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黒田 敏彦 院長の独自取材記事

ニコタマ大腸・肛門クリニック

(世田谷区/用賀駅)

最終更新日:2024/05/15

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック main

2023年5月に用賀駅近くに移転した「ニコタマ大腸・肛門クリニック」。院長を務めるのは、東京大学医学部附属病院などで経験を積み、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の資格を持つ大腸と肛門のスペシャリストである黒田敏彦先生。院内には鮮やかなライトグリーンと温かな木目を基調とした空間が広がる。「肛門専門のクリニックは好んで行きたいと思う場所ではないでしょうから、できるだけ気軽に足を運んでいただけるよう心がけています」と、優しい口調で話す黒田院長。日々の診療で感じる思い、得意としている日帰りの痔核(イボ痔)治療や大腸内視鏡検査についてのこだわりなど、さまざまな話を聞いた。

(取材日2023年5月8日/情報更新日2024年4月23日)

肛門疾患の日帰り手術と大腸内視鏡検査が二本柱

こちらのクリニックの特徴について教えてください。

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック1

クリニック名のとおり、大腸と肛門にまつわる治療を得意としているのが特徴です。日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、専門的な診療を求める皆さんの声に応えています。2023年5月、ご縁があって用賀に移転しました。駅から近く利便性が高いですが、裏通りに面していて人通りが少ないため、受診をためらいがちな方でも入りやすいと感じていただければうれしいです。移転後も院内の内装や水槽は変わりませんし、スタッフの働きやすさを重視した動線もほぼ移転前と同じにしました。遠方からお越しになる方もいて、ありがたく思います。

力を入れている治療法について教えてください。

痔の日帰り手術と大腸内視鏡検査が二本柱です。痔核(イボ痔)の場合、ゴム結紮(けっさつ)療法、切除手術の中から患部の状況に合わせて一番負担が少ない方法をお勧めします。ゴム結紮療法は痔核を小さなゴムで縛る方法。痛みは少なく、麻酔なしでその場で行えます。最後に、痔核を切り取る切除手術です。切除が1ヵ所なら日帰りが基本で、2ヵ所以上なら当院で手術をした後、提携病院で2泊入院となります。痔核の治療にはALTA療法もありますが、これで治せる痔核はほとんどがゴム結紮療法で治療可能なので、現在は行っておりません。どの治療法が良いかを患者さんによく説明し、一緒に解決法を考えるのが鉄則です。肛門に穴が開く痔ろうの場合、根治には手術が必要ですが、症状がなければ経過観察も可能です。他では入院手術と言われた方でも、1ヵ所だけの痔ろう手術の場合、当院では日帰りで対応できる場合も。ただし術後5〜7日のお休みは必要です。

痔核のゴム結紮療法について、詳しく聞かせてください。

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック2

ゴム結紮療法は、どの肛門科でも対応しているわけではありません。長年脱肛に悩まれている方、大きな病院で入院手術が必要と言われた方のお力になれればと取り組んでいます。痔核で来院した患者さんのほとんどが、この施術を希望されますね。痔の患者さんは、切らなくてはいけないと思い詰めて来られることが多いものですから、「切らない方法もありますよ」とお伝えして、安心していただけるとうれしく思います。この方法が適していないと考えられるときは、例えば肛門の外まで痔核の膨らみが大きく伸びている場合や、肛門の中に大きい内痔核が3ヵ所以上あってゴム結紮療法では縛りきれないような場合には切除手術をお勧めすることもあります。

大腸内視鏡検査も経験と専門性が必要とされるそうですね。

幸い私はこれまで多くの施設で経験を積むことができました。当院では検査の前にまず患者さんに、鎮静剤の使用を希望されるかを確認しています。自分の目でじかに腸の様子を見たいという方もいれば、寝ている間に終わらせたいという方もおられますからね。鎮静剤を使わない場合はもちろん、軽めの鎮静をした場合でも検査中に意識があることがほとんどなので、画面を見ながら、さながらツアーガイドのように大腸の説明をしながら検査を進めています。当院では、腸を伸ばさずに内視鏡を挿入していく「軸保持短縮法」を使い、挿入時の痛みや不快感を最小限にとどめるように努めています。また、検査前に服用する下剤の種類をより患者さんの負担が少ないものに変えるなど、常に工夫を凝らしています。

信念は「より速く、少ない負担で治す方法を考える」

診療する上で心がけていることはありますか?

