残便感に対して必須ではなくても
定期的に大腸内視鏡検査を
平田肛門科医院
(港区/表参道駅)
最終更新日:2023/12/06
- 自由診療
消化器に関するトラブルとして、便がまだ残っているような「残便感」に悩む人も多いだろう。その原因はいったい何なのだろうか。また、対処法にはどのようなものがあるのか。そもそも、残便感に対して大腸内視鏡検査は必要なのか。東京・表参道にある「平田肛門科医院」の平田悠悟副院長は、便秘や残便感に悩む多くの患者を診てきた。ちょっと聞きづらい残便感について、平田副院長に話を聞いた。
(取材日2023年4月14日)
目次
残便感の原因や対処方法、また大腸内視鏡検査の必要性についても解説
- Q残便感の原因は何ですか?
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A
直腸には、上部と中部と下部があり、便が下部に降りてくることで便意を感じます。直腸に便が残っていると、便意を感じるセンサーが働き続け、残便感を感じます。便が残る原因としては内痔核(イボ痔)や直腸瘤などが挙げられます。直腸瘤は女性に起こるもので、筋肉が弱くなるなどの理由で、膣側に直腸が飛び出てしまう現象です。内痔核や直腸瘤ができることによって、腸に小部屋のようなものができてしまい、そこに便がたまってしまうのです。またまれなケースですが、直腸が長く便がたまりやすいということもあります。加齢に伴い腸の蠕動が弱くなったり、刺激性の下剤を長期間飲んでいたりして、自力で便を出すのが難しい方もいますね。
- Q残便感があるとき、もう一度トイレに行っていいのですか?
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A
もう一度トイレに行ったとき、ある程度しっかりした量の便が出る場合はそんなに心配しなくて良いかと思います。ただそこで少量の便しか出ない場合は注意が必要です。理由としては内痔核が大きくなっていて、直腸内のその上の部分に便がたまっている状況になっていることがあるためです。いきんで無理やり出そうとすると内痔核が膨らんでより出にくくなってしまいますし、まずトイレでいきむこと自体、血圧の上昇などが起こり体に良くないので、注意したほうが良いと思います。また、内痔核が大きくなっていると便がたまり、残便感を感じてトイレに行って出しきらなくては、となる悪循環に陥ると、さらに内痔核も悪化していきます。
- Q内痔核の治療方法にはどのようなものがありますか?
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A
まずは内痔核自体を小さくすることが正攻法になります。食物繊維を摂取してもらいつつ、座薬を用いて治療していきます。内痔核が肛門から飛び出してきて、指で戻すような重症な方は手術適応になります。ただ、いきなり手術を選択するのではなく、まずは生活習慣の見直しや座薬の使用で改善を図っていきます。
- Q残便感がある場合、大腸内視鏡検査は必要でしょうか?
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A
基本的に大腸内視鏡検査は大腸がんを調べるためのものなので、残便感があるからといって必須ではありません。ですが、人により大腸の構造がかなり入り組んでいて、小部屋で区切られているような状態の方もいます。そういった方は便秘になりやすいことがあります。また、憩室ができているといわゆるコロコロ便が出たり、腹痛の原因になることもあります。それから先ほどお話しした、直腸が長いかどうかも内視鏡検査でわかります。内痔核で出血がなかなか止まらない人は出血している場所がわかるなど、症状の程度もわかりますので、当院では状況に応じて内視鏡検査をお勧めします。
- Q残便感以外に大腸内視鏡検査を受けるべき症状を教えてください。
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A
便が細い状態がずっと続いている状態のときは、大腸がんが大きくなって便が出るのを邪魔している可能性があるので、内視鏡で調べたほうが良いかと思います。そもそも大腸がんを調べるための内視鏡検査は40代以降は2年に1度程度は受けたほうが良いといわれています。大腸がんは進行するまでほぼ症状がなく、ゆっくり進行するので、早期発見につながる大腸内視鏡検査は効率の良い検査とも言えるでしょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは大腸内視鏡検査/4万150円