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八木下 恵子 院長の独自取材記事

八木下歯科医院

(台東区/浅草駅)

最終更新日:2024/05/15

八木下恵子院長 八木下歯科医院 main

浅草・かっぱ橋道具街近くにある「八木下歯科医院」は、開業から30年以上、地域の人々に親しまれてきた。「何もしゃべらずに澄ましていても、あなたは下町っ子でしょうと言い当てられてしまう」と笑う八木下恵子院長は、祖父の代から3代続く生粋の江戸っ子だ。そんな先生の人柄を慕って、乳幼児から高齢者まで幅広い年代の患者が訪れる。院長直筆の書が飾られた温かな雰囲気の待合室では、患者同士が和気あいあいとおしゃべりに興じる姿も。丁寧に患者の話を聞く八木下院長は、専門的な対応ができるよう臨床心理学の勉強にも注力するほど何事にも熱心だ。できるだけ歯を削らない治療を心がけ、地域の高齢化に伴い訪問診療も視野に入れているという八木下院長に話を聞いた。

(取材日2024年3月22日)

地域住民に愛されるアットホームな雰囲気の歯科医院

ここで開業された経緯を教えてください。

八木下恵子院長 八木下歯科医院1

実はこの場所は実家なんですよ。私は浅草生まれの浅草育ちで、祖父の代からの江戸っ子です。ここで長く内科と小児科を営んでいた叔母が亡くなった後、彼女のような地元に根差したかかりつけ医になりたいという思いから、この場所に開業しました。大学では口腔外科を専門に学び、卒業後は東京女子医科大学の口腔外科に勤務していましたが、今は幅広く一般歯科を診療しています。患者さんの年齢層も幅広く、本当にいろいろな方がおみえになります。午前中は年配の方や保育園にお子さんを送った後のお母さんたち、午後になると学校から帰った子どもたち、夕方5時を過ぎると会社帰りの方が訪れるという具合です。

子ども連れの患者さんも多いそうですね。

歯科医院に行きたいけれど預け先がないというお母さんたちには「赤ちゃんを連れてきていいですよ」」とお伝えしています。物心つく前から歯科医院に慣れておくことは、いざお子さんに治療が必要になった時にも役立ちますからね。お母さんがお子さんを膝に乗せたまま治療することもありますし、スタッフがお預かりして抱っこしていることもあります。ですから、スタッフを採用する時は面接でお子さん好きかどうか確認しているぐらいです。もう少し大きくなると、お母さんの診察中に待合室で近所のおばあちゃんたちが遊んでくれることもあります。狭い待合室がまるで保育園のようになっている(笑)、そんなアットホームな歯科医院なので、新しくこの町に引っ越してきて地域になじむきっかけがほしい方にも、ぜひ利用していただければと思います。

お子さんの治療では、どのようなことに配慮していらっしゃいますか?

八木下恵子院長 八木下歯科医院2

初めてここへ来るお子さんは玄関ドアを開けたものの中へ入ろうとしないこともあります。それを何回か繰り返し、次は診察室のドアを開けてみる……というように段階を踏めば、どんな子でもいつかは椅子に座れます。最初はお母さんと一緒で構いません。「ここから風が出るよ」「ここからお水が出るよ」「これは口の中の掃除機」「5つ数える間だけお口を開けられるかな?」とトレーニングしていきます。1つ進めたらシールをあげて、とにかく褒めちぎって自信をつけてあげるんです。ご両親にも、今日うまくできたことは、お家で褒めてあげてくださいとお伝えしています。そうするとそのうち、「一人で大丈夫だから、ママはついてこないで」と言うようになるんです。

妊婦さんの歯科健診も受けつけているとか。

そうですね。ママご自身もプレママ時代から、当院でも実施している妊婦歯科検診を必ず受けてほしいです。妊娠中はホルモンの関係で妊娠性歯肉炎になりやすく、そこから歯周病になることもあるので、しっかりとケアしていきましょう。

患者の声に耳を傾け、できるだけ歯を削らない治療を

できるだけ歯を削らない治療をなさっているそうですね。

八木下恵子院長 八木下歯科医院3

大学病院勤務の後、東京女子医科大学の教授だった先生が同窓の先生と開業された歯科医院に3年半ほど勤めさせていただいたことがあります。とても研究熱心な先生方で、お金には代え難いものを学ぶことができました。なるべく歯を削らない治療もそこで学んだことで、「接着ブリッジ」という治療法もその一つです。例えば前歯が1本駄目になったとき、インプラント、義歯、ブリッジといろいろな選択肢がありますが、手術はしたくない、削りたくないという方には歯と同じ形をした素材を接着剤でつける「接着ブリッジ」で治療していきます。歯ぎしりをするなど、歯が取れてしまうリスクがある場合はできませんし、時間は多少かかりますが、通常のブリッジと比べてほとんど歯を削らずに済むため、患者さんには喜んでいただけるかと思います。

