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片平 宏 院長の独自取材記事

片平内科クリニック

(三鷹市/三鷹駅)

最終更新日:2021/10/12

片平宏院長 片平内科クリニック main

JR三鷹駅南口から真正面に延びる中央通りを歩くこと1分、商店街の一角、ビルの4階にある「片平内科クリニック」を訪ねた。ベージュを基調とした温かみのある院内では、さりげなく飾られた季節の生花や観葉植物にほっと心が癒やされる。院長の片平宏先生は、一般内科に加え、専門である糖尿病、甲状腺疾患、生活習慣病の診療にも力を注ぐ。経験豊富なスタッフと連携し、患者の生活背景まで考慮したチーム医療で地域を支えてきた。穏やかな話しぶりと柔和な笑顔が印象的な院長に、クリニックの強みや患者への思いなど、幅広く話を聞いた。

(取材日2020年12月16日)

チームとして患者をサポートする体制を確立

開業されて14年になるそうですね。

片平宏院長 片平内科クリニック1

2006年に開業するまで、20年ほど杏林大学医学部付属病院で糖尿病や甲状腺疾患の診療に携わってきました。大学病院と同じ三鷹エリア、なおかつ駅前で開業したこともあり、勤務医時代から続けて診させていただいている患者さんもいて、長い方だともう20、30年のお付き合いになる方もいらっしゃるんですよ。患者さんの年齢層としては10代から90代まで幅広く、特に60~80代の方が多い印象です。内科全般を診ていますが、やはり私の専門ということもあり糖尿病や甲状腺疾患、生活習慣病をお持ちの方が多く来られています。一方で、専門外の分野であれば、患者さんを囲い込んで薬だけ出すようなことはせず、すぐに近隣の専門のクリニックや病院へご紹介しています。地域の医療機関と連携して包括的に診ることも意識しているところです。

クリニックの特徴を教えてください。

医師は私1人ですが、当院には糖尿病に関する専門知識を持つスタッフのほか、訪問診療で15年のキャリアを持つ看護師など、多彩な経験を持つスタッフがそろっています。受付や看護師、管理栄養士などが、最近あった出来事など診察の前後で患者さんと何げない雑談を交わす中で得た情報も、折に触れてスタッフ相互で共有し、治療に役立てています。患者さんの生活状況や家族構成などバックグラウンドまでスタッフ全員が理解した上で、チームとしてサポートする体制というのは、当院のような小規模な医院ならではの強みです。例えば電話をかけたとき、電話口のスタッフが誰であっても「○○さんですね。お薬が変わったけどその後の調子はどうですか?」など、状況を理解して対応してくれたら安心ですよね。1年前から電子カルテを導入したことで、情報共有もより円滑に進められるようになりました。

それは安心して受診できそうです。

片平宏院長 片平内科クリニック2

開業当初より、妻が事務長として当院のマネジメントを行い、私をはじめ、スタッフみんなが働きやすい環境をつくってくれています。チームワークを何より重視していて、長年勤務してくれている優秀な看護師が「事務長なしではこのクリニックは語れない」と言っていたことも。それを聞いて、まさにそのとおりだと思いましたし、妻には心から感謝しています。

患者さんと接する上で大切にしていることは何ですか?

患者さんが話しやすい雰囲気をつくることです。とりわけ糖尿病の治療では、食事指導や運動指導を通じて患者さんご自身の生活を見直していただくことが多いのですが、誰しも「あれは駄目」「これも駄目」と否定ばかりされるのは嫌ですよね。患者さんが良い健康状態をつくるための手助けをするというスタンスに立ち、頭ごなしに否定したり、一方的に指示するような話し方になったりしないよう常に意識しています。また、診療中はできるだけ患者さんと顔を合わせて話し、その方が納得しているのか不安なのか、ちょっとした表情の変化も感じ取れるようにしていたいという思いから、診察中の電子カルテの入力は同席する医療クラークに任せています。おかげでパソコンの画面でなく、患者さんとじっくり向き合って診療に集中することができます。

祖父母の姿に触発され、迷わず内科の医師の道へ

先生が医師を志したきっかけは?