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック3

まずは、わかりやすい言葉でお話しして、「自分や自分の家族だったら、こうしてほしい」という医療を実現すること。2つ目は衛生管理ですね。以前8年間研究に従事したマサチューセッツ総合病院にならい、当院でも可能な限り使い捨て器具を使用し、滅菌消毒を徹底しています。3つ目は、最短で次の治療に進めるようにすることです。例えば痔核もゴム結紮療法が適用できるものであればその場で処置しますし、診察で大腸がんの疑いが強ければ、なるべく翌日までに検査結果を出して診断をつけていきます。内視鏡検査で切除可能なポリープを発見したら検査当日に対応し、必要に応じて東京大学医学部附属病院などへの紹介も可能です。それぞれの患者さんを最速、最低限の負担で治すための方法を考えていくのが私の生きがいなんです。

先生の机と患者さん用の椅子の間にベッドがあるんですね。

このベッドは診察だけでなく、説明用の机としても使っています。一口に痔と言ってもいろいろあって、お話を聞くだけでは診断がつきませんから、診察室に入ったらまずお尻を診させていただきます。診察が終わったらベッドを挟んで座り、今度は机として使ってご説明します。最初にお尻を診てその後に話をするという順番にしているのは、そのほうが患者さんの心理的負担が少ないだろうという配慮でもあります。

肛門科の受診に抵抗感がある人もいるかと思いますが……。

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック4

受診や検査に抵抗があり、症状があっても放置してしまう方も少なくありませんが、出血がある場合は痔以外の大腸などの病気の可能性もありますので、痛みがなくても早めに受診してください。当院では名前ではなく番号で呼ぶ受付システムを導入するなど、気軽に通える心配りをしており、女性患者さんや若い方にも多く来院いただいています。痔や内視鏡検査に限らず、便秘、下痢、血便などの相談にも対応していますので気軽に相談してください。また、院内での待ち時間を減らすために、当日の午前7時からのオンライン予約と10時以降の窓口受付制を採用しました。午後はその日の状況に合わせて柔軟に対応できるよう、電話予約受付のみです。肛門のお悩みは突然起こることも多いので、事前予約をせずいつでも来院いただけるようにという工夫ですが、今後も状況に合わせてアレンジしていきたいと思います。

目標は、大腸肛門の診療で頼られる存在になること

先生が医師を志したきっかけを教えてください。

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック5

父が地元・神戸で皮膚科の開業医をしていて、その影響が大きかったです。当時はまだ皮膚科の数が少なく、父の診療所はいつも患者さんでいっぱいでした。そんな様子を見て、「父の仕事はたくさんの人から頼りにされているのだな」と心から感じ、自分もいつかはそうなりたいと思っていました。

大腸や肛門を専門にしようと思われた理由は何ですか?

東京大学医学部附属病院第一外科に入局してすぐお世話になった、東京厚生年金病院の外科部長の先生が大腸と肛門の治療に力を入れている方で、その先生のもとで、本格的に学び始めたんです。大学病院に戻ってからも大腸の専門グループに入り研鑽を積み、最後は大腸と肛門の病気に特化した所沢肛門病院で開業前まで勤務して、大腸内視鏡と肛門診療に2年間注力しました。でも実は、私と大腸との本当の出会いは、高校生の時にあったんですよ。ある日書店で、人間の便の色や硬さを表にして「こんな便ならこんな病気かも」と解説した本を偶然見つけて、便でここまで診断できるんだと感動したのです。

読者へのメッセージをお願いします。

黒田敏彦院長 ニコタマ大腸・肛門クリニック6

痔だと思っていたら直腸がんだったということも少なくありませんから、肛門も大腸もわかる先生に診てもらうことが大事です。トイレで出血や痛みがあれば怖がらずに一度受診してください。痔を限界まで我慢して来る方も多いですが、腫れているときはゴム結紮療法ができないこともありますので、気になることがあればすぐに来院いただきたいですね。当院がめざすのは、相談しにくいお尻の悩みをワンストップで解決すること、そして大腸肛門の分野で多くの方々に頼られる存在になること。「お尻や腸で困ったら、ニコタマ大腸・肛門クリニックへ」と思っていただけるよう、日々真摯に患者さんと向き合い、医療に貢献していきます。

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