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清水 博史 院長の独自取材記事

しみず医院

(足立区/竹ノ塚駅)

最終更新日:2022/01/17

清水博史院長 しみず医院 main

竹ノ塚駅西口から5分ほど歩くと「しみず医院」がある。入り口のドアを開けるとすぐ目に入ってくるのが、日当たりが良く広々とした待合室だ。熱帯魚が泳ぐ大きな水槽や、子どもの目を引くカラフルなオブジェが、診察を待つ不安な気持ちを和らげてくれる。清水博史院長は東京慈恵会医科大学を卒業後、関連病院での勤務経験を経て同院を開業。この道40年の小児科医師だ。風邪や腹痛などの急性疾患から慢性病の治療、健康診断や予防接種などを総合的に扱うプライマリケアを軸に、地域に根差した診療を行っている。患者を自分の家族同様に思い、「自分の子どもならばこうする」という姿勢で診療に臨んでいるという清水院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2020年3月12日)

世代を超えて患者の成長を見られることが最大の報酬

まず医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

清水博史院長 しみず医院1

父親が産婦人科の医師だったので、自分も同じ道に進むのが当たり前だと思っていました。父はお産に合わせた生活で忙しく、週に3日会えればいいほうでしたが、それでも休日には一緒に遊んでくれました。やがて私も晴れて医学生となり、当初は産婦人科へ進むつもりでしたが、臨床実習で小児科の衛藤義勝医師にお会いしたことがきっかけで、小児科に興味を持ちました。乳幼児も診られる産婦人科の医師を理想としていたので、小児科で4年間くらい経験を積んでから産婦人科に移ろうと考えましたが、結局は小児科が一生の仕事になりました。勤務医時代は難しい症例に対処できる力を養うため、自分から外来の忙しい病院ばかりを希望していましたが、そのおかげでたくさんの症例を診ることができ、病気を見る目も自然と身につきました。患者さんの様子から「この症状はあの時と同じだな」「この病気はこういうことがあるな」とピンとくることも少なくありません。

小児科の診療にはどんな特徴がありますか?

小児科は内科系の科目の中でも「勝負が速い」科だと言えます。子どもがかかる病気の多くは急性疾患なので、早期に診断して治療することが大切です。その反面病気の進行も早いので、様子を見ようと時間を置いたために症状が悪化することもあります。そのため、勤務医時代は生死をさまよっている患者さんがいるときは、1〜2週間病院に泊まり込むことも当たり前でした。これから何十年もの時を生きていく子どもの命の重さは、相当なものです。だから常に自分にシビアでなければなりません。その重責から小児科の医師になるのをためらう医師も少なくありません。その反面、小児科の医師だからこその喜びもあります。

小児科の医師としての喜びを感じるのはどんなときですか?

清水博史院長 しみず医院2

小さい時から診ていた患者さんが成人し、結婚して自分の子どもを連れてきてくれたときですね。中には祖父母の代から親子3代診ている患者さんもいます。これは小児科の医師としては1番の報酬なんです。なかなか泣き止まなかった子どもが親になり「先生、うちの子です」と子どもを連れてきて、泣いているわが子をなだめているのを見ながら「お前のほうがよっぽど泣いてたよ」なんて言えるのは、親戚か小児科の医師ぐらいでしょう。私は患者さんの顔を覚えるのが得意だから、患者さんの家族や病歴もだいたい覚えています。家族ぐるみで診察しているので「この前、お姉ちゃんもこの病気だったよね」と診断がすぐにつくことも少なくありません。患者さんは皆さん自分の家族だと思い、「自分の子どもならばこうする」というのが私の変わらぬ姿勢です。

家族の不安を軽減することも小児科の医師の大切な使命

先生の最も得意とする治療はどのような分野ですか?

清水博史院長 しみず医院3

昔はそういった質問に対して皮膚疾患や喘息、育児相談と答えていましたが、小児科の医師としての経験を40年積んできた現在では、プライマリケアとしての小児科学だと言えるようになりました。自分が考えるプライマリケアとは、普通に生活している中で、病気などによって普段と違う状態になったとき、医師と家族とが一体になって患者さんに手を差し伸べるということです。中でも一番のポイントは家族の共感を得ること。そして自分が患者さんに何をしてあげられるかを、わかりやすい言葉で伝え、不安を少しでも軽減することが、小児科の医師としての使命だと思っています。そして病気に対する怖さを常に忘れずに、日常の診療に臨んでいます。

どのような患者さんが多いですか?

