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許 文聰 院長の独自取材記事

北池袋 許クリニック

(豊島区/北池袋駅)

最終更新日:2024/03/12

許文聰院長 北池袋 許クリニック main

東武東上線の北池袋駅から徒歩7分、駅の改札を出て右手の踏切を渡り、道なりに進んだところにある「北池袋 許クリニック」。看護師でもある奥さまが描いたゾウのイラストがこの医院の目印だ。許文聰先生は、優しく話しぶりも穏やかで、どんなことでも安心して相談できそうだ。許先生の専門分野は消化器外科。大学病院やその関連病院などで各種手術や外来の経験を積んだ後、2023年1月に同クリニックを開業した。町のかかりつけ医として内科、外科、肛門外科を掲げ、この地域の人たちを幅広く診療している。「困ったことがあれば、なんでも相談してほしい」と語る許先生に、同クリニックでの診療方針や今後の展望について話を聞いた。

(取材日2024年2月8日)

発熱者専用の外来診察室を備え、肛門の悩みも相談可能

開院の経緯をお聞かせください。

許文聰院長 北池袋 許クリニック1

40年もの長きにわたり、地域医療に尽力してこられた「江夏医院」の院長から引き継ぎ開院することになりました。江夏医院の江夏先生は、新型コロナウイルス感染症が拡大したとき、80歳を超えたご高齢。発熱患者の対応が難しいということで引退を決意されたそうです。そんな江夏先生の奥さまと私の母が知り合いだったことから、この場所を引き継ぐことになりました。私は東京医科大学を卒業してから大学病院や関連病院の消化器外科に勤務していたのですが、お世話になった教授が退職されるのを機に大学病院を退職し、2020年4月から同級生が院長を務める埼玉県蕨市にある「みなと医院」で内科外来を担当しました。そこで3年間経験したことが、今とても役に立っていると思います。

こちらの診療内容は内科、外科、肛門外科ということですが、どのような患者さんが多いですか?

江夏医院の頃からここに通っている患者さんもいらっしゃるので、高齢の方は多いですね。開業してからしばらくは内科が中心で、高血圧・糖尿病・高脂血症のほか、発熱者専用の外来診察室があるので発熱症状の方がたくさん来られましたが、最近になって肛門外科もあることがようやく知られてきたようで、痔や痔ろう、それに肛門周囲膿瘍など、肛門の悩みを相談に来る人が増えてきました。肛門はデリケートゾーンなので、そもそも受診を躊躇される方が多いのですが、痛みや不快感を我慢していると日常生活にも影響を及ぼしますし、中には肛門がんや大腸がんを発症しているケースもあります。薬を飲んだり、膿を切除したりすることで、その日のうちに痛みが引くことも望め、排便のコントロールも図れるので、安心して受診していただきたいですね。ほかにも大がかりな手術はできないものの、何かしらのケガなどで縫合が必要な場合はここで縫うことができます。

地域のかかりつけ医に発熱者専用の外来診察室があるのは、安心できますね。

許文聰院長 北池袋 許クリニック2

以前はインフルエンザの患者さんも一般の患者さんと同じ待合室、診療室を使うのが当たり前でしたが、当院では最初から熱のある患者さんの動線を考え、別室を用意する前提で、内装工事を進めました。ここはちょうど角地ということもあり、熱のある人はクリニックの入り口とは別の扉から発熱者専用の外来診察室に入ってもらい、診療後は小窓で説明や会計を終え、入ってきた扉から外に出られるようにしています。換気扇を回すとその部屋が陰圧になるので、一般の診療室や待合室に空気が流れてくることはありません。なので、発熱症状の方だけでなく、ほかの症状の方も安心して受診していただけると思います。

自分の体や病気のことをきちんと理解してほしい

診療の際、どのようなことを心がけていますか?

