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川﨑 徹 院長の独自取材記事

川﨑レディースクリニック

(流山市/初石駅)

最終更新日:2023/09/12

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック main

1994年に川﨑徹院長が患者一人ひとりと向き合う医療を提供したいという思いから開業した「川﨑レディースクリニック」。以来30年もの間、地域に密着した産婦人科医療で、地域の女性たちの健康を支えてきた。婦人科良性疾患や月経困難症、月経不順、更年期障害、思春期早発症など思春期から更年期まで幅広い年代の女性特有の症状に対応。一般不妊治療も長く行っており、過去には体外受精にも取り組んでいたことから、患者それぞれのゴールをめざした不妊治療に注力している。地域の女性医療のゲートキーパーとして、できる範囲の治療を適切に行うとともに患者の病態や社会的背景に合った適切な医療機関へとつなげる同院の取り組みについて、優しい笑顔とユーモアたっぷりの人柄が魅力の川﨑院長に話を聞いた。

(取材日2023年8月31日)

地域で30年。患者一人ひとりと向き合う産婦人科医療

開業された経緯や先生のご経歴について教えてください。

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック1

私は弘前大学医学部を卒業した後、東京医科歯科大学医学部大学院に入学、博士号を取得し、東京警察病院などでの勤務を経て開業しました。最近、大学病院などの産婦人科では、専門分野に特化したスペシャリストが主流のようですが、私の勤務医時代は、お産から新生児、婦人科の良性疾患から婦人科がんの手術治療まですべてを診療対象とし、オールラウンダーを自認していました。そのため、一人ひとりに向き合う時間が少なくなってしまったため、不妊治療をはじめとして婦人科疾患を対象としたクリニックを開業したのです。産婦人科の医師になったのは、あらゆる職種にもいえることですが、必要とされ、感謝される存在になることができる職業が、自分にとって適性のある職業だと思ったからです。

月経の周期によって起こるイライラや不安感も診ていただけるのでしょうか。

女性の体は初潮から閉経まで、常にホルモンの変動の影響を受けています。月経困難症や、月経開始10日前から3日前までの間にさまざまな不調が起きるPMS(月経前症候群)など、月経のある女性は多かれ少なかれ何らかの症状がありますが、中には職場でのトラブルに発展したり、人間関係が破綻したりするケースも見られます。月経困難症を併発して強い腹痛が起きるなどの身体的症状のほか、うつ状態やイライラ、不安などの精神的症状などがありますので、それらに対して低用量ピルや漢方薬などを処方し、症状の消失または軽減を図っていきます。また、PMSよりも深刻な症状がある場合はPMDD(月経前気分不快障害)と定義し、排卵直後から精神安定剤を服用することもあります。

具体的な症状がなくても受診してもいいのですか?

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック2

皆さん何らかの症状があれば受診されると思いますが、仮に症状がなくても何か隠れた婦人科疾患があるかもしれません。例えば、おりものの量やかゆみで受診した患者さんに超音波検査をしたら子宮筋腫、卵巣腫瘍が見つかるという可能性もあります。特に卵巣の病気は自覚症状がないため、少しでも不安なことがあれば気軽にご相談ください。病気の早期発見のきっかけになるかもしれません。病気かどうかわからないのに受診していいのかなと心配されるかもしれませんが、「早く来てくれて良かった」ということはあっても「なんでこんなことで来たの」ということはまずありませんので、安心して来ていただければと思います。

思春期から更年期まで幅広い年齢の女性を支える

小中高生など思春期の悩みにも対応していただけますか?

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック3

当院では、思春期にも対応した診療も行っています。お母さんが当院の患者さんで気になることがあるからと娘さんを連れて来られることも多く、十分にコミュニケーションを取るように心がけています。特に問題がなければ「この程度は何でもないよ」とお伝えすることで、安心してお帰りいただけると思います。思春期で特に注意したいのが思春期早発症です。乳房が早期に膨らむ、初潮が小学校低学年で始まるなどの思春期早発症は放置しておくと低身長になることがあり精密な検査が必要になるため、大学病院にご紹介しています。また、スポーツをしていて貧血のひどい人は大学病院のスポーツに関する診療を行う外来へとつなげるなど、適切な治療を受けられるようにしています。

更年期障害の診療も行っていますか?

