(取材日2021年11月26日)

母と子はもちろん、さまざまな年代の女性をサポート

歴史ある医院とお聞きしましたが、成り立ちを教えてください。

木島武俊院長 木島医院1

江戸時代から続く医師の家系で、もともと千葉で医院を運営していたようですが、祖父の代に寒川のこの場所に移りました。父の代に施設を建て替え、2000年に私が引き継いでから、増築と内装の全面リニューアルを行いました。通りに面した外観は古いままでその印象が強いのですが、中は比較的新しく、清掃や衛生管理にも気を配っています。寒川エリアでお産ができる医療機関として知られ、毎年多くの新生児が産声をあげていました。しかし、少子化や新型コロナウイルスの影響で出産数が減り、スタッフの人手不足や私の年齢も考えて2021年7月に分娩の扱いを休止しました。

では、産婦人科ではどのような診療を行っているのですか。

分娩以外はすべて、例えば妊婦健診、不妊治療、がん検診、思春期から更年期までの婦人科領域の疾患や悩みに対応しています。中でも子宮筋腫や卵巣嚢腫、更年期障害などの方が多いですね。また、妻が小児科の医師で小児科の診療日も設けていますので、親子で受診していただけるのも、当院の特色だと思います。乳幼児の健診や予防接種が中心ですが、身近に小児科の専門家がいるというのは、産婦人科医としては心強いですね。

先生のプロフィールについて教えてください。

木島武俊院長 木島医院2

医師になることを悩んだこともあったのですが、父である先代が当院の院長を務めていましたから、結局、やはり医師になりました。内科より外科系のほうが自分には向いていると感じていたので、産婦人科医師となってよかったと思います。婦人科と関わりが深い、がん検診などで採取した細胞を顕微鏡を使って診断する細胞診も手がけています。また、私も、この地域で生まれ育ったネイティブです(笑)。地域としては、少子高齢化は進んでいますが、寒川町は比較的人口も多く、自然に恵まれている一方、茅ヶ崎にも近くて住みやすいところだと思っています。

不妊治療や思春期・更年期における悩みなど幅広く対応

妊婦健診や不妊治療にも対応しているそうですね。

木島武俊院長 木島医院3

分娩はできませんが、妊婦健診には可能な限り対応したいと考えて、茅ヶ崎市立病院をはじめ、近隣の病院の産婦人科と連携して対応しています。夜中に「具合が悪い」と妊婦さんから電話がかかってくることもあり、症状を聞いて、専門的な施設に紹介することもあります。産科に携わる限り仕方がないことですね。また、不妊治療では、人工授精やタイミング療法を行っています。不妊についても早期診断と早期治療が重要ですから、結婚後、あるいは同棲でも、避妊しないで1年以上たっても妊娠しない場合は受診していただきたいですね。

思春期診療など、こちらならではの診療もあると聞きました。

思春期診療では、小学生から高校生ぐらいまでの思春期世代の女子の月経不順、月経痛などの月経困難症、無月経、早発月経、遅発月経などを診療しています。また、高校生や大学生で、バレーボールやバスケットボールなどのスポーツに打ち込んでいる方の体重減少性無月経の診療にも力を入れています。若い世代では、婦人科の内診に抵抗があることも多いと思います。当院では、経膣超音波検査が怖ければ、おなかの上からの超音波検査も行いますので、まずは相談してほしいですね。

先生の診療方針について聞かせてください。

木島武俊院長 木島医院4

医師として「病ではなく、人を診る」ことを重視して、こちらで開業以来、産婦人科医療を無事故で提供することを心がけてきました。その思いに変わりはありません。妊婦さんや患者さんに対して、両目と両手を使ってしっかり寄り添う医療を実現するよう努めています。スタッフには、自分が患者さんの立場になって受診した時のことを考えて対応してほしいと伝えています。スタッフは、ずっと産婦人科診療に携わってきたメンバーが多く、患者さんやお子さんへの対応も優しく、頼りがいがありますね。

ところで、プライベートな時間はどのように過ごしていますか。

実は、分娩をやめたら遠出できるようになるかなと思っていたのですが、新型コロナウイルス感染症で出かけられないのが残念です。もともと分娩に携わっていた時はほぼ24時間体制で、湘南エリアしか外出できませんでした。呼ばれたらすぐ戻る感じですよね。今後は、勉強会などにも少し参加しやすくなるかなと期待しているところです。健康法は特にないですが、コロナ禍前はスタッフと一緒にジムに通っていました。そろそろ再開したいですね。妻も2人の息子も医師で、自宅で医療の話をすることが多く、特に息子たちからは刺激を受けることも多いと感じます。

受診のハードルを下げて病気の早期発見をめざす

これまでに印象的なエピソードがあれば聞かせてください。

木島武俊院長 木島医院5

印象的だったのは、長期間にわたり治療を受けていた方が、たいへんな苦労の末に治療を終えられた時のことですね。また、治療をきっかけにご家族に受診いただくご縁につながったこともありました。病気そのものに変わりはなくても、時代によって治療やアプローチの方法は変わってくる場合も多いですよね。父たちの時代は、医療機器にもあまり頼らずに、少ない情報から診断・治療をしてきたのはすごいなと思います。一方で、今は、ITなど便利な技術がありますから、積極的に活用したいと考えています。例えば、赤ちゃんに問題があれば、すぐに専門家に画像を送ってリアルタイムで情報共有して、どのように対応するかが検討できます。そういう面では進歩したなあと思いますね。

専門的な立場から気になることはありますか?

コロナ禍による検診控え、受診控えで、早期に見つかるはずの子宮がんや卵巣がんが見逃されていることを危惧しています。そもそも日本の婦人科の検診率はとても低く、かなり症状のある方しか受診されない傾向があるといわれています。がん検診も、20歳から受診を勧めるはがきが自治体から届くと思うのですが、痛みや不正出血など症状がないと受診されない方が多いのです。婦人科のがんは症状が出るようだとかなり進行していることが多く、何よりも早期発見が重要なのです。私も折にふれて、がん検診を受けるように啓発に努めていますが、大きな課題だと感じています。また子宮頸がん予防ワクチンの定期接種もお勧めしたいです。新型コロナウイルスワクチンをはじめ、一定の副反応はどんなワクチンにもあるものですから、相対的にみてメリットがあるものならば受けていただきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

木島武俊院長 木島医院6

婦人科は、女性にとって受診するハードルが高い診療科と感じる方が多いかもしれませんが、何もなくても1年に1度は検診を受けることをお勧めします。また、不正出血やおりものの異常、下腹部痛などがあればできるだけ早く受診してください。ホットフラッシュなどの更年期症状も、ホルモン剤や薬で患者さんに合うものが見つかれば改善につながります。当院では漢方も処方することができますので、ご相談いただきたいですね。また、特に赤ちゃんや小さいお子さんのいるお母さん方は、お子さんを優先されて、自分に不調や気になることがあっても後回しにされがちです。月経痛や月経困難症も我慢しないで早く受診したほうが、治療も容易だと思います。どんな病気でも早期診断、早期治療が大切ですから、症状が軽くても早く受診していただきたいですね。

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