片平宏院長 片平内科クリニック3

私の郷里は宮城県で、祖父も両親も学校の教員でした。校長まで勤め上げた祖父は、在職中に腰を悪くしたことがきっかけで、鍼灸、あんまマッサージなどを学び、実家で地域の方々のために施術所を開いていたんです。また、祖母が助産師をしていたこともあり、地域で感謝される2人の姿に触発されて、医学部をめざすことを決めました。

内科の中で内分泌・代謝などの領域を選ばれたのはなぜですか?

聴診器1つあれば、1人でも一通り診られる内科に進んでみたいという思いが強かったですね。中でも内分泌の疾患は、原因さえしっかりわかれば、内服薬による治療で改善が見込めることを研修医時代の経験から実感し、そこにやりがいを見いだすことができました。例えば、高血圧というと一生付き合っていく病気というイメージがあるかもしれませんが、30、40代に見られる高血圧の中にはホルモン異常に起因するケースもあり、診断がつけば手術や内服薬によって状態の改善がめざせるんです。以前、下垂体機能低下症で寝たきりで過ごされていた方が順調に快方へ向かい、退院時に自分の足で歩いて帰られる姿を見たときには本当に胸が熱くなりました。

糖尿病の方に、長年の生活習慣の改善を促すのは難しそうですね。

片平宏院長 片平内科クリニック4

食事や運動など、長年続けてきた習慣を変えていただくのは一筋縄ではいきません。その動機づけの鍵となるツールが、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)といった病状を示す数値です。かつては検査でこうした数値が出るまで2、3日を要したものですが、現在は検査機器も充実し、血糖なら10秒、HbA1cでも60秒あればすぐ数値が判明するようになりました。最近では500円玉大のパッチを2週間腕につけておくだけで糖の値を観察することもできます。私が医師になった当初と比べると、糖尿病の治療薬の種類も増え、治療の選択肢が広がっています。患者さんがご自身の「現在地」と、めざす数値目標をしっかり捉えて治療に臨めるよう、その方に合った治療法を検討し、全力でサポートさせていただいています。

食べる楽しみを奪うのでなく、上手に食べる手助けを

運動習慣のない方は、まず何から始めたらよいのでしょうか?

片平宏院長 片平内科クリニック5

一番簡単なのは歩くこと。最初は無理なく2000歩、3000歩からで構いません。例えば、電車通勤の方なら時間に余裕があるときに1駅か2駅手前で降りて歩く、あるいはオフィスやマンションでエレベーターには乗らずに階段を使うなど、生活の中で無理なく変えられ、続けられる運動を探して具体的に提案しています。最近は感染症流行の影響でテレワークの方も増えていますから、家の中でできるエクササイズや、家事のついでにできる「ながら運動」なども紹介しています。私は健康管理の一つとして黒柴のメスの愛犬ポチの散歩を日課にしています。毎日続けていると体調維持だけでなく、季節の変化も感じられて良い気分転換になります。

患者さんの生活状況に即したアドバイスをしているのですね。

院内では栄養相談も行い、診察室でのヒアリングよりさらに踏み込んで細かな食事の内容や調理法などに特化したアドバイスをさせていただいています。食べる楽しみを奪うのでなく、上手に食べるための手助けをしたいと考えています。また訪問診療に長年携わったスタッフが、介護保険をうまく活用したサービス利用のノウハウを熟知していますから、そうした生活面のサポートも可能です。その点は糖尿病の患者さんに限らず、ご高齢で一人暮らしの方やご家族と同居していてもケアが難しくなってきている方などを含め、クリニックとしてできる限りお支えしていきたいと思っています。

今後の展望と読者に向けてメッセージをお願いします。

片平宏院長 片平内科クリニック6

今後は子どもたちへの継承も考えていますが、引き続き、患者さんもスタッフも互いにハッピーでいられるクリニックとして、地域に根差した診療を長く提供していきたいです。感染症を気にして受診を控える方も増えていますが、そうした中で私が懸念しているのが、家事や子育て、仕事に忙しい30~50代の女性の皆さんです。どうしてもご家族のことを優先して、不調があってもそのままやり過ごしてしまっている方も多いのではないでしょうか? 妊娠中に尿糖が出たり、糖代謝異常があった方の3分の1は糖尿病になるともいわれていますし、甲状腺疾患にかかる女性が多いのも、ちょうどこの年代です。「自分はまだ大丈夫」と放っておかずに、不調があったらぜひ早めに受診することをお勧めします。当院は女性スタッフが多いので、どうぞお気軽にご相談ください。

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