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キョン チンファイ 院長の独自取材記事

ガーデンクリニック広尾

(港区/広尾駅)

最終更新日:2024/04/18

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾 main

東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩12分。日本赤十字社医療センターの向かいのビル2階にある「ガーデンクリニック広尾」は、マレーシア出身のキョン・チンファイ院長が2009年9月に開業した皮膚科とアレルギー科のクリニックだ。日本に滞在している外国人の人々にも医療を提供したいという思いで、外国人の来院しやすい広尾を選択。インターネットを活用して医療情報も積極的に発信している。約44年前、「医師になりたい」という強い思いを持って来日し、1年間日本語の勉強と医学部に入るための勉強に没頭。翌年見事医学部に入り、医師への第一歩を踏み出す。日本で医師として、母として、女性として過ごすキョン院長に日本に対する思いや医師をめざした理由、医療に対する考え、今後力を入れていきたいことをじっくりと聞いた。

(取材日2024年2月21日)

医師になる夢をかなえるために、未知の国、日本へ

医師になりたいと思ったきっかけはどのようなことでしたか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾1

私はマレーシアのクアラルンプールの生まれで、子どもの頃は喘息を患い、月に1回病院に通っていました。ぜいぜいと苦しんでいる私に医師も看護師さんも優しくしてくださり、「私も大きくなったら先生のような優しい医師になりたいな」と思ったのがきっかけですね。すでに小学生の時に医師になろうと決めていました。

日本への留学を決めた理由は何ですか?

私は4人姉妹で、経済的な問題で医学部に進学することが難しかったんです。どうにか医師になる方法がないかと探している時に、同級生のお姉さんが日本の文部省の国費奨学生として、日本に行っていることを知りました。その方と手紙のやりとりをして、日本はどういう国か、どんなふうに過ごしているかを聞いたのですが、その方は非常に良い印象を持っていて、それを聞いて私もこの国費奨学生制度を通じて日本で医師になる勉強がしたいと思いました。当時は、日本の電化製品や車がどんどんマレーシアに入ってきて、日本への関心が高まってきた頃でした。奨学生制度に申し込み、試験や厳しい面接に合格して行けることが決まった時は本当にうれしかったです。後で気がついたことですが、同じ高校の先輩も同じ制度で来日して留学していたんですよ。縁があったんですね、本当に。

日本に対してはどんなイメージを持っていましたか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾2

インターネットもない時代ですから、日本に関する情報は少なかったのですが、日本大使館の文化会館で見た雑誌に日本の紹介記事が掲載されていました。それを見て「行ってみたい!」と思いました。欧米に関する資料はたくさん目にしていましたし、友達からもいろいろと話は聞いていましたが、日本は情報が少ない分、とてもミステリアスで、私の興味を惹きました。両親は私が日本に行って医学部に入り、医師になることに賛成してくれましたし、サポートもしてくれました。実は9歳年下の妹も同じ制度で日本に留学したんですよ。日本ではオリンピックも行われましたし、マレーシアに日本企業が参入して日本人のサラリーマンも見かけるようになりましたので、日本は近代化が進んだ国だということは理解していましたが、「日本には、もしかしたらどこかにお侍さんがいるかも」とも思っていました(笑)。まだ私が18歳頃でしたから。

日本で医師になり、多くの外国人に医療を提供したい

来日してから医師になるまでの道のりはどのようなものでしたか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾3

私が来日したのは4月2日。桜が満開でその景色に感動しましたね。日本に来た理由は医師になることでしたので、大学に進学するにはまず日本語の習得が必須です。東京外国語大学付属の日本語学校に通い、朝から晩まで勉強しました。当時は外国人に日本語を教えるマニュアル等が整っていませんでしたので、試行錯誤中だったようですが、良い先生方に恵まれ、とても光栄でした。日本語の勉強は「おはよう、こんにちは」から始まり、一切外国語禁止の1年間。そして同時に受験勉強も行っていました。その時は若くて一生懸命でしたので、つらいとか大変とは思いませんでした。そして翌年、念願の東京医科歯科大学医学部へ入学。授業はもちろん日本語ですので、苦労しましたが、先生や同級生や先輩たちが親身になってサポートしてくださいました。日本人の優しさに助けられながら、どんな大変なことがあっても良い医師にならなくてはと決意を新たにしました。

皮膚科を選んだ理由は?