一般的に閉経前後の5年間を更年期と定義し、更年期に発症するさまざまな症状を更年期障害といいます。閉経の平均年齢は50歳といわれていますが、最近は52〜53歳程度に延びていると感じています。これより若い40代前半の年齢での更年期はやや早いと思われますが、決して珍しいことではないため、年齢に関わらず更年期障害を疑う症状があれば一度ご相談ください。PMSの治療と同じく客観的な指標が少ないため、患者さんの主観的な症状を目安に相談しながら治療を進めていきますが、症状の原因が女性ホルモンに異常が生じる更年期なのか、甲状腺などの他の疾患なのかをきちんと確かめてからの治療を始めることが重要になります。

閉経後不正出血があったときはすぐに受診したほうがいいですか? どんな検査をしますか?

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック4

不正出血の原因としては、細菌感染による炎症、傷による出血、ホルモンの不調、内膜ポリープ、粘膜下筋腫や悪性腫瘍が挙げられます。閉経後1年以内の出血はホルモンの影響も考えられなくはありませんが、閉経をして4〜5年がたっていると悪性腫瘍の可能性が高くなるため、早めに受診をしてください。検査はまず、内診を行い子宮の入り口や膣内に異常所見がないかを視診します。次に非侵襲検査である超音波検査で子宮内膜の厚さや内膜ポリープの有無、子宮筋腫、特に粘膜下の筋腫の有無を確認し、粘膜下筋腫などがあれば腫瘍マーカーやMRIで悪性かどうかを慎重にチェックします。以上の検査で問題がないと認められればホルモンの影響による不正出血と考えられます。

不妊治療にも注力。患者の考えを尊重し治療法を選択

不妊治療にも専門的に取り組まれているそうですね。

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック5

当院では現在一般不妊治療のみを行っていますが、1996年から2015年までは体外受精にも対応していました。その経験を生かしてステップアップするタイミングが遅れないように心がけています。2022年4月からは体外受精なども保険適用となりステップアップしやすくなりました。当院でも妊娠が成立しなかった人のほとんどが体外受精に進まれていますが、体外受精はせず一般の不妊治療のみという方もいらっしゃいます。不妊治療と一口に言ってもゴールは患者さんそれぞれです。一律に体外受精を強制することはなく、個々の患者さんの考えに合った選択をしていきたいと考えています。また、治療がうまくいかず精神的につらいときには専属のカウンセラーによるカウンセリングを行っています。妊娠を希望してもなかなか成果が得られず不安をお持ちの方は、まずご相談ください。

印象に残るエピソードなどありますか?

宝物のようなエピソードはたくさんあります。以前当院に来られた不妊治療の患者さんで、最終的には他の施設に移られました。その後、しばらくしてご主人が転勤されることになったんです。すると、マンションを引き払った夜、ご主人が私のところへ訪ねて来られて、「ありがとうございました。流山の地がとても思い出深い地になりました」と言ってくださったんです。当院で妊娠が成立したわけではなく、家族は先に新しい土地へと転居しているにもかかわらず最後に立ち寄ってくださいました。医師冥利に尽きる、医師人生の中でベスト10に入る出来事でしたね。

最後に地域の方々にメッセージをお願いします。

川﨑徹院長 川﨑レディースクリニック6

開業して30年がたち、地域の産婦人科については、患者さんの病態や社会的な理由などからどの病院に紹介すれば良いかを熟知しているつもりです。私の役割はゲートキーパーのようなもので、私が診られる範囲の病気はしっかり治療し、私の範囲を超える手術などの病気が見つかったときは、患者さんとよく相談しながら適切な医療機関を紹介しています。開業した時に私が思ったのは、一人ひとりの患者さんに向き合うとともに、自分のできる範囲の医療を適切に提供したいということでした。ゲートキーパーとして引き受けた患者さんをどう振り分けるか、総合案内的な役割を正確に担っていければと思います。

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