許文聰院長 北池袋 許クリニック3

まずは病気について、患者さん自身にきちんと理解していただきたいと考えています。どんな病気で、どのような治療法があり、どの薬を飲むか。中には「難しいことはわからないので、お医者さんにすべてお任せする」という人もいますが、言葉を尽くして画像などで丁寧に説明すれば大抵わかってもらえますし、自分の体や病気のことを理解した上で、どう治療したいのか、どの薬を飲むかを患者さんに選んでもらいたい。それは患者さんが主体性を持って病気に向き合うことで、生活習慣が改善したり、前向きに取り組んだりできると思うからです。いつも飲んでいる薬の名前がわからないという人には、形状や色など覚えていることを聞き出して、その場で一緒に見てもらいながら検索して調べるようにしています。

いろいろな国の方もいらっしゃるのですね。

ここは池袋に近いこともあり、中国、ブラジルや韓国の方など、さまざまな国の方に来院していただいてます。ただ実は私は生まれも育ちも東京で、祖父母は台湾出身のいわゆる3世で、中国語などは苦手です。ただそれでも多くの外国籍の方から頼っていただいておりますので、その場合は翻訳ソフトを使って対応させていただています。ソフトを通してなので私の話していることがきちんと伝わっているのか少し不安になることもありますが、基本的な意思疎通は問題なくできるので、とても便利です。今後も国籍関係なく当院を頼っていただける方と、しっかりコミュニケーションをとっていけるよう、いろいろなツールを生かして診療していきたいと思っています。

デジタル機器の進化が医療現場にも役立っているようですね。

許文聰院長 北池袋 許クリニック4

はい、翻訳ソフトのほかに、クラウド型の電子カルテも自宅から確認できるので開業時から導入しています。私は昔から機械系が得意で、趣味はパソコンとゲームというくらいですから、デジタル機器やソフトを使うことにまったく抵抗はありません。診療室にあるパソコンも使っていない余ったパソコンと別のパーツを組み合わせて自分で作ったものですし、ハードディスクの交換や不具合が出たときも大抵は自分で解決します。デジタル関係のものだけでなく、家電製品も簡単な修理なら自分で直せますから、その点は家族やクリニックのスタッフからも重宝されています。そのうちプログラミングを改めて勉強し直して、クリニックで使えるソフトを作れるといいなと思っているところです。

ゆくゆくは訪問診療のニーズにも応えたい

患者さんの病気を治療し、機械も直せる医師は珍しいのではないでしょうか。

許文聰院長 北池袋 許クリニック5

父が大学の理工学部の教授だったからか、私は子どもの頃から機械が好き。それで大学は理工学部に進学しようと考えていました。けれど、父から「何か手に職をつけたほうがいい」とアドバイスされて、悩んだ結果、医学部に進学することにしたのです。そういうわけで私は医師でありつつ機械に強いのですが、病気を治療することと機械を直すこと、どちらにも共通するのは、人の喜ぶ顔が見られるということです。「ありがとう」と言われるとそれまでの苦労は吹き飛びますし、力になれて良かったと心から思います。父の助言によって、歩む道は大きく変わりましたが、もともと持っていた人の喜ぶ顔が見たいという思いはかなえられましたね。

これからやりたいこと、今後の展望をお聞かせください。

当院の患者さんは高齢の方も多く、車いすで通う患者さんも少なくありません。そのためクリニック内はバリアフリーにしているのですが、近い将来には訪問診療が必要になってくると思います。今の段階でいつ始めるかは未定ですが、電子カルテはすでにクラウド型にしているので、パソコンを持参すればカルテの確認や記入もその場でできますし、プリンターがあれば処方箋を出すことも可能です。まだ開業して1年なので、まずはこのクリニックで診療するという基盤をしっかりと確立させて、ゆくゆくは訪問診療を始めたいと考えています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

許文聰院長 北池袋 許クリニック6

看護師である妻ともよく話していますが、当院は体のことで困ったことがあれば、なんでも相談にいきやすいクリニックでい続けたいと思っています。クリニックにわざわざ行く、医師に診てもらう、ということを堅苦しく感じる人もいるかもしれませんが、ほんの少しの小さな身体の悩みでも一度気軽に相談に来てほしいなと思っています。最近はインターネットで検索して自己判断をしてしまう人がいますが、その判断に妥当性があるのか、見落としている点はないのかを、医師はきちんと見極めることができます。不安を抱えたまま憂うつな日々を過ごすよりも、早めに受診してなんでもなければ心もスッキリしますし、必要があればすぐに適切な対処をすることができる。私はこの北池袋という街に来てまだ1年ですが、急な発熱やケガはもちろん、肛門周りのことやその他の症状でも、地域のかかりつけ医として頼りになる存在になりたいと思います。

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