医学部4〜5年生の時に皮膚科の助教授と交流がありました。助教授は論文を英語で書いたり、海外で講演されたりしていましたので、よく英語で会話をしていたんです。その時に皮膚科の治療について学びました。それが良いきっかけでしたね。

この場所を開業の地に選んだ理由を教えてください。

この辺りは大使館も多く、外資系の企業もありますし、外国人がたくさん住んでいらっしゃいます。開業する時に「なるべく多くの外国人に医療を提供したい」と思っていましたので、この場所を選びました。私も港区に22年ぐらい住んでいるので、この辺りの良さを実感しています。緑が多くてとてもすてきな町ですよ。

患者さんはどういった方が多いですか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾4

年齢層は子どもから高齢の方まで幅広く、男女は半々ですね。近くに住んでいる方、働いている方、両方いらしています。外国人の方が来やすいよう、ホームページに英語を取り入れていますし、受付には英語が話せるスタッフがおります。今は4〜5割の患者さんが外国人の方ですね。日本に来て間もないと、保険証の使い方や受付の仕方がわからない場合があります。細かいことではありますが、ちょっとしたことでも力になれればと思っています。

病気の特徴だけでなく「治すための方法」も説明したい

患者さんに接する際に心がけていることは何ですか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾5

基本は病気をきちんと説明することです。患者さんには、ご自身の病気をきちんと理解していただきたいです。ただ薬を処方し理由もわからず使ってもらうことは避けたいですね。例えばニキビでしたら、洗顔方法とか食生活の注意点とか睡眠の取り方とか、パンフレットの図解を活用して説明しています。薬の使い方の説明も大事です。皮膚科の塗り薬の場合は、塗る量や塗り方もさまざまです。2〜3種類の塗り薬を出されると、どの薬をどこに塗るか迷ってしまうことがあります。そういった時は「赤色のチューブはここで、青色はここ」といったようにその場で塗って覚えてもらうようにしています。病気を治すために必要なことですから、細かく丁寧な説明が必要だと思います。そして塗る薬が刺激となって一時的に赤みが出たり、かゆみが起きたりすることが考えられる場合は、それも事前に説明します。その説明がないと薬が合わないと思って不安になったりしますから。

ご自身の健康のために行っていることはありますか?

実は私自身は結構怠け者なんです(笑)。ジムに通ったりはしませんが、数年前からウォーキングをしています。昼間は運動する時間がありませんので、夜に主人と1〜2時間歩いているんです。この辺りは環境がいいので、広尾から渋谷まで歩いたり、恵比寿や表参道まで歩いたり……。途中でウインドーショッピングしながら楽しく歩いています。あとはストレスをためないこと。若い頃は完璧主義でしたので、周りがきちんとやらないとイライラしがちでしたが、今は「まぁ、これぐらいでいいや」と思うようにしています。

今後行っていきたい活動などはありますか?

キョンチンファイ院長 ガーデンクリニック広尾6

現在もインターネットのSNSを使って情報を発信しているのですが、そういった活動は続けていきたいですね。私のSNSを見てくださっている方は外国人の方が大半なんですよ。外国人が日本で生活するために必要な情報を掲載しているサイトがあるんですが、そのサイトとの連携やほかの医師との連携も始めましたので、これがどんどん広がっていき、質の高い情報をたくさん提供できるようになればと思っています。私自身の経験を生かしながら、日本に滞在している外国人の方々の助けになるような情報発信を心がけたいと思います。

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