病院勤務時代は感染症が診療のメインでしたが、現在は開業医ですから、感染症の患者さんは少なくなりました。昔に比べると共働きの家庭が増えたので、ある時「仕事が終わってから預けていた子どもを迎えに行ったのでは午後5時までの診療に間に合わない」という声がありました。そこで2年ほど前に、診療時間を遅くしたんです。また、足立区でも外国人の方が増え、多い時は10人中3人ぐらい診ることもあります。IT関連の企業に勤めている家族の方が多いようで、働いているお父さんは日本語が上手でも、お母さんは苦手だということもあります。でもそういった患者さんが来ても、たいてい同じ国の患者さんがいらっしゃるので、その場で通訳をお願いできるので助かっています(笑)。

患者さんと接する上で気をつけていることはありますか?

清水博史院長 しみず医院4

言葉の大切さですね。言語が違う相手と理解し合える手段も言葉ですが、よく知っている相手でも、言葉の使い方によっては傷つけてしまうこともあります。僕はもともとバーッと喋っちゃうほうなので、早口すぎてちゃんと伝わっていなかったり、たまたま選んだ言葉が強かったために、それが気になってしまうこともあるようです。自分ではなるべく言葉を選んでいるつもりなんですが、「あの言い方はちょっときつかったかな」と、この年になった今でも、時々反省することもあります。

子どもの顔つき・目つきから病気の緊急性がわかる

医療機器や設備でこだわっているところはありますか?

清水博史院長 しみず医院5

特別なものはありませんが、微量の血液から体内での炎症の有無を調べるCRPの検査機は役に立っています。5分程度で結果が出るので、感染症の原因や重症度をすぐに推定できます。それ以外にも、インフルエンザや溶連菌の検査、尿検査、心電図など、小児科として早く結果を知りたい検査はここでできるようにしています。一方でエックス線検査はやめました。というのも年間に1〜2枚ぐらいしか撮っていなかったので、そのために使っていた部屋を感染症の隔離室にするなど、もっと子どもたちの役に立つような使い方にできるのではないかと考えたからです。すでに機械は撤去しましたが、これから部屋の具体的な使い方を決めようと思っています。

今後の展望を教えてください。

小児科の勤務医をしている長女が手伝ってくれたら助かるなとは思っています。そうしたら僕は健康診断や予防接種にもう少し力を入れられるので。次女は臨床心理士なので、不登校の子どもの話を聞くなどの手伝いをしてくれるといいですね。足立区は不登校の子どもが多いんです。小さい頃から診ていた子が不登校になっているという話を聞くと、つい自分の子のような感覚で「今度連れてきてよ」なんて言ってしまいます。三女は医大を卒業したところですが、何らかの形で関わってくれるとうれしいです。それも含め、もう少し幅広い診療がしたいですね。例えば健診と予防接種は別の場所に移すとか、外来とは1階と2階で分けるとか。そうすれば感染防止対策にもなるので、患者さんもさらに安心できます。また、普段の患者さんの様子をよく知っている医師が予防接種を行うことで、予防接種時のアレルギー反応に素早く対処できるという点でも良いことだと思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。

清水博史院長 しみず医院6

もっとお子さんの顔つき・目つきを見てください。すると、その病気の緊急性がわかります。すぐに病院に行ったほうがいいのか、それとももう少し待っていられるか。顔つき・目つきが良く、食欲もあるようなら、その病気はたいしたことないことが多い。逆に、顔つき・目つきがいつもと違う、なんかおかしいぞ、と感じたら、それは緊急性があります。自分の目を信じてください。お子さんの普段の様子を最もよくわかっているのはあなたです。たまにしか接していない人は、先走りしがちで、正しい情報が得られないことが多いです。普段からお子さんに接している方が診察室で「うちの子、なんかおかしいんです」と言うときは、必ず話をよく聞くようにしています。小児科の医師にとって、それは決して無視できない情報の1つだからです。

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