診療の際にどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

私自身の考え方ですが、歯科医院で診療を受けるなら「よく話を聞いてくれる先生に診てもらう」ことが一番だと思うんです。患者さんの要望に注意深く耳を傾け「この患者さんは何を求めていらっしゃるのか?」を真剣に考え、一人ひとりのニーズに合わせていろいろとご提案をしています。もともと話をするのが好きなので、患者さんとのお話の中にヒントを見つけることもありますね。実際に、すきっ歯が気になるという悩みを聞いて、歯の隙間を埋めるための施術も始めました。ただ、若い方などは遠慮して主訴以外はあまりお話にならないこともあります。だからこそ、患者さんが何もおっしゃらなくても体調や気分が悪そうに見えたら「何かありましたか」とこちらからお尋ねするようにもしているんです。同じ患者さんでも日によって体はもちろん心の調子も異なりますからね。

先生は臨床心理学にも精通されているんですね。

八木下恵子院長 八木下歯科医院4

以前、メンタルの疾患を抱えた患者さんが来院されたとき、その患者さんがいろいろ話をしてくださったことから、「何か心理的なサポートができる資格を取ってもいいかもしれない」と思ったのがきっかけです。ちょうどその頃、大学の同級生が臨床心理学を専門的に学べる学校に通っていると聞き、私もより専門的に勉強して患者さんの力になれればと研鑽を積みました。精神的な悩みや疾患を抱えていらっしゃる患者さんは、問診票に病気のことや飲んでいるお薬のことはあまり書いてくださらないことが多いのですが、当院のホームページで告知してからは、問診票にきちんと書いてくださる方が増えましたね。別途、カウンセリングをご希望の方には、当院がお休みの日などに対応することもできるのでご相談ください。

全身のバランスにも着目

東洋医学についても学ばれているそうですね。

八木下恵子院長 八木下歯科医院5

はい。長年、鍼灸について学んでいるのですが、口の周りの不快症状は東洋医学の考えを取り入れたアプローチも役立つのではないかと考えています。東洋医学の考え方の中には、「患部だけではなく全身を診る」というものがあります。例えば、顎関節症まで至っていないものの、朝起きたら急に顎が開けにくくなっているといった開口障害は、東洋医学の考え方に則ると、全身のバランスのゆがみからきている可能性も考えられます。そのゆがませる要因になる間違った生活習慣がないかどうか見直していくことが大切になります。こういった東洋医学の考え方をもとに口の周りの不快症状を診ていきたいと思っているので、これからも勉強を続けていきたいです。

休日はどうお過ごしですか?

10年くらい書のお稽古に通っています。教室に着いて40分くらいはひたすら墨をするのですが気持ちがとても癒やされますね。作品を作る時には、何を書くのか師匠と相談して決めますが、現在待合室に飾っている「幸」という字は、母の名前の一文字でもあります。きれいにバランスよく書くのが難しく、これまでも何度も挑戦してきた、思い入れのある字の一つです。私の「幸」だけでなく訪れる患者さんたちにも「幸」を感じていただきたいという願いを込めて書きました。待合に飾っている書は時々違う作品に変えているのですが、楽しみにしてくれている患者さんもいるのはうれしいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

八木下恵子院長 八木下歯科医院6

開業して30年以上たちますので、最初は2歳だった患者さんが大人になるまで来てくれたり、自分のお子さんを連れてきてくれたりすることも増えてきました。先日も幼稚園の頃から知っている子が結婚して、新婚旅行で行ったイタリアのお土産を持ってきてくれたんですよ。そんな長いお付き合いをさせていただけることは、歯科医師として何よりの喜びです。小さな歯科医院ではありますが、患者さん一人ひとりとのつながりを大切に、私にできることを精いっぱいやって、大好きなこの町のお役に立っていきたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

接着ブリッジ/7万円~、歯間空隙閉鎖術(歯の隙間を埋めるための施術)/1万~3万円
※詳細はクリニックにお問い合わせください。

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